第26話 ゆずき先輩とスタジオ
「ここがゆずきさんが待っているお部屋です」
俺たちが鈴木さんについていくと、俺たちがいた部屋から数十秒でゆずき先輩が待っているという部屋についた。
やっぱり、スタジオの近くということだけあって、楽屋のような部屋がたくさんあるらしく、ここまで歩いているときに、たくさんの部屋が目には入った。その中の一つに俺たちも、ゆずき先輩も待っていたらしい。
「では、今からノックしますので、挨拶の方をお願いしますね」
「「分かりました」」
…ふー…、緊張はするけど…、大丈夫だ。
ちゃんと挨拶しないと。
コンコン
「はい」
鈴木さんがノックをすると、中から声が聞こえてくる。
…配信で聞いてたのと、まんま同じだ…。
「ゆずきさん、マネージャーの鈴木です。新人たちの挨拶に参りました」
「そうですか。分かりました。今開けますね」
「ありがとうございます」
部屋の中から歩いてこっちに近づいてくる音が聞こえる。
正直……心臓ドキドキです…。
少しシズさんと、もみじさんの方を伺うと、二人も少し顔がこわばっている。
ガチャっ
「…始めまして、RINGの皆さん。私は、セカンダルの凍ゆずきです。よろしくお願いしますね」
………そう、ゆずき先輩はセカンダル……、古参組の次にデビューしたグループの一人。
確か、なんかの配信で、2番目にファミールに入ったグループだから、セカンドとファミールを足して、セカンダルにしたと言っていた気がする。
そんな先輩が、今目の前に……、緊張するに決まっているだろ…!!
「は、はじめまして!新しくファミールに入った、RINGの凪威シズです。よろしくお願いします」
「お、同じく、RINGの和泉もみじです。よろしくお願いします」
「同じく、RINGの宇多黒レンです。よ、よろしくお願いします」
3人がそれぞれ挨拶を返していく。
声を聞くに、やっぱり二人も緊張しているな…。
…俺もだけど。
「はい、よろしくお願いしますね。昨日の初配信、楽しませてもらいましたよ」
そう言って、笑顔でこちらを見てくる。
ゆずき先輩も、やっぱり俺たちの初配信を見ていたのか…。先輩方も見ているとは思っていたけど、実際に見ていたことがわかると、ちょっと恥ずかしい。
…俺に限っては、少し滑った空気を作ってしまっているからな…。
それにしても、現実のゆずき先輩も美人さんなんだな…。黒髪だけれど、アバターと同じような長い髪で、身長も多分同じぐらい。
……眩しいな…。
「ありがとうございます!」
ゆずき先輩の言葉に、シズさんがお礼を言う。
こういうときに、率先してシズさんが言葉を返してくれるから、俺としては本当に助かるんだよな。
RINGのリーダーを決めるなら、シズさん一択だと思う。
「いえいえ。3人とも、配信の仕方が上手く、それぞれにいいところがあるなと感じました。今日の配信でも楽しみにしてますよ」
「「ありがとうございます」」
ここは全員でお礼を言う。
ゆずき先輩に褒められた……。
やばい……めちゃ感動する…。
頑張ってよかった…。
「ゆずきさん、もうそろそろスタジオで、配信のリハーサルの方が始まるのですが、一緒にどうですか?」
「そうですか。なら…折角ですし、一緒にいきましょうか」
…マジか。
確かに、一緒にスタジオで配信の協力をしてくれるから、リハーサルの方も出てくれるとは思っていたけど、まさか一緒にいくことになるとは思わなかったな…。
「では、今からスタジオの方に向かいますね」
「シズさん、もみじさん、レン君、今日はよろしくお願いしますね」
こうして、俺たちプラスゆずき先輩の5人でスタジオの方に向かっていった。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「ここが今日の配信を行うスタジオです」
俺たちは、鈴木さんの案内によって、スタジオの前まできた。
ゆずきさんの楽屋から、1、2分ぐらいしか歩いていなかったのだが、その間、ゆずき先輩から俺たち3人に対してのお褒めの言葉だったり、アドバイスだったりをもらうことができた。
大先輩の方から、褒めの言葉をもらうことができるなんて…、マジで嬉しい。
「では、入りますね」
俺たちはスタジオの中へと入る。
………
「…ここでやるんですか…」
「…広いですね…」
「広いな…」
俺たちが案内されたスタジオは、テレビ収録をやるような感じのスタジオだった。テレビスタジオよりかは多分狭いけれど……配信をやるのには十分すぎるぐらいの広さだとは思う。
「やはり、皆さんも驚かれますよね。私も初めて見た時はびっくりしましたから」
俺たちがスタジオを見て驚いていると、ゆずき先輩が話しかけてくれる。
…やっぱ、ゆずき先輩でも驚くくらいなんだな…。
「ゆずき先輩は、ここで配信とかしたことあるんですか?」
シズさんがゆずき先輩に聞く。
「はい。大体こういうスタジオを使うのは、企画ものの配信をするときなので、そこまでないんですけど…何度かはありますね」
「ゆずき先輩でも、あまり使ったことないんですか…。緊張してくるなー…」
「大丈夫ですよ。私は今日やることをすでに知っているんですけど…どれも面白そうなものですから。それに…スタッフの皆さんも優しいですしね」
そう言うと、ゆずき先輩が俺たちに向けて微笑んでくる。
ゆずき先輩はもう何をやるのか知っているのか。
……めっちゃ気になるー…!多分、リハーサルの時に何をやるかはわかると思うけど、早く知りたくなるんだよな。こういうのって。
それと、スタッフか…。
今、スタッフの人たちは配信の準備のために、スタジオに置いてある機械をいろいろといじったり、確認したりして動いてくれている。
こういう人たちのおかげで、今日の配信もできるんだと考えると、感謝しかないな。
「…緊張はしますけど、楽しみです…!」
「私も楽しみです!」
「俺もですね!」
もみじさんと、俺もシズさんの言葉に賛同する。
…正直、今はまだ楽しみよりも、緊張が勝っているんだけどね…。もう、このスタジオを目にしてから、ドキドキだ。
「うふふ、みんなで楽しみましょうね。もしかしたら、緊張もするかもしれないですけど…、私もいますし、RINGのみなさんもいるんですから、安心して、頑張ってくださいね!」
……確か、俺が事務所に向かっている時にも、ゆずき先輩が言ったようなことを考えていた気がする。
けど、ゆずき先輩が言ってくれると、安心感が全然違う…!やっぱ、先輩の言葉ってすごいんだな…!
「「ありがとうございます!」」
よし……頑張ろう!そして…楽しもう!
「…あ、RINGの皆さん!それとゆずきさんも!お疲れ様ですー」
俺たちが、スタジオ入り口前で話して待っていると、女性スタッフの方が声をかけてくる。
「お疲れ様です」
「「お疲れ様です」」
ゆずき先輩に続き、俺たちも挨拶を返す。
そろそろ始まるのかな?
「もうすぐしたら、配信の流れを確認しますので、向こうにある席に座っておいてください。席には名前の方も書かれていますので、自分の席の方にお願いします!」
俺は、スタッフさんが手を伸ばしている方にある席をみる。
その席は、クイズ番組の時に使うような席になっており、それが横に四つ並べられていた。その後ろには、グリーンバックのようなものも垂れている。
あそこで配信をするのか…、…頑張らないと。
「分かりました。では、いきましょうか」
「はい」
俺たちは、ゆずき先輩を先頭にその席の方に歩いていく。
…よーく考えると、本当にファミールってすごいよな…。こういう企画を行うスタジオ、専用の席、待機ができるような楽屋が複数…。
スタジオ配信だけでも、これだけのところにお金をかけているんだもんな。本当にすごい。
「…ここが私の席のようですね」
俺たちは、席の前まできた。
ゆずき先輩は四つ並んでいる席の一番右であったみたいだ。
「私がゆずき先輩の隣だね」
「シズさんの隣が私ですね」
「その隣が俺ですね」
俺の席は一番左の席であった。
配信の画面から見ると、右から、ゆずき先輩、シズさん、もみじさん、俺っていう並びだな。
俺たちは、それぞれ自分の席に座っていく。
座ると、その席には液晶の画面が貼り付けられており、専用のペンまでもが設置されている。
けれど、折りたたみ式にもなっているため、普通の机としての機能もあるみたいだ。
席の外側(配信を見ているみんなにも見れる側)にも、液晶に書いたものを見れるように、別の画面も貼り付けられている。
…マジでテレビで見たようなやつだ…。
ちょっとワクワクする。
「みなさーん!今から、配信画面のチェックに入りますので、その場で動いて見てください!」
その言葉と同時に、俺たちは自由に動く。
俺たちにも配信画面が見られるように、隅の方に何台かパソコンが置かれているため、どんな感じの画面なのかは俺たちでもわかる。
すごいな…。後ろの背景までも豪華になっていて、俺たちが今座っている席も、実際の席よりも鮮やかに変わっている。
そして、俺たちのアバターも今の並びと同じように映っている。
なんだか、RINGの3人がちゃんと並んでいるのを見ると、なぜだか知らないけど、ちょっと感動する。そこに、ゆずき先輩も加わっているのを見ると尚更だ。
「はい!ありがとうございます!次に、配信の流れを確認していきますので、よろしくお願いします!」
…いよいよか。
ここでよく聞いておかなないと、本番になってわからなくなってしまったりする可能性もあるから、ちゃんと聞いておかないとな…。もしわからなくなっても、ゆずき先輩やシズさん、もみじさんにスタッフさんたちが助けてくれるとは思うけど……、男としてそういうところで恥ずかしい思いはしたくない。
リハーサルから真剣に行かないと…!
「では、やっていきますね。まず初めに……」
俺たちは、スタッフさんに言われたことを行なって、覚えて、リハーサルをはじめて行った。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
……
「はーい!では、もう少ししたら、配信を初めていきますので、準備の方をしておいてください!」
「「分かりました」」
今の時刻は、18時50分。
俺たちは配信のリハーサルを終えて、配信の準備を初めていた。…と言っても、そんなすることはないんだけどね。やることと言ったら、今日の流れを頭の中で確認しておくぐらいだからな。
途中途中、何度か休憩などを入れてくれたおかげで、そこまで疲れなどは残っていないから、本番に向けて集中もできそうだ。
今日の配信の流れ……、まずは一人ずつが挨拶をしていく。順番は、今日のMCをやってくれるゆずき先輩からで、そこから左に挨拶をしていく感じだな。スタッフさんが言っていたのだが、こうすることによって、初配信の順番と同じになるようにしていたらしい…。ちゃんと考えられている。
そこからは、ゲームだったりクイズだったりの時間だ。
ゲームは、ito、NGワードゲームの二つ。
クイズは、ファミールに関するクイズに答えていき、一番得点の高い人が勝ちというもの。
このクイズには、二つの形式に分かれていて、一つ目と二つ目でクイズの出し方が変わっているらしい。クイズを出すのが、ゆずき先輩で、俺たちRINGが答えるっていう感じだな。
…従って、今日やることは全部で三つということになるな。
itoとNGワードゲームは、大体の説明をしてもらって、一度だけ練習をさせてもらったから、大体のことはわかったけれど、クイズに関しては、ファミールの問題が出るということと、液晶に答えを書くことしかわかっていない。
本音を言いますと…めちゃくちゃ不安です。
……答えられるかなー…。
結構配信を見ていたとは思うんだけど、どこからクイズが出るかもわかっていないからな…。
もしかしたら、めっちゃ細かい所から出てくる可能性もある…。
けど…やるからには一位を取りたい!
そして、ゲームやクイズが全部終わったら、最後に挨拶をして、配信が終わるっていう感じだ。
うん、大体頭の中には入っているな。
唯一の心配はクイズだけど…、これはもうやってみないとわからないからな。頑張るしかない。
「皆さん!残り2分ほどで配信が始まりますので、席からは離れないようにお願いします!」
スタッフさんから、配信までの時間が伝えられ、席から離れないように言われる。
もう配信は開けているのだが、サムネの映像にBGMが流れているだけで、配信自体は始まっていない。
けれど、コメントはもう流れているようで、俺たちも隅の方にあるパソコンから確認することができる。
色々なコメントが流れているけれど……時々ダジャレが流れているのだけが気になるな…。
恥ずかしいからやめてほしい…。
「まもなく始まります!挨拶の準備の方をよろしくお願いします!」
スタッフさんからもう始まることが伝えられる。
よし、頑張るぞ…!!
「……配信まで、5、4、3、2、1……」
こうして、俺たちのコラボ配信が始まった。
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本当にごめんなさい…。次からがコラボ本番になりそうです。長くなってしまって申し訳ないです。
こういうコラボをどこでやっていて、どんな風に始まるのかなどわからないところが多数あったので、そこは想像でやらせてもらっています。
もし、ここは変というところがあれば報告お願いします!
そして、ゲームの方も悩みに悩んだ結果この二つになりました。もし他にもいいゲームがあれば、教えて欲しいです!
そして、星評価(レビュー)の方が400を突破しました!!!
本当にありがとうございます!
これからも頑張りますので、引き続きレビューをよろしくお願いします!
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