第25話 RINGのほのぼの(?)会話

初配信が終わった翌日。


俺は、夕方にファミール事務所の方へと向かっていた。今日は、公式チャンネルの方でRINGの3人とのコラボで、配信前にリハーサルのようなことをやるため、早めの夕方に向かっていた。ちなみに、今日の配信が19時からで、今の時間が16時である。確かに、配信中に何かしらのアクシデントとかも発生する可能性もあるから、リハーサルをやるのは当たり前だと思う。

ただ、すこーしだけ不安なのが……


「社長の言っていた、プラスαっていうのが誰かだよな…」


俺の予想では……ファミールの先輩の誰か。

誰かとまではわからないけど…、もしかしたら先輩に会うのではと考えると少しドキドキする。

なんなら…公式の方に出るのも初めてだから、それについてもドキドキしてしまう。


「…緊張するけど…、今日の配信も頑張らないと…」


昨日の初配信は、少し時間管理が怪しかったけど、俺的には多分上手くいったと思うし、マネージャーからよかったという内容のメッセージももらえた。

それに、昨日はそれぞれが一人で配信をしていたけれど、今日はRINGの3人と一緒なんだもんな!プラスαっていうのが緊張もするけど…その人もいるんだ。大丈夫。


よし…頑張ろう。


俺はそう胸に意気込み、引き続きファミールへと向かっていった。



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


ファミール事務所 出入り口


「あ、レン君。こんにちは」


「鈴木さん、こんにちは」


俺がファミールの出入り口へと行くと、鈴木さんが一人で待っていた。


「今日もいつもと同じ部屋ですか?」


いつもの部屋というのは、俺の名前だったり、RINGだったりのユニット名を決めた部屋のことだ。事務所に行くと、毎回あの部屋に案内されているからな。


「いえ、今日は違うんですよ。今日はスタジオの方を使いますので、そこの近くにある楽屋のような部屋を使っていただきます」


「…え、スタジオですか?」


俺は、鈴木さんの言った言葉に驚く。

あれ?俺的には、普通の部屋で、プラスα含めた4人でやると思っていたのだが…、まさかのスタジオだった。


「はい。今日は少し大きめの機械なども使いますので…、スタジオで配信をしていただくんですね」


「そ、そういうことでしたか。分かりました。今からもう行きますか?」


「はい。シズさんと、もみじさんももう待機していますので、今から案内しますね」


「わかりました。お願いします」


俺はそう言い、鈴木さんについて行った。

……まさかのスタジオ配信…。

一気に緊張具合が高まってきたな…。



………

……




「こちらの部屋で待機となります。シズさんともみじさんもいると思いますので、少しの間待っていてください」


「わかりました。ありがとうございます」


「はい。今日の配信も頑張ってくださいね」


鈴木さんはそういうと、どこか別の場所に歩いて行ってしまった。


俺が案内されたのは、北館の2階にある部屋だった。スタジオが北館の2階にあるらしく、俺たちはこの部屋で待機して、時間になったら、また迎えが来るらしい。

俺たちが今まで活動していたのは、出入り口がある南館だったけど、これからは北館、東館、西館、中央館でも色々とやっていくんだろうな…。

やっぱり思う、ファミール広すぎ!


ちなみに、ここに向かっている間は、鈴木さんと昨日の初配信について話しながら歩いていた。思っていた以上に褒めてくれて、少し恥ずかしかったけど、ちょっとしたアドバイスも教えてくれたりして、ためになる話も聞くことができた。


「…入るか」


俺は、案内された部屋に入る。

…なんだか、いつもの部屋と違う部屋だからか、少しだけ緊張している。


ガチャっ


「おっ、来たね。レン君」


「こんにちは、レン君」


「こんにちは、シズさん、もみじさん。昨日はお疲れ様です」


俺は、挨拶を返して、近くの空いていた椅子に座る。シズさんともみじさんは、部屋にあるソファーに座っていた。


「レン君もお疲れ様。こっちも楽しく見させてもらったよ!」


「俺も、二人の配信は見てましたよ。配信前だったから、緊張していて、楽しめたかって言われると…そこまで楽しめなかったですけど…」


「それはしょうがないですよ。私もシズさんの配信は緊張しっぱなしで見ていましたからね…」


「そう考えると…トップバッターでもよかったって思えるな!その分、緊張はやばかったけどね…。けど、二人の配信を楽しめたからよかったかな!」


「確かにトップバッターだったら、配信を見るのも楽しめそうですよね…。俺はまた、二人の配信を見直そうと思いますよ」


緊張していたせいか、所々どんなことをやっていたのかをあまり思い出せないから、二人の配信はまたみたい。勉強になるところもあると思うからな。


「あはは…。それはちょっと恥ずかしいけど…。…..今は、それよりも!私はレン君に聞きたいことがあります!」


「…え?…俺にですか?」


え?俺なにかやってしまったか?

そんな変なことは何もやっていないと思うけど…。

配信も俺的には普通にやれていたと思うし…。


「そう!ね、もみじちゃん」


「はい。私も気になっています」


「え、もみじさんもですか!?……えーっと、なんでしょう」


…わからない…もう俺にはわからないよ…。

もし、何かやってしまっていたのなら…素直に謝ろう。


「私が聞きたいのは…レン君の歌についてです!」


「……う、歌?」


「そう!私びっくりしちゃったよ」


「私もです!昨日の配信を見ていて、二人して驚いていたんですか」


二人は一緒に俺の配信を見ていたのか。

その前で、俺はダジャレを言って、面白くしようとしていたって考えると…、ちょいと恥ずかしいな…!


けど……歌か…。確かに、二人の前で披露したのも、昨日の配信が初めてになるのか。

歌ってみたの方も、少しずつ準備をしているけれど、一緒に歌を録ってはいないからな。

…そんなに驚くようなことがあったかな?

もしかして…


「えっとー…。歌もピアノも頑張って練習はしていましたけど…、やっぱり下手でしたかね…」


もし、そうであったなら申し訳ない…。

歌ってみたも録っている途中なのに…。


「……え?いやいやいや!その逆だよ!めちゃめちゃ上手くて驚いてるんだよ!?」


「そ、そうですよ!下手だなんて…。そんなこと思うわけがないですよ」


「……え、あ、そういうことですか…。あ、ありがとうございます」


まさかの返答に驚き、俺はお礼を言う。

下手だって思われるよりかは全然いいんだけど…、こう…、面と向かって言われると、めっちゃ恥ずかしい…。

けど…、こんな風に言われると、頑張った甲斐があったなと思うし、これからも頑張ろうって思える。


「そうだよー…。レン君が下手だったら、私はどうなっちゃうのか…。それに、あんなに大きいリアクションをしたんだから、下手なわけがないのに…。レン君は自信がなさすぎだよ!」


「私もそれは思います。私…久しぶりに歌を聴いて感動したんですから、自信持ってください」


そこまで言ってくれるとは…。本当に頑張ってよかったな…。

……ただ、嬉しい気持ちもあるけど、やっぱり恥ずかしさもあるな…。


「シズさん、もみじさん…。ありがとうございます!」


俺は二人に感謝を述べる。

やっぱ、こういうことを言われると心があったかくなるし、自信も少し湧いてくる。


「うんうん。もっと自信を持っていこう!……昨日のダジャレみたいにね!」


…………!?


「そ、その話題は…俺の心にくるので…やめてほしいです…」


まさか今、この話題を出されるとは思っていなかった。正直…思い出すと、本当に恥ずかしいんだよな。少し黒歴史になりつつあるかもしれない…。


「なんで?私は好きだったけどなー。ね、もみじちゃん」


「え………、…はい、面白かったです」


…うん?


「…もみじさん?なんか、ちょっと間があったような気がするんですけど…」


その間はなんですかね…。

ちょっと怖いんですけど…。


「そんなことないですよ。野口英世の愚痴ひでーよと、明日の天気は雪ですのう でしたっけ?面白いですよね」


…あ、これ絶対思ってないパターンだ…。

しかも、フルに言われてしまったし…。

さっきまで、俺の歌のことを褒めてくれていたのに…、温暖さが…。


「もみじさん…絶対思ってないですよね!?…しかもフルに言われると…….本当に心にくるのでやめてください…!」


俺は胸を押さえながら言う。

あああ…。同じ仲間であるもみじさんにこんな反応をされるとほんとに…メンタルが…。


「…うふふ。ごめんなさい。ちょっと面白くなかったみたいな反応しましたけど…、本当はちょっと面白かったですよ。特に、最後の一言質問コーナーの時とかですね」


「そうだよ、レン君。もみじちゃん、くすくす笑ってたんだから」


「…え、そ、そうだったんですか。それだったらよかった……のかな?」


なんだか、ちょっとわからなくなってきたな…。

まあ…今は喜んでおくか。

…さっきみたいに冷たい反応をされるよりかは全然いい。


「面白かったんだから、喜んでいいところでしょ?これからの配信も期待してるよ!」


「…そう言われるとプレッシャーがかかるんですけど…、ありがとうございます。…俺も二人の配信楽しみにしてますので!」


「もちろん!私も頑張るよ」


「はい。レン君のように頑張ります」


「……俺みたいにはやめといた方がいいですよ」


俺みたいにだったら、もみじさんもダジャレをいうことになってしまうからな…。

…ただ、ちょっと言っているところを見たいとも思ってしまう自分がいる。

いや、でも……もみじさんが滑っているところを見たくないな…。

…うん、やっぱやめといた方がいいな



コンコンっ


「失礼します。…皆さん、お疲れ様です」


「「お疲れ様です」」


俺たちが話していると、マネージャーの鈴木さんが入ってきた。

鈴木さんがきたってことは…、もうそろそろ配信の準備が始まるのかな?


「もう少ししたら、配信の準備を開始しますので、今からスタジオの方に向かいます。ですが、その前に、今日の配信に協力してくれる方……こごえゆずきさんのところへ挨拶をしにいってから向かおうと思います」


「…!協力してくれる方ってゆずき先輩だったんですか!」


「はい。今日の配信では、ゲームマスターのようなことをしてもらう予定なんですけど、彼女はそういうのが得意ですので」


なるほど…。俺の予測どおり、ファミールの先輩ではあったけど、ゆずき先輩だとは思わなかったな…。けど、確かに、今日の配信では、クイズだったり、アナログゲームのようなことをやるとは言っていたから、MCが得意なゆずき先輩は納得かもしれない。


ゆずき先輩は、白と銀を混ぜたようなロングで、ツヤツヤ髪をしており、肌の色も少し色白になっている。

とても可愛い方なのだが、一番しっくりくるのは美人という言葉だと俺は思う。

歌もダンスも上手く、配信も、ゲームや雑談、たまに歌枠など色々なことをやっている方だ。


そんな、凍ゆずき先輩に今から会うと…


……


緊張する!!。予測はしていたけど、いざ実際言われると、どんどんと緊張が増してくるぞ…!


「…やばい、緊張してきたかも…」


「私もです…」


…やっぱり、二人も緊張はしているらしい。

まあ、そうだよな…。ノイロス先輩たちに会った時もあんなに緊張したんだから。

しかも、ノイロス先輩たちよりも先輩の方でもあるし…。


「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。ゆずきさんもとてもいい人ですから」


「わ、分かりました」


鈴木さんはそう言ってくれるけど…、緊張がなくなる訳ではないんだよな…。

けど…先輩に会うんだったら、きっちりしておかないと…!第一印象とかも大事だと思うしな。


「では、今から向かいますので、私についてきてください。……て言っても、すぐそこの部屋にいるんですけどね」


あ、そうか。俺たちと同じスタジオで配信の出てくれるんだから、ゆずき先輩も近くの楽屋にいるのか。


「分かりました」


こうして、俺たちはゆずき先輩がいると言う部屋に向かっていった。


—————————————————————-


次からコラボ配信に少し入ると思います。

完全に入るのは、多分その次になると思いますので、よろしくお願いします。



もし、誤字脱字等があれば報告をよろしくお願いします。

また、今までの話の中と矛盾している所等があるかもしれないので、あれば報告よろしくお願いします。

そして、レビューが350を突破しました!ありがとうございます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る