第202話 女神からのアナウンス
▽第二百三話 女神からのアナウンス
魔女とのボス戦を終えて、私たちは荒廃したマリエラに降り立ちました。
かなり凄惨な有様ですね。
「ここにはお世話になりました。セックを派遣し――」
私が言い終えるよりも早く。
女神ザ・ワールドの声が脳裏に響きました。
【さーあ! 今からはネロくんの個人アナウンスのお時間だよお! 空気を読んでちょっと待機しちゃったぞ、ザ・ワールドさんは!】
【フィールド・ボスの撃破を記念してええー!? ネロくんに固有スキルをプレゼントしちゃうぞー! おー!】
【アトリちゃんには称号だああ!】
【あとあとネロくんの口座に一千万円もお振り込みしちゃうんだあ! 総理大臣さんありがとっ!】
【じゃあじゃあ、今後も救世をお願いしちゃうねー! ばいばーい】
どうやら魔女討伐を記念して固有スキルが与えられたようです。
素晴らしい!
何よりも素晴らしいのが現金一千万円(非課税)です。世界樹素材で金策は可能ですけれど、やはりまとまったお金は嬉しいですね。
最近では邪世界樹狩りも流行っております。
いずれ世界樹素材の価値が下落することも考慮すれば、こういったサプライズマネーはありがたい。
ステータスを確認しましょうか。
名前【ネロ】 性別【男性】
レベル【65】 種族【ダーク・スピリット】
魔法【闇魔法81】
生産【錬金術84】
スキル【再生85】【鑑定43】
【クリエイト・ダーク82】【ダーク・オーラ61】
【敵耐性減少】【アイテムボックス37】
【逆境強化】【致命回避】【敏捷強化78】
【罠術48】
ステータス 攻撃【325】 魔法攻撃【325】
耐久【325】 敏捷【325】
幸運【325】
称号【偽る神の声】
固有スキル【神威顕現】【邪眼創造】
レベルに関してはだいぶ取り戻しました。
あと少しで失う前のレベルに追いつきます。スキルレベルも順調に育っており、今回は二つ目の固有スキルまで取得できましたからね。
得た固有スキルの名は【邪眼創造】とのこと。
試しに使用しようとしましたが発動しません。邪眼というくらいですから、目玉に関係したスキルなのでしょうけれど、精霊体に目玉は存在していません。
もしや【顕現】時限定のスキルなのでしょうか。
それでは困ってしまいます。
「目玉……作ってみますかね」
私は【クリエイト・ダーク】で目玉を作ってみます。闇一色ではありますが、光の輝きなども上手く利用すれば陰影を引き立てるくらいは造作もありません。
生み出した漆黒の禍々しき目玉。
ちょっと化け物じみていて恐ろしいですけれど、これを出した状態でスキルを発動します。
「【邪眼創造】……うわ」
発動に成功しました。
ですが、空中に生み出した目玉と視界がリンクしてしまいます。急に三つ目の視界が出現したことにより、とても気分がよろしくありません。
数回の瞬き。
ゆっくりと深呼吸をしてから、見え方を探っていきますと慣れてきました。
使用感を試します。
この【邪眼】は第三の瞳としての役割の他、色々な機能を付与することが可能のようですね。呪ったり、状態異常を付与したり、という感じです。
ですが、私は状態異常は使いますけれど、そこまで特化した構築をしていません。
デバフではなく、バフ方面の力がほしいですね。
色々と試した結果、とりあえず【
どういうシステムで演算しているのでしょう。
VRMMOの恐ろしいところが出ています。まあ、その点については今更なので考えないことにします。出来るのですから出来るのでしょう。
この目を使えば、私がアトリの戦闘速度に追いつかない問題が解決されますよ。
ただし、消費MPが莫大なために多用はできません。精々【ヴァナルガンド】中に使うくらいでしょうか。
あの状態のアトリはMP総量も多くなりますからね。
「20レベルとMP総量の一割を犠牲にすれば、永続で消費MPなしで使える邪眼が手に入るようですが……そこまではリスクが高いですかね」
「? 神様にお任せする。ですっ!」
「そうですね。とりあえずは置いておきましょうか」
精霊は契約者のMPを使います。
今、アトリは自分のMP総量を減らされる瀬戸際に居るようですが、それさえもお任せにしてしまうようでした。
恐ろしい子ですね。
とりあえず邪眼の検証はゆっくり進めていきましょう。今のところ、魔眼との違いも明確ではありませんからね。
まあ、名前が違うだけ、みたいな結果もあり得ますけれど。
次はアトリの称号についてですけれど……あまり役に立ちそうにありませんでした。
【友殺し】……友好関係にある生物に特攻。罪悪感が減少する。
現状のアトリでは発動条件を満たせる対象が少ないです。今の装備である【死を振りまく者】のほうが明らかに強いでしょう。
年下のアンデッドの友達が敵に回ったときには、是非とも装備しておきたい称号ですね。
限定的すぎます。
基本的に封印しておくべき称号でしょう。
「とりあえずマリエラの復興を優先しましょうか」
「はい……です!」
ここでは思ったよりも多くの思い出があります。
まあ、私よりもアトリにとっては、ですけれど。ろくな故郷を持たぬアトリにとって、このマリエラこそが真なる故郷でした。
とはいえ、すでにマリエラの名物たる魔女はいません。
何処かへ身を隠してしまいました。
彼女の言葉を信用するのでしたらば、もう一生アトリに会う予定はないようですね。ほんのりと悲しく、寂しいところではありますけれど……生きているだけ良いのでしょう。
私たちはセックを派遣しました。
マリエラは見る間に直っていきます。ですが、見た目は回帰してももう戻らないことはたくさんございます。
きっと。
もう私たちにとって、この街はかつてほどの価値はないのでしょう。
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