1 森奥の廃教会にて

「只今から、デスゲームを始めます。信仰心の高い皆様からのご協力、よろしくお願いします」

室内に響くざわめき。どうして、なんで等の言葉が聞こえてくる。

「ーーー全ては、信仰のため。私たちが信仰するかの神へ近づくための道として、教祖が提案したのです。」

私たちは、あなた方の救済のために動いているのです…

“デスゲーム”を宣言した片翼の彼女はとても儚く美しかった。


“天使様万歳!”“教祖様万歳!”“我ら教徒に幸あれ!”


会場内に響くそれは、教祖盲信している教徒である魔法少女達の声だ。集めた魔法少女は全員が私たちを盲目的に信じ、崇めている。そうだ。この儀式は成功する。

この時の私は、そんな夢を見ていたのかもしれない。

「宣言はした。初動もいつも通り…これでいいんでしょう?ゆらら」

「えぇ。私たちの教徒達ならば、大丈夫。」

高台の奥に隠れていたゆららと呼ばれた少女が答える。彼女こそここの教祖であり、このデスゲームの首謀者である。

「沙那!お疲れ様。ごめんねいつも沙那にばっかり、こんな……」

「魅那!私なら大丈夫だよ…だって、彼らは私たちを襲えないから…私は…ただ、宣言をするだけだよ」

私と、魅那は双子だ。2人合わせて4枚の羽、2人で1人の魔法少女だ。だからこそ、宣言などの仕事を私だけがやっているという現状に罪悪感を感じているのであろう。

「でも…………いや、あたしがどれだけ言ってもひとりで教団の仕事をするのは止めるつもりは無い……のよね?なら、大丈夫。魅那は、沙那の邪魔はしないよ」

少し悲しそうに笑う魅那に、チクリと心が痛む。


どれくらいの時間が経過したのだろう。計画を見返しているとバンと扉が開いた。

「大変だ!ゆらら様!」

その只事では無さそうな様子にゆららが

「何があったの」

と問う。

「反乱だ。反逆者がいた…おそらくは外部の…教徒とは無関係の………魔法少女殺しだと思う。今はアシュリーが狙われてる。死ぬかもしれない」

真っ青な顔をした少年はそう答えた。

「知らせてくれてありがとう。蕾夢……魅那、沙那…私達も行きましょう。」

「はい」





「やはり殺し合いなんて間違っているんだ!だって殺し合いを推奨している神なんてどこにもいないじゃないか!」

教徒の骸の中心で声高々に笑う黒いローブを被り、アシュリーに刃を向ける男がそこには居た。

「貴方は誰なの!?どうして儀式の邪魔を…!」

ゆららが声を上げる。すると男は振り返り

「おや?教祖サマ直々にお出ましか…そんなに重要な儀式だったのかなー?ごめんね?みーんな俺が壊しちゃったぁ」

そうケラケラ笑った。

「……ま、今日はここまでにしてあげるよ……次はお前らも始末する。」

すん……っと真顔になった男はそう言うと姿を消した。

「アシュリー!大丈夫!?」

刃から開放されたアシュリーに蕾夢が走って近づく。

「蕾夢!大丈夫だよ!」

アシュリー体をブンブンと振り回し、元気アピールをして

「…あの男、誰だったんだろう。」

そう呟いた。

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