魔法少女に花束を

音無

プロローグ 某日、研究施設にて

ぴぴぴとアラームが鳴り響く部屋を開く。そこにはいつも通り簡素な机と大きなコンピュータだけが置かれていた。

「おはよう。サカエ。今日のデータはどう?」

1枚のモニターに表示されている少女に声をかける。彼女は声に気づき返事をした。

「おはようございますハカセ。データの展開ですね。少々お待ちください」

“ハカセ”と呼ばれた少女は手に持ったコーヒーを机に置いて

「センパイの悲願達成の為とはいえ、毎度毎度やになっちゃうよね。今回で何回目?この実験。」

そう大袈裟にため息をついた。

「……214世代目ですね。これで最後の実験になればいいのですが……」

「もうそんなにやってたんだ……まぁ、本当に生き物を使った実験にならないだけ、あたしはまだマシ…なのかな」

「……」

ここは、“全人類の幸福”を目指す研究施設。何回も何回も何回も繰り返される実験を、彼女達だけは知っている。

「データの展開、完了しました。」

サカエの声がそう告げる。

「おっ。お疲れ様。どの子達から見る?今回の世代は面白いくらいに人間味が溢れているよね。“子供”とは思えないくらい。」

この子にしようか。そう言って1人の少女のデータを確認した。

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