54:迷宮祭が開催されます
あれから四日。
レイジ君はついに【スローリー・ピッグ】を倒した。
「ピギュゥウウゥウッ!」
初心に返り、丁寧な立ち回りを心がけることに気がつけたのがデカい。
第10層のボス【スローリー・ピッグ】は粒子となり、第11層への道が開いた。
ここからがダンジョン攻略の本番だ。
第10層までを初心者向け、第11層からが中級者向けとすることが多いからな。
レイジ君には心を強く持って頑張っていってもらいたいところだ。
そしてレイジ君の修行をこなし、俺のソロ配信やアーシャとのコンビ配信、リンたちのコラボ配信などを積極的に行い、クランのチャンネル登録者数を着実に伸ばしていった。
現在の登録者数は270万人。
かなり増えてきていて、俺のソロチャンネルよりも多いくらいだ。
そんな中、四年に一度開催されるクラン対抗バトルトーナメント——
迷宮祭は国際迷宮機関が企画し主催している。
国際迷宮機関はダンジョンに関する様々な事柄を管理しており、ダンジョン動画投稿サイト《シーカーズ》もここが運営していた。
今年は《ロンドン迷宮》の第43層にある闘技場で開催を予定しているみたいだ。
その名の通り、《ロンドン迷宮》はロンドン市内にあるダンジョンだ。
世界に7つあるダンジョンのうちの一つで、内部構造的には《トウキョウ迷宮》と何ら変わりはない。
どのダンジョンでも、自分の攻略した階層までエレベーターで移動することが可能となっている。
ちなみに迷宮祭へのクランの参加資格は、メンバーが第43層まで到達していること、となっていた。
レイ率いる《黄金破滅群》は、真っ先に参加表明を出したとアカネから聞いた。
どうやら幼馴染のアカネも《黄金破滅群》の一員として参加するらしい。
俺がアカネと長い間連絡を取らずにいたのも、彼女が《黄金破滅群》に参加したからだったし。
ちなみに、俺たちの《ハードボイルド・フロンティア》も、もちろん同じく参加表明を出した。
ルールは6人対6人の対決で、リーダーを先に倒された方が負けという至極シンプルなものだ。
しかし相手のリーダーが誰かは事前に知らされず、かなりの心理戦が行われる。
闘技場のフィールドは相当広く、過去には隠密に長けたリーダーが一度も接敵せず、相手リーダーを倒しきって勝敗を喫するなんてこともあったくらいだった。
この迷宮祭が行われるのはあと一ヶ月後。
それまでにレイジ君をもっと鍛え上げたり、新メンバーのアーシャとの連携を密にしていったりと、やることは盛りだくさんだ。
クランとしての人気も着実に伸びてきてるし、世界一のクランも夢ではなくなってきている。
そして俺たちは配信に特訓にと、この一ヶ月を精力的に活動し、準備万端といったところで迷宮祭の三日前を迎え、俺たちはロンドンに旅立とうとしているのだった。
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