49:珍しい双銃使い

 その後の長い長い話し合いの結果、アーシャもうちのクラン『ハードボイルド・フロンティア』に加わることになった。


 だが世間への発表のタイミングはまだせずに、機が熟すのを待つとユイは言っていた。

 一番盛り上がるタイミングを作ってから発表する方針で行くらしい。


 しかしアーシャは今すぐにでも俺とダンジョンに潜りたいらしく、結局次の日、一緒にダンジョンに行くことになった。


「ふふふっ、ようやくランキング第一位の実力がこの目で見られるのね!」


 目を輝かせながらアーシャは言う。

 アーシャの得物は珍しい銃型の武器で、しかも双銃というほとんど見ない戦闘スタイルだった。


「あ、やっぱり双銃は珍しいわよね」


 俺の視線が手元に行っているのを見たアーシャは、慣れたようにそう言った。

 まあいろんなところで言われているのだろう。


 この世界のダンジョンで普通のライフルやミサイルみたいな武器が使われないのは、単純にスキルで強化された攻撃よりも火力が劣るからという理由だ。

 まあ俺は以前までスキルを知らなかったので、みんな趣味でそうしているのかと思っていたのだが。

 だからみんなファンタジー世界で使われるような武器を使うわけだが、その中でも特殊なのがこの双銃である。


 まあ銃といってもフルオートの物ではなく、前から弾を詰めるような、海賊が使っていそうな古めかしい銃だ。

 いわゆるプリントロック式のピストルってやつだな。


 これの場合だけスキルが攻撃で使える。

 弾を自動で詰めたり、単純に威力を上げたり、着弾とともに爆発するようにできたりする。

 しかし一発ごとの反動も大きく、銃専用のスキルの種類は意外と少ないので、使い勝手は全武器種中でも最悪だと言われていた。


「まあ珍しいっちゃ珍しいな。双銃は初めて見たかもしれん」


 俺が肯定するように頷くと、アーシャは挑戦的な笑みを浮かべて口を開いた。


「でもこれだけでランキング第二位まで来た私の実力、ちゃんと見せてあげるわ!」

「おお、それは楽しみだな」


 最弱と言われている武器で、ほぼ世界最強にまで上り詰めた実力。

 俺も一探索者として物凄く興味が沸く。


「さて、さっそく行きましょう。魔物が私たちに倒されようと待ち構えているわ」


 ウズウズとした表情でそう言いながら、アーシャはダンジョンのエレベーターに乗り込んだ。

 俺もそのあとに続いてエレベーターに乗り込む。


 向かう先はアーシャの最高攻略地点288層。

 どうやら初っ端から全力で飛ばすつもりらしかった。




―――――――――――――

現在、『チャンピオンBUZZ』で連載されているこの作品の漫画が『シーカーズ~迷宮最強のおじさん、神配信者となる~』とタイトルを変えて、各漫画アプリ等で配信されました!!


漫画家さんが物凄く面白く描いてくださったので、是非そちらもお読みいただけると幸いです!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る