45:新しい人物の登場
拳を構えた漆黒のナイト。
リンたちは距離を取り、警戒体制になった。
「さて、ここからだな……」
俺はビール片手にそう呟く。
でも絶対に勝ってくれるはず。
俺はそう信じてる。
まず初めにユイが攻撃を仕掛けた。
……さっきよりも早い?
一瞬不思議に思ったが、どうやらアキハがバフ魔法を使っているらしい。
おそらくあれは【上級の書・出典:身体能力上昇】だろう。
今まで使わずに残しておいたのか。
あのスキルの持続時間は五分。
最初から使ってしまうと時間が足りなくなると判断したのだと思う。
ちゃんと研究してるな。
コラボ直後の彼女らとは大違いだ。
思わず過去を思い出して涙ぐんでいると、ユイは攻撃を避けきれずに殴り飛ばされてしまった。
不味いか……?
そう思ったが、どうやらこれも作戦っぽい。
その背後からリンが思いきり斬りかかる。
「やぁあああああああああああああああ!」
殴った後の体勢のせいで、漆黒のナイトは避けることができない。
完璧な連携だ。
ユイも殴られたとはいえ、ちゃんと衝撃を殺すように殴られたみたいだ。
リンの攻撃を避けきれなかった漆黒のナイトは、身体強化された斬撃に耐えきれず——。
粒子となって消えた。
——勝った! 流石!!
——熱い戦いをありがとう!!
——みんな成長したな!!
コメント欄も絶賛の嵐だ。
「ありがとう、みんな。これもみんながここまで応援してくれたおかげだよ!」
カメラ目線でアキハがウィンクしてそう言った。
その後ろからリンとユイもやってきて、みんなでハイタッチする。
「やりましたね、皆さん」
「ええ! 頑張りました!」
嬉しそうだ。
そりゃそうか。
あそこまで特訓して、勉強してたんだもんな。
達成感はかなりのものだろう。
俺がその配信にじぃーんとしていると、インターフォンが鳴った。
ピンポーン。
「なんだろう、こんな夜更けに?」
荷物を頼んだ覚えもないしなぁ?
よく分からないが、俺はとりあえずインターフォンに出た。
すると知らない美少女がデカデカと映る。
銀髪の可愛らしい外人さんだった。
「ええと、誰ですか?」
「もしもし、聞こえてる?」
「あ、はい。聞こえてますけど……」
「あーあ、日本語はまだ慣れないわね」
やっぱり外国の人らしい。
俺に海外のコネクションなんてなかったはずだが……?
そう思っていると、彼女はこう宣言した。
「私は探索者ランキング万年二位のアーシャ。アーシャ・ルーカスよ!」
…………はえ?
なんでランキング二位の女性がこんなところに来てるの?
「と言うわけだから、ひとまずこの玄関を開けなさい!」
どう言うわけだよ……。
意味がわからないよ。
俺は困惑しすぎて、思わずため息を小さくついてしまうのだった。
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