22:二人の相性は抜群
やっぱり125層の敵は俺からしてみれば弱かった。
流石にこれではパワーバランスが崩れると思い、いったん見守ることにした。
――今日はトオルの無双が見れないのか。
――流石に強すぎるからな。見守るのも当然かもな。
しかしリンとアキハも十分強く、ドンドンと先へ進んでいく。
そしてあっという間に130層まで来てしまった。
「アキハさん、凄く戦いやすくて助かります」
「いやいや、リンちゃんも凄く戦いやすいよ! 私たちって相性良いのかもね!」
ボス部屋の前で二人はそんなやり取りをする。
それを見ていた視聴者たちは――。
――これぞてえてえ。
――おっさんよりもこっちのほうが需要あるな。
――萌えだ! これぞ萌えだ!
そんな風に興奮していた。
すまんな、おっさんは需要がなくて。
「てか130層のボスって【破滅ウサギ】だっけ?」
「はい、そうですね! 素早さだけが取り柄の【破滅ウサギ】です!」
俺が尋ねるとアキハが頷いた。
素早さだけが取り柄って……。
まあ間違ってないけども。
「俺の手助けは必要か?」
「いえ、ここは私とアキハさんだけで攻略してみたいと思います」
「そうか。分かった。それじゃあ見守るだけにしておくよ」
そう言って俺たちはボス部屋に入る。
そこには先ほども言った通りの巨大なウサギがいた。
そいつは可愛らしく首を傾げると、急に凶暴な表情に変わる。
「じゃあ行きますよ――」
そしてアキハとリンは【破滅ウサギ】と対峙するのだった。
***
二人は呆気なく【破滅ウサギ】に勝ってしまった。
まあ素早さだけが取り柄だからな。
ここのボスはあまり強くないことで有名らしいし。
「簡単だったねー!」
「そうですね。アキハさんのおかげです」
「いやいや、そんなことないよ~。リンちゃんの実力だよ!」
クールに言ったリンの頬を突っつきながらアキハは言う。
――またてえてえが始まった。
――これだよこれ! 俺たちが求めていたものはここにあったんだ!
その様子にコメント欄は大喜びだ。
……ここにおっさんがいてもいいのだろうか?
「それで二人は今日は配信はお終いか?」
俺が尋ねるとリンは首を横に振った。
「いえ、まだやりたいことが残っているのでもう少し続けます」
――やったぁ!
――てえてえ供給助かる。
リンの言葉に俺は首を傾げると聞いた。
「やりたいこと?」
「はい。58層に行きたいんです」
58層は綺麗な湖があることで有名で、確かそこでは釣りなんかも出来たはずだ。
「リンちゃんは釣りをしたいの?」
そう尋ねたアキハにリンは頷いて言った。
「はい。せっかくのアキハさんとのコラボですし、少しまったりしようかなって」
こうして俺たちの釣り配信が急遽決まるのだった。
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