20:コラボ開始します
そして次の日、俺は駅前でリンとアキハを待っていた。
「お疲れ様です、トオルさん」
最初にやってきたのはリンだ。
いつもリンはちょうど五分間に来るからな。
逆にアキハはいつも時間ギリギリに来る。
慌てて駅の改札から出てくるまでがお決まりだ。
そしていつも通りアキハはギリギリに来ると思っていたのだが――。
「あ、お、お疲れ様です! トオルさん、リンさん!」
三分前には集合場所に来た。
珍しいこともあるものだ。
しかし緊張した表情をしているが、多分アキハはリンと初対面で緊張してるのだろう。
もの凄くリンとのコラボを楽しみにしていたみたいだからな。
「はっ、初めまして、リンさん!」
上ずった声でアキハは言って、思いきり頭を下げた。
それにふふっと微笑むとリンは言った。
「はい。よろしくお願いします」
「そっ、その! リンさんと私って同い年って聞いたんですけど!」
へえ、そうなのか。
そういえば二人の年齢を聞いたことがなかったな。
「そうなんですか? 私は二十二歳ですけど」
「あっ! それなら私と同じです!」
リンの言葉に嬉しそうにピョンピョン跳ねるアキハ。
そんな彼女を優しそうな微笑みで見つめるリンと同い年とは思えないけどなぁ……。
「まあ、ともかく早くダンジョンに行こう」
俺が言うと、二人は頷いて125層まで潜った。
リンが一番遅れているから、彼女の探索を手伝おうということになったのだった。
***
――おおっ! この三人のコラボは熱い!
――トオルさん! 一昨日の配信最高でした!
配信を付けると、さっそくそんなコメントが流れてくる。
同接はすぐに五万まで伸びていた。
「おおっ、一昨日のユイとの配信を見てくれてる人が居るんだな」
コメントを見て俺が呟くと、呆れたようにリンが見てくる。
「逆にあの配信を見てない人のほうが少ないと思いますよ」
「そ、そうか……? そこまでじゃあないと思うけど」
盛り上がっていたのは確かだが、見てない方が少ないなんてあり得ないだろう。
――しかし今日は125層か。
――トオルは450層だもんな。ここなんて余裕だろう。
その言葉に俺は頷く。
「まあ流石に125層は余裕だな。だから今回は二人のバックアップに努めるつもりだ」
俺が言うと、コメント欄は疑いを向けてくる。
――ほんとぉ?
――いやいや、絶対倒しちゃうでしょ。
――勢い余りそう。
そんなこと無いんだがなぁ。
ちゃんとバックアップを意識するつもりだぞ。
そんな風に配信を始めた途端、その125層にスーツを着た男たちが現れるのだった。
「初めまして、トオルさん。私は大手クラン『黄金破滅群』のリーダー、レイです。今日は勧誘に来ました」
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