15:危険、転移トラップ
「早速攻略していくぞ〜」
「はい! 頑張りましょう!」
そして155層をドンドンと進んでいく俺たち。
出てくる魔物はバッサバサと倒していく。
——やっぱりこの人おかしいよ……。
——いつ見ても圧倒的な強さだな。
しかし俺だけが倒していくのも良くないなと思い、振り返ってユイに言った。
「そろそろユイも魔物と戦うか」
「そうですね。一匹くらい譲ってくれると助かります」
ということで、俺は出てきたAランクの魔物【電撃ネズミ】を譲ることにした。
「行きます!」
そしてユイは二振りの直剣を取り出すと、構える。
彼女は二刀流だったな、そういえば。
ユイはダンッと地面を蹴り上げると、【電撃ネズミ】に接近する。
そして右から左からと斬撃を器用に繰り出していく。
ネズミは避けようと動き回るが、ユイの圧倒的手数に逃げ切れるはずもなく。
ものの数分で粒子となって消えた。
「おおー、流石だな。ユイもかなり成長したじゃないか」
「ふふっ、ありがとうございます」
小さく笑い、ユイは頭を下げた。
そんな時だった——。
俺たちの周囲に魔法陣が展開される。
まっ、マズい!
これはあれだ——。
——トラップモンスター!?
——ヤバい、これはトラップだぞ!
——ど、どうしよう!
コメント欄も慌てふためき始めた。
しかし発動したトラップからは逃げ切ることはできない。
普通はモンスターにうっすら浮かんだ幾何学模様を見て判断するのだが。
その【電撃ネズミ】は身体中に電気を纏っていたせいで、見落としたのだ。
次の瞬間、カッと光が俺たちを覆い、どこか知らない場所に転移させられるのだった。
***
「……ここは何層だろうな?」
グツグツと溶岩が噴き出している階層だった。
俺も見たことがない階層だ。
と言うことは、400層は余裕で超えている。
——ヤバいな、これは……。
——こんな階層、初めて見たぞ。
「トオルさんはこの階層を見たことありますか?」
「いや、ないな」
「ということは、400層は余裕で超えてますよね……」
そのユイの言葉に俺は頷く。
マズった。
ユイを巻き込んでしまった。
俺一人ならまだ良かったが、彼女を巻き込むのはよくない。
一応、ダンジョン内の死は外ではなかったことになるが、トラウマになる可能性がある。
「いずれにせよ、ここの階層を攻略しないと、俺たちは地上に帰れないな……」
各階層にはエレベーターが用意されていて、それを解放して初めて攻略となる。
そのエレベーターは各階層の奥地に設置されているので、それを探さないといけない。
そう俺が思っていると、ズンズンと地響きが響いてきた。
そして姿を表した魔物は——。
俺が400層で戦ったボス【伝説ゴーレム】が三体同時に出てきたのだった。
——おい、これってあの切り抜きの……。
——400層のボスが三体だぞ! 絶対やばい!
——これはいくらなんでも無理なんじゃ……。
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