7:二人目の再会

 次の日、俺が目を覚ますと登録者が5000人になっていた。

 これにはビックリ仰天。

 インフルエンサーの影響力の大きさを実感する。


 コメント欄には


——リンから来ました!

——昨日のリンとの配信良かったです!

——これからも頑張ってください!


 そんな感じのコメントがたくさん書かれていた。

 しかしその中に困惑しているコメントも見受けられた。


——アキハから来たんだけど、どうなってるの?

——この人、リンとも知り合いなんか。


 アキハか……。

 彼女とも一年くらいコラボしていない。


 もしかして、彼女もバズってたりして……?

 少し気になったので、彼女のチャンネルを開いてみる。


 すると——。


「と、登録者数150万人……リンより多い……」


 彼女もバズってた。

 最新の配信を見てみると、どうやら彼女も俺のことを話したらしい。


 しかも、師匠として。


 ええ……どうしたもんかな。

 おじさん、いきなり目立ってビックリしてる。


 そんな風に恐々としていると、ピコンと通知が鳴った。


『明日、久しぶりにコラボしませんか!』


 アキハからだった。


 もうやけっぱちだと思い、俺は了承の返事をするのだった。



   ***



「お久しぶりです! トオルさん!」

「ああ、久しぶり」


 そして次の日になり、俺は駅前でアキハと待ち合わせをしていた。

 すると以前と変わらないアキハがてを振りながら寄ってきた。


 赤茶色のポニーテールがピコピコと揺れている。


「じゃあ、さっそくダンジョンに行きましょうか!」


 そしてズンズンとダンジョンに向かっていくアキハ。

 周囲の人間は、


『おい、あれってアキハじゃね……?』

『すげぇ、生アキハ初めて見た。メチャクチャ可愛いな』

『あれで150層まで潜ってんだから凄いよな』


 そんな風にコソコソと噂話をしている。


 どうやら彼女の場合は、話しかけてきたりはしないらしい。

 リンの時はラフに話しかけてきていたが、違いは何なんだろう。


『しかし、隣にいるおっさんは誰だ?』

『もしかして、昨日リンの配信に出てたトオルって人じゃね?』

『確かに、言われてみればそうかも』


 もしかして俺も徐々に認知度が上がってる……?

 何か怖い。


 周囲の視線に晒されながら俺たちはダンジョンに潜った。


「それで、今日は何層行くんだ?」

「155層を目指そうと思ってます!」


 ほほう、アキハはリンより進んでいるらしい。


 まあもとからアキハのほうが進んでたしな。

 それに、アキハは戦闘センスが頭抜けていた。


「おっけー。俺は構わないよ」

「流石ですね! そこまで軽々と155層に潜るを納得できるのなんて、トオルさんくらいだと思います!」


 そういうものか?

 意外と155層は楽勝だったぞ。


 過去の記憶を探りながら俺はそう思う。

 しかし首を傾げる俺に、アキハは苦笑いを浮かべた。


「やっぱり世間知らずは相変わらずみたいですね!」

「そうか……俺は世間知らずなのか……」


 まあ昨日のリンとの配信で散々思い知らされた訳だが。


 そして俺たちはエレベーターで150層まで来ると、アキハは配信の準備をする。


「やっぱりアキハも配信形式なんだ」

「はい! 最近の流行なので!」


 うーん、俺も配信にしてみようかな。

 そんなことを考えていると、準備が終わり配信が始まるのだった。


「やあやあ! アキハだよ! 今日はゲストを呼んでるんだ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る