第55話
ログハウスを分解してキャンプ地を移動させ、更に食堂を改善したところでようやく時間が出来た。
パンサンド食堂ではコーヒーを選べるようになり、以前のような過度な混雑は無くなった。
「コーヒーがうまい」
ドラグから連絡があった。
『落ち着いたようだな』
「やっと落ち着いた」
『例の件は出来そうか?』
「それについてはダンジョンの視察が必要だ」
『分かった。その前にこっちの国に来てパンサンドとパスタ店のオープンをしてくれ。金は出す。失敗してもリスクはこっちで持つ』
4国ある島国の内一番南は竜族が王を務めと統治している。
ドラグの故郷がある地は暖かく、ブルーフォレスト地方より今は過ごしやすいだろう。
次はナインステートに向かうのだ。
「それは、出店希望者がいれば出せるが」
『イクスが言えばやる人間は出てくる』
「人の問題が解決したとして建物は」
『イクスが作ってくれ。野営地と同じ作りでいいし金は出す。敷地はここだ。後、アクリスピがフライドポテトを待っている。あまり遅くなればそっちに行くだろう』
あいつが来たらろくなことが起きない。
「なん、だと!すぐに動く!まずは人に呼び掛けて食堂の人員を増やす。木材を北のブルーフォレストから仕入れて南のナインステートに向かい、そこで建築を行う!」
『それで頼むぜ、ん?ちょっと待ってくれ。ん、分かった。イクス、ブルーフォレストにある木材を買えるだけ買ってきてくれ。ブルーフォレストの相場より1.5倍高く買い取る』
「ブルーフォレストにいる冒険者に頼んでみよう」
通話が終わるとアクアマリンのパーティーが立っていた。
「手伝います!」
「ああ、助かるが、カノンのご褒美は何だ?思ったよりやる事が増えた」
「ブルーフォレストで話しますわ」
「分かった」
「ブルーフォレストの皆には私から頼んでおくね!」
「頼む」
アクアマリン達は魔道列車で旅立つ準備を進め、すぐに出発した。
俺は食堂の人員募集と人が抜けた分の教育を頼んで、場合によっては俺も教育を行おう。
色々考えていたが結局すぐに人が集まり、ここを抜けた分の人員は皆で教育してくれることになった。
だが、
「ブルーフォレストにも食堂をオープンさせましょう。領主に確認してみた所、食堂を外注に委託できると喜んでいました」
ブルーフォレストで奴隷を訓練した結果冒険者が増えてギルド職員の負担が増えた。
結果、食堂経営を委託する流れが出来た。
更に人が必要か。
「分かった。追加で働きたい者を募集する」
俺は3日間調整をしてから食堂のオープンスタッフ15人を連れてブルーフォレストに向かった。
今回は15人だけで、しかも魔道列車は2回目、楽だな。
【ブルーフォレスト】
ギルドにフードコートタイプの食堂をオープンさせつつ、木材の買い取りを行った。
時間が出来るとフードコートでカノンが話しかけてきた。
アクアマリン・ニャリス・ジェンダは少し遠くで見ている。
カノンは何故かゴレショで配信を始めた。
「ご褒美の件は今で良いですわね?」
「ああ、待たせたな」
「お褒美は、わたくしの秘密を知っても、いつも通りに接してくれることですわ」
「そんな事か、大丈夫だ」
「少し、待っていて欲しいですわ」
「ん?分かった」
カノンが上の階に向かった。
宿屋に行ったのか?
意味が分からない。
カノンが戻って来ると大人用のバスローブを着ていた。
「……サイズが合わないだろ?」
「良いのですわ」
そう言って俺の膝に座った。
そして上を向くように俺を見た。
「……ん?」
「わたくしの秘密を知ってもいつも通り接してくれますわね?」
「ああ、約束だ」
『カノンの様子がいつもと違う』
『急に配信が始まった。何かがある』
『カノンちゃん、緊張してるな』
『秘密って何だろ?』
カノンが腕輪を外した。
その瞬間カノンの体が光り、体が大きくなる。
美少女だったカノンは成長し、美女の姿に変わっていた。
『美女に変わった!』
『これがカノンちゃんの本当の姿か!』
『そのためのサイズが大きいバスローブだったのか!サプライズすぎる!!』
『お母さんの顔wwwwwwww』
俺は咄嗟にカノンを膝から降ろそうとするがカノンは早口で言った。
「いつも通り接してくれると言いましたわ!」
「だが」
「いつも通り接してくれると言いましたわ」
「いや、でも」
「約束ですわ」
「な、なん、だと!」
コメントが高速で流れる。
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