第54話
グランドはブルーフォレストに帰って行った。
俺は後からグランドの演説を見つけた。
グランドの説得力がありすぎる。
グランドの演説は強力すぎるんだよな。
グランドは俺より優秀なのに俺を異様に立ててくる。
でも、ちゃんと見れば、最初は何で泣いたの?から俺を褒める話にすり替わっている。
みんな気づいていないのか?
誰も話がすり替わっている事を指摘しないし何事も無かったように処理されている。
……おかしい。
俺はログハウスを解体し、拠点を前に移してログハウスを組み立て直した。
俺や奴隷解放者だけでなく他の冒険者も付いてきた為、スライム簡易取引所の人数を増やした。
冒険者もスライムを買い取って欲しいという事だったで販売価格の80%と安めに買取を行ったがそれでも売りに来る人が増えていった。
簡易販売所の様子を見に行った。
「スライム6体で4800ゴールドになります。ギルドカード決済になります!」
「おう!頼むぜ!」
お互いのギルドカードを近づけて決済を済ませる。
「お待ちのお客様!こちらへどうぞ!」
忙しそうだ。
邪魔をしてはいけない。
俺は工房に向かった。
布皮製品と鍛冶製品を作る錬金術師が交代制で24時間働いている。
忙しそうではあるけど、ここは何とかなるだろう。
次に食堂に向かった。
食堂は満席で座って待つお客さんが列を作っている。
俺は裏のキッチンに入った。
「サイダーの炭酸魔法が間に合いません!」
「分かったからビンを洗って!ビンも足りないから!」
「ジャガイモのフライが間に合わないよ!」
ここは、かなり忙しそうだ。
一般冒険者にも食堂を解放している分無理が来ている。
だが食べさせないのは違う。
売値を上げる手もあるが、それは効率化を進めた上で無理な場合のみ行いたい。
今ではないのだ。
販売所・工房・食堂の中で一番無理が来ているのは食堂か。
スライム狩りの方も見てみよう。
俺は外に出てスライム狩りを見て回った。
少年パーティーに声をかける。
「おはよう」
「「おはようございます!」」
「順調そうだな。困っている事は無いか?」
「食堂待ちが長いです!」
「昨日は1時間待ったよ」
「サイダーを持って出かけたいです!」
全部食事関連か。
「スライム狩りについてはどうだ?」
「大丈夫」
「いっぱい倒してます!」
「そうか」
他にも聞いて回ろう。
少女のパーティーに声をかけた。
「おはよう」
「「おはようございます!」」
「スライム狩りは順調か?」
「「順調です!」」
「困っている事は無いか?」
「食堂の待ち時間が長いです!」
「他の料理も食べたいです!」
「分かった」
その後、聞き取りを続けたが、ほぼ食事関連の不満で残りの3件は風呂に入りたいという意見だった。
俺はすぐに新しいログハウスを作った。
「この建物をカレーとパスタの店にする!」
焚火の中、皆が俺を囲んで拍手をする。
そしてニャリスが配信している。
「やりたい人はいるか?」
10人ほどが手を上げた。
「明日の朝から練習をしてみよう。明日の朝に新しく作った店に集合だ」
「「はい!」」
「明日から食べられるの?」
「どうなるか分からない。期待は出来ないだろう。明日は練習で昼を過ぎても料理が出来ないかもしれないし、料理を失敗する可能性もある。練習の為たくさん作ることはない」
「見学してもいい?」
「いいが、キッチンに入るのは駄目だ。座って見ていてくれ。ただ、あくまで料理の練習がメインだ。すまないが今日は休む」
明日からは料理訓練だ。
早く寝て早起きして掃除をする。
【次の日】
店の客席には人が埋まり、キッチンを立ち見する者で溢れていた。
そしてニャリスは配信している。
さっきから手を洗っているだけなのに見られていて落ち着かない。
「すまんが、今日は料理の訓練だ。料理を提供できるとは限らんぞ」
「「大丈夫です!」」
「……手洗いは以上だ。次はミートソースを作る。まずは野菜のみじん切りだ」
玉ねぎなどの野菜をみじん切りにしていく。
俺の横で皆がまねをする。
錬金術師の子はすぐに仕事が出来るほど手際がいい。
「次は野菜を炒める。最初は強火で、水分が飛んできたら火力を落として黒く焦げないように仕上げていく。ここで焦がすのは駄目だ」
「はい!焦がしたらどうすれば良いですか?」
「焦げた部分は残し、フライパンを交換する」
「分かりました!」
「次は塩コショウを振っておいたひき肉をフライパンで焼くが、ハンバーグのように焼き色を付けるまで放置だ。ここはハンバーグのように焼き色を付ける!そしてワインを投入!」
「炒めた野菜と肉、そして水とカットトマトを投入して煮込む!後はたまに混ぜて水分が飛んだら塩コショウで味を調えるだけでいい」
見学から声が上がる。
「まだあ?」
「味見したい」
「簡単に作れるの無いの?」
『絶対にうまいやつだ』
『今日はパスタを食べに行こう』
『俺は自分で作るぜ』
『店で出すガチの作り方じゃないか』
「今は料理の練習を優先する。錬金術師組は調合に慣れている分技量は問題無いようだ。さっきまでの工程を大量に作れるか?」
「出来るよ!」
「行ける!」
「簡単だよ!」
「分かった。次は大きなフライパンでやってみてくれ。他の者に教えるのも頼みたい」
「「はい!」」
出来る事はどんどん任せる。
「次は大鍋に湯を沸かして塩を入れる。そしてパスタを茹でていく」
「茹でたパスタと作ったソースを鍋で混ぜてゆで汁で汁気を調整して皿に盛る。そしてチーズをかけて完成だ!」
本来はソースをあらかじめ作って置いて冷やして保存しておくことで注文を受けてから手早く完成させるが、ソースを作るまでが長い上にまた冷やせば試食が出来なくなる。
パスタも生ではなく乾燥保存していた物を使っているので食感も落ちるが、遠征中の食事としては問題無いはずだ。
出来た味を体験してもらう。
「「おおおおおおおおお!」」
訓練中の10人がパスタを食べる。
「ずるい!」
「ずる過ぎる!」
「こっちの分まだあ?」
「パスタとカレーの店にしようと思ったが、ソースさえ大量に作れれば今日から提供可能か……今日からミートソースを売り出してみるか?」
「「やりたいです!」」
『臨機応変な予定変更出た!』
『カレーとパスタじゃなくて実質パスタの店になりそうだな』
『だが、それでもいい。俺も食いたいぜ』
『奴隷や元奴隷がやっているなら食べに行けばそれだけで奴隷解放の応援にもなる』
みんなに拍手が送られる。
「では、頼む!教育も錬金術師組にお願いしたい」
「「分かりました!」」
俺は10人に任せて店を出た。
次はフライドポテトを揚げる魔道具と、パンサンドの店からサイダー部門とパン部門を分離させる。
思ったより評判が良すぎたのだ。
俺は更に動いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます