第16話
【次の日の朝】
動画をチェックして寝たらもう次の日か。
進化したアクアマリンが心配だ。
やる事を後回しに朝早くギルドに向かう。
アクアマリンが食事を終わらせて顔を拭いていた。
「ご主人様、おはようございます」
「うむ、おはよう。体調はどうだ?」
「大丈夫です。素振りを見てください」
「分かった」
アクアマリンが外に出る。
そして踊るように素振りの型を行う。
もう体がなじんだのか。
センスがいい。
「うむ、慣らしにスライムと闘ってみようではないか」
「はい!」
「俺の食事がまだだった。俺が食べてからでいいか?」
「はい!」
アクアマリンは食事が終わったばかりだ。
食事の吸収が終わってからの方が体が動く。
俺はいつもよりゆっくりと食事を食べて、ゆっくりとコーヒーを飲んだ。
アクアマリンは食事をする俺をずっと見ていた。
「どうしたのだ?」
「仮面は、取らないんですか?」
「取らない」
「目立ちますよ?」
「取らない」
「ギルドに入るとみんなご主人様を見ます。動画の切り抜きも上がっていました。仮面はかなり良い装備だと紹介されていて再生数が伸びていました」
「うむ」
「もう、むりですよ。外しませんか?」
「考えておこう」
話をしていると冒険者が増えてくる。
「よう、おかあ、イクス、大丈夫か?」
「問題無い」
「慈善事業より自分の呪いを治した方がいいぜ」
「問題無い」
「騒がしくなってきたようだ。そろそろ行くとするか」
「はい」
2人でダンジョンに向かった。
「配信をスタートするのだ」
「ご主人様は配信しないんですか?」
「俺はいい」
「分かりました。ゴレショ!起動!」
ゴレショが飛ぶ。
ギルドカードを操作して配信がスタートした。
「おはようございます。アクアマリンです。今日は進化後初のダンジョンにチャレンジします」
そう言ってダンジョンに入った。
朝にも関わらず視聴者数が増えていく。
こいつら夜勤か何かか?
『アクアマリンちゃん待ってた!』
『魔王様もいる!』
『呪いの調子はどうだ?』
『アクアちゃん、配信に慣れて来たね』
「その前に言っておく事がある。くっくっく、アクアマリンに誹謗中傷をしたり、煽り系のコラボを依頼してくる者がいる。すべて俺がブロックしてやった。貴様ら、魔王であるこの俺に嫌われぬよう気を付けるのだな。くっくっく」
『お母さん来た』
『お母さんモード来た!』
『おかあさあああああああああああああああああああああああああああああンんンん!』
『世話焼き魔王様だな』
『そんな事より呪いを治せって』
「呪いはアクアマリンにうつる事は無い。問題は無い」
『そういう事じゃねえ!』
『魔王様、ご自愛ください』
『魔王様はよく話をスルーするしたまに話が噛み合わないよな』
「む、早速スライムが来たようだな。戦って倒すのだ」
7体のスライムが迫って来る。
アクアマリンは返事の代わりに素早く走ってスライムをすべて真っ二つにした。
「良いだろう」
『ほっこり』
『魔王様ほっこり』
『このくらいなら誰でもできる。俺でも真っ二つに出来る。冒険者じゃない大人でもスライムなら倒せる』
『は?こいつマジ?アクアちゃんは冒険者になって日が浅いんだぞ?すごい成長だろ?』
『7体のスライムに囲まれたら大人でもなぶり殺しにされる』
コメントで喧嘩が始まった。
「喧嘩をやめなければ追い出す」
『喧嘩はやめとけ!お母さんが怒る』
『アクアちゃんの収納が早くなってね?』
『魔力が増してる?』
『進化したからだろ?』
『ボススライムも収納できるんじゃね?』
「うむ、ボススライムを倒して収納してみるのだ。失敗しても構わん。チャレンジするのだ」
「はい!」
ダンジョンの奥に進む。
ボススライムが1体現れる。
「やあ!」
アクアマリンはあっという間にボススライムを倒した。
そして問題無く収納する。
「どんどん行けます」
「う、うむ、だがあまり魔力を使いすぎると動きが悪くなってしまう。ほどほどにな」
『お母さんモード』
『男だけどな』
『母性を感じる。仮面を取ってくれないかな?』
「あの」
「なんだ?」
「試しにたくさん魔力を使ってどのくらい動きが悪くなるか試したいです」
「良いだろう。感覚を掴む事は大事だ。ソロでダンジョンに来た際にその感覚は役に立つだろう」
そしてアクアマリンのスライム狩りが進んだ。
中々魔力が無くならない。
スライムではもうアクアマリンの相手にならないか。
「アクアマリン、ここらでやめておこう。いったん戻るのだ。魔力の限界を掴むのは次の機会にするとしよう」
「はい!」
ダンジョンを出て配信を終了させた。
想定より強くなっている。
俺のやる事は後回しにして、アクアマリンには新しいダンジョンに行ってもらうとするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます