111 無用の長物では?
シヴァはディメンションハウスで昼食を済ませると、キエンの街のダンジョンで手に入れたドロップ品を整理し、いらない物だけ大きな袋に入れ、ウエストポーチ型マジックバッグに入れた。
まとめておけば、一度に出せる。
そういえば、放置してた、と思い出したのと、キエンの街にいた証拠にもなるし、明日にでも買取に持って行くつもりなので。
シヴァはちゃんと門から出て、門の警備兵たちの前で人工騎竜を出して乗り込んだ。
ダンジョンまで徒歩二十分なので人工騎竜だと一分もかからないが、もっと遠いと思ってた、というのと、人工騎竜を印象付けるのは大事だろう。
アリョーシャダンジョンの1階~10階までは、一気に駆け抜けても問題ないのだが、2階のアークフロッグの香辛料と7階のジャンピングゴートのチーズ、8階のランニングバードの羽、肉、卵は多目に狩っておいた。
この傾向が分かれば、「アルじゃ…」疑惑に繋がるが、幸い、そこまで誰も見ていない。
シヴァなので素手ではなくちゃんと大剣を使って戦っており、だんだん間合いが分かって来た、気がする。
10階のフロアボス、ブラックベアはまたもリポップ待ち。獲物として手頃なのかもしれない。
誰かに見られるとマズイので、結界を張っての休憩はせず、ディメンションハウスにて休憩し、11階以降もほとんど走り抜けるが、12階のトレント(板チョコドロップ)と13階のスパイダーシルクは、殲滅する勢いで狩りまくった。
上位種の物もあってもこちらも汎用性が高いので。
19階のジェネラル・ロードスパイダーシルク狩りも外せない。
そして、食材・素材を集めつつ、20階のフロアボスはワイバーン。
人気がないのか、飛んでるから倒し難いのか、誰もチャレンジしてなかった。
ワイバーンが上空にいたのでシヴァは飛行魔法で飛び、結界を足場に跳んでザクッと一撃で首を
一秒以下だとダンジョンエラーが出るかも、と今度チャレンジしてみることにした。
転移と次元斬を使えば、離れていても一撃で可能なので。
前回はダンジョンエラーになり、そのドロップ品は魔石と【魔法陣の書】と【ディメンションハウスのペンダント】という、とんでもない物ばかりだった。
今回はエラーになっておらず、すぐにドロップに変わる。
魔石と手のひらサイズのキラキラしてないビロードの宝箱と【飛竜のガントレット】。
宝箱の中には宝石が付いたレトロな鍵が入っていた。
【マスターキー・ダンジョンマスターのみに与えられ使用出来る鍵。所有ダンジョン以外のダンジョンマスターがいないダンジョンのコアルームに入ることが出来る】
…こう来るのか。
【アリョーシャダンジョンソロ攻略者】という称号があるので、レアドロップ率がいいのは実証しているが、この鍵も相当なレア物だろう。
次元斬が使えるシヴァでなければ、出入口のないダンジョンコアルームに中々入れないだろうし。
…ということは無用の長物では?
「ダンジョンボスを倒さなくても入れるとか?」
罠が仕掛けられてないことを確認してから、マスターキーを手に取ると……ダンジョン内なら、どこからでも入れるらしい。
ものすごく余計なものかもしれない。
こんなものがあったら使ってしまうだろう!
鍵はどこかに差す必要はなく、空中でひねるだけ。
それだけで扉が現れて開く。アリョーシャダンジョンは、ダンジョンマスターがやはりいなかったらしい。
中はキエンダンジョンのコアルームと同じく殺風景で台座があるだけだった。ダンジョンコアを置いてる台のデザインが違うぐらいか。
シヴァは罠がないことを一応確認してから、コアに触れる。
【初めまして。キエンダンジョンのダンジョンマスター。わたしはアリョーシャダンジョンのコア。お目にかかれて嬉しいです】
…何やらもっと人間的だな。こちらの方が学習してるのだろうか。
「ああ。初めまして。で、20階でこんなマスターキー出すのってどうなんだよ?」
【どうとは?気に入らないのですか】
「そうだ。他のドロップにしねぇ?」
【あなたがダンジョンマスターになれば、ほぼ何でも作ることが可能です。ダンジョンマスターは兼任も可能です】
「ドロップ品の交換は出来ないってこと?」
【こちらで処分することは可能です】
「じゃ、処分して」
【今ダンジョンマスターに登録しない限り、二度とコアルームに入れなくなりますが、よろしいでしょうか?】
「いや、入れる。おれは転移魔法が使えるからな。複数のダンジョンのダンジョンマスターになるメリットは?」
【今までそういった例がないので分かりません】
「一つ持ってりゃ十分だしな。メリットが分かったら登録しに来る。じゃあな」
シヴァはマスターキーをダンジョンコアの上に置き、受け取ったのを見てから、20階のボスフロアへ戻った。
宙に浮いていた扉はすぐ消える。
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