088 任意同行=強制連行
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名前:アル(アルト)
年齢:16歳
状態:良好
職業:冒険者(Cランク)
Level:66
HP:4880/4880
MP:267000/267000
攻撃力:SS
防御力:A
魔法防御力:A
素早さ:A
器用さ:S
知力:SS
幸運:B
スキル:多言語理解、物理・魔法・状態異常全耐性、魔力自動回復、浮遊魔力利用、剣術、錬金術、鑑定、体術、魔力操作
魔法:生活魔法、空間魔法(収納、転移、次元斬)、属性魔法(火・水・風・土・雷・氷)、身体強化、結界魔法、付与魔法、探知魔法、重力魔法、回復魔法、飛行魔法、影魔法(影転移)
称号:転移者、時には虐殺もする快適生活の追求者、アリョーシャダンジョンソロ攻略者、ロンリーバイカー、パラゴダンジョンソロ攻略者(2回)、知的探究者、ディメンションハウスの所有者
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…攻撃力と知力が上がってた。
ここ最近、超貴重なレアアイテムをゲットしまくりだったので、何か称号が付いたのかもとステータスボードを出してみた所、この結果だ。
いつ上がったのだろう?…というか、上限はSだと思ってた。
それ以上もあったのか。
【知的探究者・レアアイテムに遭遇し易くなる】
【ディメンションハウスの所有者…意図せずダンジョンエラーを3回なし遂げた者に贈られるディメンションハウス、その所有を認められた者。
譲渡不可能アル限定アイテムになり、ディメンションハウスのペンダントはもし、盗まれても戻って来るようになる。ディメンションハウスのレベルが上がり易くなる】
やはり、称号のおかげもあったらしい。
ますます他者には見せられないステータスになっているので、きっちりと隠蔽しておこう。
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カーラの初ダンジョン探索体験は無事終わり、五番目の姫一行が王都に帰り、アルが隣国ラーヤナ国へ行く準備を進めて数日。
朝、領主からアルに呼び出しがかかった。
出頭命令という程、強制ではなく、丁寧な言葉で丁重な態度だが、任意同行らしい。
無視してもよかったが、ナバルフォール子爵家の立場がなくなると、ウラルが可哀想なので、アルは渋々と迎えの箱馬車に乗り込んだ。
想像通りに乗り心地がよろしくないが、アルだけ別の方法で、というのも変に揉めるだけだろう。
迎えに来た騎士たちが緊張しまくりなのが笑えた。
大げさな話を聞いてるのと、アルの実力を多少は察することが出来るからだろうが、別に何もしなければ、こちらも何もしないのに。
…ああ、そうか。領主の命令があれば、従わざるを得ないからかも。
「武器や荷物を取り上げなくていいの?」
暇なのでちょっと訊いてみる。
何も言われず、触られもしなかった。
飾りになってるとはいえ、腰のナイフもそのままだ。
紺色のマジックバッグもいつものように斜めがけにしている。
預かる、と言われても渡すワケがない。
人目に触れても大丈夫なように、旅行準備で必要な物を入れてるし、時間停止機能まで付けた大容量マジックバッグだ。
なのに、普通に持って来たのは、奪いに来るのなら空間収納にしまうだけなので。
「そう言われておりますので」
「随分と緊張してるみたいだけど、どうかした?」
「お気遣いなく」
「魔物と一緒に檻に入った方がリラックスするかも、って感じ?得体の知れねぇもんって怖いのは分かるけど、話し合えるのが人間のいいトコなんじゃねぇの?」
「…どうして、そう落ち着いていられるんでしょうか。領主様からの呼び出しとなれば、緊張するのはアル殿の方では?」
「領主ってウラルのパパの上司か、程度の認識だからだな。こっちの都合を無視する御仁と建設的な話し合いなんて無理だろうけど、一度ぐらいはウラルのパパの顔を立ててやらねぇと」
権力者は平民の都合なんか、その辺にいるアリ程度にも気にかけない。
そう教育されて生きて来て、ただの平民に文句が言えるハズもなく、結果、今までは何の不都合もなかったのだろう。貴族相手なら先触れを出したり、手紙で都合を訊いたりするのに。
「……し、失礼がありましたこと、上司に代わってお詫びします」
こちらの都合無視な所から、失礼だったとは騎士も思わなかったらしい。
貴族じゃなさそうだが、それが当然の日々を送っていれば、次第に染まるものだ。迎えの馬車をやっただけで丁重な扱いだと思っていたに違いない。
「騎士さんに謝ってもらっても意味ねぇだろ。何の権限も持たされてねぇだろうから口先だけだし。おれに逃げられたら責任問題になるから謝っとこう、ってことだろうけど、それが更に苛立たせることになるのは覚えといた方がいいぞ」
「…はい」
「そもそも、さ。おれの噂聞いてるだろ?魔法対策しなくていいの?魔法を封じる魔道具があるって聞いたことがあるけど」
そして、アルは研究したいと思っていたので、魔法を封じる魔道具があるなら使って欲しかった。魔法のない世界で生きていただけに、どうとでも出来る自信があるからこそ、だ。
おそらく、【ディメンションハウスのペンダント】には魔法を封じる魔道具は利かないだろう。マジックアイテムなのだから。
取り上げられても戻って来るようだし、その辺りも検証したかったのに。
「連行ではありませんので」
「ほぼ強制なのに言葉だけは取り繕うワケな」
「…怒ってはいらっしゃらないようですが…」
謝るかどうか迷ったらしく、騎士は躊躇してからそう言う。
馬車内にいるのは一番責任が重いので隊長クラスだと思っていたが、班長かクジで負けた人、といった所らしい。
アル一人に騎士が四人も迎えに来て、一人は馬車に同乗している所も異例なのだろうが、半端も半端だった。人選もクジなのかもれない。
「呆れてんの。姫様一行がいた時にはナバルフォール子爵家に丸投げで放っといたクセに、革新的な魔道具の乗り物を作った奴がいるとなると飛び付いて来る辺りがあからさまで。王族がないがしろにされてたの、王様はどう思うかなぁ?権威的にも面子的にも」
通信魔道具でとうに知って動いてそうだ。
非公式とはいえ、領主が挨拶すらしてない、護衛騎士すら送ってないのは五番目の姫だと侮り過ぎだろう。
ナバルフォール家の子息と私兵が護衛していたので体面はいい、ではない。
こうもやらかすと、単なる地方領主の伯爵が叱責だけで済むワケがない。
後ろ暗い所があるだろう、とネチネチ調べられて左遷されるのはマシな行く末だ。この際、つけ上がってる貴族どもに牽制しておこう、と闇に葬られることもある。
「でもって、おれ、姫様一行が盗賊に襲われそうな所に居合わせて助けたし、姫様の説得にも尽力したんで、多少の恩ぐらいは感じてくれてると思うし?」
アルにはこういった交渉カードがあったりするワケで。
「領主様が賢い人だといいな?」
無理そうだが。
それ以降は会話するのはやめ、アルは暇も暇なのでマジックバッグから紙とペンを取り出し、手紙を書き出した。
領主を何とかしてから隣国に行くつもりだが、ダンたちや女将たちには迷惑をかけるかもしれないので。
冒険者ギルドには別にいらない。
冒険者を守るのが仕事なので、仕事しろ、である。
自分で何とかするだろ、と放って置かれそうだ。
騎士は止めるかと思ったが、アルと目が合うなり思いっきりそらした。それ以降も見てませんよ、という態度なので放置。
そして、領主の館に到着した。
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