086 超素敵な別荘!
「よし、信じるぞ」
今まで鑑定が外れていたことはなく、レベルが上がった今は導いてもくれている。
アルはキラキラ宝箱やソファーお茶セットをひとまず収納すると【ディメンションハウスのペンダント】を首にかけ、別荘に、と思うと、すぐ転移した。
ログハウスだった。
アルが建てようかと思っていた、そのままだった。バーベキューをやれる広さのウッドデッキがある。
三段の階段を上がって玄関扉。
中に入ると、すぐリビングでぶち抜きのLDK。向かって右にあるキッチンはカウンターキッチンで流しと換気扇はあるが、コンロはなし。どういった仕組みなのか水は出るし、鑑定でも問題なかった。
奥はトイレと洗面所と広いバスルーム。シャワー付き。
リビングに階段があり、ロフトに上がれるようになっていて、そこに一部屋。ロフトなので吹き抜け。玄関もリビングも見える。
どうやら所有者のイメージがこの別荘になってるらしい。
別荘の回りは土だけ。草も生えてない。
何か植えたいが、レベルを上げないとまだ無理のようだ。
風は?とちょっと動かしてみると、そよ風。
見える所だけ土魔法で石畳風にすると、その通りに。
異空間でも本人に依存するらしく魔法も問題なく使える。
では、ボス部屋に戻るか。
ペンダントが反応して元の場所に戻った。
ディメンションハウスに入った場所が出入口になっていて、そこに戻るらしい。
転移でディメンションハウスに行って戻れることも確認した。
転移で戻る時は普通にアルが行ける所に出れる。入る時はペンダントをしていれば、転移しなくてもまた普通に入れる。出る時はその入った所から。
直近の入った所が出口、ということか。
ディメンションハウスの行き来に必要な魔力量も、今までの近場の転移の魔力量とあまり変わらない。
とてもとてもいいアイテムだった!
実感が沸いて来たアルは20階のボス部屋から出ると、転移魔法陣から1階に移動し、バイクでさっさと街に戻り、市場へ向かった。
ディメンションハウス…いい加減長いので省略、ハウスには、生活雑貨が全然なかったので揃えねば。
ハウスのあるスペース自体、明るかったが、夜は来るのだろうか?照明もカーテンも必要ないような気がする。
ソファーセットとベッド寝具セットは作ってあるから、バスグッズ、トイレグッズ、ランドリー…なかったな、そういえば。
ヘタに洗うよりクリーンの方が布も傷めないし、金属まで綺麗になるので。
後は魔石コンロか。オーブン付きの物が欲しいが、あのスペースには大き過ぎて入らないのでは。
取りあえずは、今ある魔石コンロで問題ないので、ハウスレベルが上がり、拡張出来るようになったら考えよう。
そうだ、ゴミ箱は?
いらないか。収納に入れておいて溜まったらどこかで燃やせばいい。
そうそう、カウンターの椅子も欲しい。後で作ろう。
不用意な所で読めない書物を数々手に入れたので、ハウスのリビングは最適じゃないだろうか。アル以外入れず、人目もない。
思い返してみれば、何も物音がしなかった。
あまりに静かだと過し難いかもしれない。音楽が欲しいなぁ。
「あ、ゴーレム」
演奏させるゴーレムはどうだろう?
そんな細かい操作が出来るだろうか。
【ゴーレム作成手袋】があっても、どんなゴーレムを作ったらいいのか、イメージがまとまらないので、いまだにゴーレム作成に着手してない。グレードアップ出来る特級オーブもゲットしたが、オーブはオーブで色々使え過ぎで迷うワケで。
特級オーブを触媒として使うだけなら、何度だって使えるので、とりあえず、エリクサーを作るか。
賢者の石でエリクサーを作る場合より、ハードルは低いので素材を集めないと。
考え事をしながら歩いていても、アルは誰にもぶつからず、無造作に邪魔な所に置いてる物にひっかかったりもしない。
アルは生活雑貨と小麦粉と砂糖をたくさん買ってから、錬金術師のセラの店に行った。
「いらっしゃいませ、アル様。本日は何をご入用ですか?」
結局、いつも何か買ってるし、額も大きいからか、初めて会う店員にもこう言われてしまった。
「録音する魔道具ってない?音楽が聴けるものでもいいけど」
「それでしたら、どちらもこちらにございます」
あるのかよ。
店内は広いので、何度来てても気付かなかった。形もアルが知ってる物ではないのだろう。
連れて来られたコーナーには、八角柱にカットした5cmぐらいの水晶がズラッと並び、その隣に三角枕のようだが、もっと小さく10cmぐらいのふわっとした布製品が二つ並んでいた。
やはり、予想外だった。
店員の説明によると、水晶が記録媒体で音楽が既に入ってるものと空の物があり、三角枕…プレーヤー&レコーダー、プレーヤーのみと別れていて、レコーダー機能付きに空の水晶(クリスタル)を横から入れて録音するそうだ。
音声操作も出来る。
三角枕(ガルボ…製作者の名前だとか)はぐいっと引っ張ってヘッドホンのようにして、一人で聴くことも出来る。
「どんな音楽が入ってるのか、少し試聴出来る?」
「ええ、もちろん」
王都で流行ってるという音楽を聴かせてもらった所、ヒーリング音楽のような優しい音色だった。歌が入ってないものも歌が入っているものもある。
音楽が入ったクリスタルは一つ銀貨5枚。
一斉に録音出来る魔道具もあるので、リーズナブルらしい。空のクリスタルは銀貨1枚。
プレーヤー&レコーダーのガルボは金貨5枚、プレーヤーのみのガルボは金貨3枚。思ったより安い。
「じゃ、録音出来る方のガルボとおすすめの曲が入ったクリスタルを5個、空のクリスタルを10個で」
全部で金貨8枚銀貨5枚だ。アルはさっさと払った。
「有難うございます。確かに。お包みはいかがしましょう?」
「そのままで」
アルは買った物をマジックバッグに入れる。
「あ、そうそう。セラさんいる?」
「申しわけございません。所用で出かけておりまして。店主が帰り次第、ご連絡を…」
「あ、いい。大した用事じゃねぇんで。パラゴ土産。渡しといて」
アルはたくさん作って溜めてある紙袋とスライム皮を使った靴下を三足マジックバッグから出し、紙袋に靴下を入れて店員に渡した。
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