074 特殊効果リング作成!
この先、時々アル以外のもう一人の人間を装うのだから、あやふやなイメージではマズイし、そうなると、元の自分の顔が一番だ。
鏡を見た時の違和感もない。
ただ、アルの身体は十六歳で鍛え途中、成長途中の170cmちょいなので、自然と元の自分の若い頃、十六歳の時になった。もっと身長はあったし、もっと鍛えていたが。
母似の女顔は今も好きじゃない。
だが、妹も母似で自分にもそっくり、となると、そう嫌ってばかりもいられなかった。
黒髪黒目、華のある整った顔立ちは『イケメン』と言われるより、『美形』と言われる方が多く、やたらと騒がれ、トラブルにもたくさん巻き込まれた。
…ああ、今もトラブルに巻き込まれ最中か。
笑うしかない。
【変幻自在の指輪】は頭だけじゃなく、身体も見せかけるらしく、服装は今着ている服だが、手足は見慣れた元の自分のものだった。
見覚えありまくりの造形だ。変わるのは頭だけ、とイメージすると、アルの手足になるので、これもイメージ次第らしい。
正に変幻自在だ。
この世界にも黒髪の人間も黒目の人間もたくさんいるので、違和感がある容姿ではない。
ただ、元の世界でも「どこの国の人か分からない」と散々言われた容姿なので、東洋系にも西洋系にも見え、その辺りで「変わった容姿」認定されるかもしれない。
このまま転移で移動して、市場でも歩いてみて反応を確かめたい所だが、変に目立ってしまう確率の方が高いのでやめておいた。
容姿を元に戻すと、アルの服に着替え、ファンタジー服一式はさっさとしまった。
新しく作ったポーチへ入れてから、空間収納へ。【変幻自在の指輪】も空間収納にしまう。一番安全な場所だ。
夏服はアルも欲しいので、色々とデザインを考える。
少々小腹が空いたので作り置きのたこ焼きを摘みながら。
代用ゴムが手に入ったのだから、ピッタリとした手袋も作れるので、バイク用に指抜きグローブを作ろう。
夏服を作るついでに『少し涼しい服』も追加するか。
Tシャツだけじゃなく、開襟シャツも。
スライムを混ぜて伸縮をよくして、魔法陣部分は伸びてはダメなので別布縫い付けで。高ランク冒険者なら体格はよさそうなので、大きめサイズも用意しておく。
選ばなくても無駄にはならない。作り直せばいいし、ダンたちが欲しがれば、格安で売ってもいいのだから。
服類が出来上がると、次は特殊効果があるリングを作る。
まずはフェニックスの羽を使った復活アイテム。
これは交換に出さないし、売らない自分用アイテムだ。
他に必要な物はAランク火属性魔物の魔石、Aランクの水か氷属性魔物の魔石、魔力水、水晶、ミスリル。よし、全部ある。
成長した鑑定様によると、フェニックスは火属性で、燃えることで復活を果たすことから、復活アイテムを発動する際は燃やす必要がある。
しかし、身に着けている必要があるので、その部分から燃えてしまえば、復活アイテムの意味がない。
なので、水属性魔物も魔石で抑え、魔力水、水晶も身に着けていても問題ないよう、熱量が漏れないようにするためだった。
真紅のフェニックスの羽、透明感のある赤の火属性魔物の魔石、透明感のある水色の水属性の魔石、少し曇りのある水晶、を錬成すると、曇りガラスのようなオレンジになった。
透明感はないが、これはこれでキレイな要石になった。鑑定して問題ないことも確認する。
身に着けるアクセサリなら何でも加工していいが、要石が割と大きいのでピアスは無理だった。
縦1.5cm×横1.0cmのオーバル型にし、要石をくるむように、かつ、普段使いしていても引っかからないよう、爪や尖った部分はなくしたデザインの指輪にした。
【リバイブリング・復活の指輪。身に着けていれば、瀕死の際に自動起動して欠損を治し、HPMPも完全に復活する。現在、魔力充填率100%。アル専用装備】
念のため、指輪にしてからも鑑定してみるとこう出た。
道理で魔力がたくさんいると思ったよ!
考えてみれば、当たり前だ。
瀕死の際なら魔力も残ってないので、あらかじめ魔力を貯蔵する必要があるのだろう。
何の力もエネルギーも必要なく起動するものなら、マジックアイテムなんて言わないのだ。魔力を使うからこそ、その名前なのだから。
専用となっているのは魔力の相性も関係あるに違いない。
邪魔にならないよう左の中指に装着する。意図してなかったのに自動サイズ調整になっていて、ぴったりフィット。
錬金術でちゃんと使える物を作っているのだが、まだまだ分からない所も多い。まぁ、ラッキーでいっか。
続いて特殊効果リング。
一番欲しいのは防毒だ。アルに状態異常耐性はあっても、無効ではないので、猛毒になると少しは効いてしんどい思いをすることになる。
防毒リングの作り方は鑑定様が教えてくれた。
目には目を、毒には毒を。
…ということで、今現在持っている毒をすべて解析し、その情報を魔石に閉じ込める。ランクが高い程、効果あり、ということでAランクの魔石にする。
Aランク魔石はピンポン玉ぐらいあって大きく、このままだと身に着け難いので圧縮し、指輪型にすると、透明感のある深い青になった。
元は少しモヤの入った明るい青で毒情報を封じ込めると透明感が出て、最後には透明感のある深い青。魔石の色は意外と影響されるらしい。
これだけでは毒情報が入っている魔石指輪、というだけなので指輪の内側に錬金術で魔法陣を刻み、結界魔法の『防毒』を付与する。
情報があるだけに、防毒効果も上がるし、アルが魔法を使わなくても自動で発動するのは便利だった。
うっかり毒物を食べてしまうこともなくなるだろう。魔力はチャージ式で、少なくなればその都度チャージする形式だ。
防毒指輪を着けるのは左人差し指に。小指にしたかったのだが、そんな小ささまでは無理だった。これには自動サイズ調整はなかった。
もう一度錬成して「自動サイズ調整」を心がけてみると、錬成出来た証拠にぱぁああと薄く光る。
目論見通り、自動サイズ調整機能が付けられたので、やはり、防毒リングは左の小指にした。
要領が分かったので、高ランク冒険者と交換用にもう一つ防毒リングを作る。ついでに、木と布と綿で宝石箱も。見た目も大事だ。
ここまで作業すると、さすがに疲れたので休憩。
そろそろお昼だが、今日はカレーの気分なので空間収納から出して、作り置きを食べることにした。
トッピングに色んな肉の唐揚げ、山羊チーズ、ソーセージ、ゆで卵と豪華に。サラダはポテトサラダ。
ダンたちに振る舞うことも、酒のツマミとして適当な値段で売ることもあるせいで、作り置きも乏しくなって来た。
食材はまだまだたっぷりある。アリョーシャに帰る前に作り置きしよう。
防臭結界を張って、風魔法で換気をすれば、この部屋でも問題ない。
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