015 あれ、数値がおかしくない?
宿に帰る前に転移魔法を試してみることにした。
まずは小石から。
こっちから川の向こう側へ。向こう側からこっちへ。
魔力は大して減ってないので、続いて生き物。
毒魚に協力してもらい、泳いでる所を転移させ、河原へ出す。河原から水の中へ戻す。これも自然回復ですぐ回復する程度しか減ってない。
もう少し大きい生き物で試そう、と索敵すると、近くに大きなネズミのような魔物がいたので、見える所まで近寄ってから転移を使って引き寄せる。
これも上手く行った。
別に害はなさそうなので、魔物はそのまま放置。
続いてウルフ系がいたので、先程と同じように見える所まで近寄ったら襲いかかって来たので、アルは収納から長剣を出し、さくっと首を
まったく可愛くないので躊躇いが全然生まれなかった。
盗賊からもらった長剣は思ったより切れたが、鞘ごと出て来るのはちょっと使い難かった。
色々試すと、鞘から出して収納すると、長剣を手に握るように出すことも出来たので、そうすることにした。
もう少し手頃な獲物はいないかな、と索敵すると、3mはありそうな赤っぽい何とかベアがひっかかった。
学習したアルは木々に隠れるように移動して側面から近寄り、念のため、ベアの前に結界を張って行動を阻害してから、遠くに移動させる転移を試す。
……成功。
徐々に距離が遠くなるよう転移させたが、500mぐらいは余裕だった。ベアはタフそうなので、雷を脳天に打ち込んで仕留める。
10mぐらいなら離れていても普通に収納出来た。
さて、いよいよ、自分を転移させよう。
魔法はイメージなので、まずは見える所から見える所へ。
距離は10m。
…成功。
ふらっとするかも?と身構えていたが、拍子抜けする程、魔力を使わなかった。
いや、今までの転移をよくよく思い返してみると、自分の魔力だけじゃなく、空気中に漂っている魔力?魔素?も使ってるらしい。
見える所への転移は問題ないが、見えない所への転移はどうだろう?と曇りガラス風円盤状結界がある河原まで、転移してみることにした。念のため、索敵で他に魔物も人もいないのは確認済みである。
これも問題なく成功。転移するコツが分かって来たような気がする。
「んん?何か魔力の回復速度が速くね?」
魔力を結構使っているのに、さほど減ったという感じがしない。何かスキルが生えたのだろうか。
ゲーム風にステータスが表示出来ないか試してみた所、出来た。
____________________________________________________________________
名前:アル(アルト)
年齢:16歳
状態:良好
職業:Eランク冒険者
Level:22
HP:2300/2300
MP:124000/150000
攻撃力:S
防御力:A
魔法防御力:A
素早さ:A
器用さ:A
知力:S
幸運:B
スキル:多言語理解、物理・魔法・状態異常全耐性、魔力自動回復、浮遊魔力利用
魔法:生活魔法、空間魔法(収納、転移)、属性魔法(火・水・風・土・雷・氷)、身体強化、結界魔法
称号:転移者
____________________________________________________________________
宙に浮いた半透明のタブレットみたいな板(ボード)にステータスが映し出された。
やはり、【魔力自動回復】【浮遊魔力利用】というスキルが生えており、そのおかげで、自前の魔力消費を抑えられているらしい。
冒険者ギルドで出してもらったステータスは数値で攻撃力と防御力だけだったが、こちらはアルファベットで項目も増えている。細かい数字や比較対象がアルには分からないので、こうなっているのかもしれない。
しかし、それにしてはHPMPの数値がおかしい。
レベルが上がったのと魔力を使ったことにより増えているのは分かるが、桁まで違っている。どちらも三桁だったのに。レベルもウルフとベアを倒しただけなのに上がり過ぎだろう。
称号による効果で「経験値倍加×いくつ」とかあるのかもしれない。
さっと手を振るとステータスボードはすぐ消えた。
さて、では戻るか、と防壁の近くまで転移し、一応、ステータスのMPを確認した所、100減っていただけだった。
…いや、100を超えることが魔力量が多い基準になっているので、大半の人にはとんでもない消費になるか。15万もあるアルの場合は100程度の消費は誤差の範囲になってしまうが。
ギルドでもらったステータス用紙にはMPは850になっていた。
もしかすると、ギルドの魔道具の基準が違うのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます