013 湯船が作れた!

 アルは何となく魔法の要領が掴めたので、他の属性の水、風、土でやってみた所、すべて成功。ボルグが言っていたアースランスも難なく。

 ただし、発動速度は他と変わらず、他も速いので、発動速度は人によるような気がする。


 まだ魔力量は平気のようなので、湯船を作ってみる。

 ボルグに頼んでおいて何だが、上手く出来るとは限らな…上手く出来た。

 陶器のようにつるつるに。

 元々手先が器用で絵や図面を書くのも得意なのもすぐ出来た理由だろう。火魔法で表面を焼くとガラス質になった。

 カーキ色っぽいので砂を選んだり、塗料を混ぜたりすれば白に出来たかもしれない。後でボルグに訊いてみよう。


 とりあえず、水漏れチェックで水魔法で湯船に水を入れる。大丈夫なので火魔法でいい感じに温める。


「温度操作が出来るってことは、氷魔法も出来るんじゃ?」


 そんなことに気付いたのでロックアイスを作って湯船に入れてみた。無造作に出来た。

 次は湯船のお湯全部の温度を操作し、凍らせる。さすがに魔力を使うらしく、魔力の流れがよく分かった。必要量より多かったので、慣れれば減らせるのだろう。

 お湯に戻して湯船を収納した後は雷。

 静電気の強いものを草地に落としてみる。このイメージだとバチバチして少し焦げた程度か。

 雷と言えば、電気ネズミだろう。


「ぴ○ちゅう!十万ボルトだ!」


 恐ろしいことになりそうなので、ぴかち○うのサイズは親指サイズにイメージすると、それっぽい形の光の塊がミニ雷を落とす。


 ドカーンッ!


 大岩が割れた。


「……規模、落としたつもりだったんだけどな…」


 雷はかなり攻撃力が高いらしい。

 続いて索敵してみる。

 イメージはレーダーだ。うすーく魔力を広げると、周囲の状況が何となく分かって来る。

 あ、川があった。1kmぐらい先なので走って行ってみる。


 そういえば、身体強化を試してなかった、と足に魔力を集めて軽くジャンプすると、予想よりかなり高く跳んだ。軽くで3mは跳んでる。

 ダンが身体強化していた時は魔力を纏い、どんな対応も出来るようにしていたのだが、戦う時以外は一部だけの方が低魔力でやれる。

 走るのもかなり速いが、木や岩にぶつからない。動体視力も自然とアップしているらしい。


 川に着くとまずは水を汲む。手を触れず空間収納でダイレクトに…だと量が分からないので、たっぷり汲んだ後、収納口を絞り、だばだばと川に水を戻してみる。


「…終わらねぇな。限界ねぇのか?」


 レベルや使用頻度が関係するのか分からないが、収納してある物の品名と数は分かっても液体だと量は分からない。

 ものすごく時間がかかりそうなので、川の水を一気に出した。

 予想以上に入っていて、川が氾濫した時のように広範囲に溢れて濡れる。アルは咄嗟に距離を取ったので濡れてない。

 まぁ、たっぷり入るのが分かっただけでいいだろう。


 どうせなら飲水・料理に使える水をたっぷり持っておこう、と土魔法で樽を作り、川の水を適当に収納して樽に入れ、生活魔法のクリーンと浄化をかけてからしまう、を繰り返した。

 水魔法の水も飲めるので十樽ぐらいでいいだろう。

 ちなみに、空間収納は時間停止だった。熱い飲み物を入れて試してみた所、ずーっと熱かったのだ。


 そういえば、空間収納で使う魔力はたっぷりと川の水を汲んでも、そう減った感じはしなかった。量は関係なく、異次元への出入り口を開く時だけ魔力を使うのかもしれない。


「あ、そうだ。結界魔法を試してみねぇと」


 魔法はイメージだ。

 アニメや映画やゲームでたっぷりとイメージ力を育んでいる日本人にはかなり有利だろう。


 見えない円筒状の結界、或いはバリアを張り、そのまま、川に入ってみると、結界の分だけえぐれた。

 よし、成功だ。

 続いて曇りガラスのように少し見えるようにして膝の高さに丸い円盤状の結界を作る。その上に乗ってみても、割れないし、きしむこともない。どのぐらい保つものだろうか。

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