そろそろ決めよう。マイガン
「君は本当に何してるのかな」
決戦を受け入れて少し経った戦科訓練で、俺は先生にボコボコにされていた。
どうやら何も言わずに勢いで決戦を受け入れたことに呆れているらしい。
「しょうがないじゃないですか。ウザかったんですから」
まあ本来一般人の入学とか有り得ない事だし、多少受け入れられないくらいなら良かったのだが、流石にあれはウザかった。
「あの子のやっていた事は知っているけどさ。でも決戦って……」
先生は頭を抱える。まあ、正直に言って勝てるかと言われたら首を横に振るしかない。
アサシンというものは、暗殺に特化した戦科。つまり正面から戦闘を行う決戦には不向きなのだ。
「まあ、どうにかなるでしょう」
ケラケラ笑っていると、先生に叩かれる。
そんな槍で叩かないで欲しい。意外と痛いから。
「……受け入れちゃったものは仕方ないか」
大きなため息をつく先生。そんなため息してたら幸せ逃げちゃいますよ。……なんて死んでも言えない。本当に殺される。
「じゃあ決戦はすぐだし、そろそろ決めよっか」
先生はどこからかタブレットを取り出してニヤリと笑う。
「君の武器を」
「武器ですか?」
俺は先生の言葉に小首を傾げる。
「そう、君のサブアームとなる武器をね」
なるほど、確かにそろそろ決めてもいい頃合いかもしれないな。決戦には自分の武器を持ち込めるらしいし入学して少し経ったしな。
「やっぱり、ハンドガンですかね?」
サブアームといえばハンドガンだろう。なんとなくそんなイメージがある。銃の中ではコンパクトで荷物にならないしな。
「そうだね。オススメは……」
と頷いた彼女は画面をスクロールしていく。その表情はどことなく楽しそうだ。
今表示されている画面は銃のカタログらしい。画面には様々なハンドガンが表示されている。ていうかこんなに種類あるんだな。
それから数分後、先生の紹介で何丁か見せてもらったのだが、どれもどこかしっくりこなかった。そのためしっくりくるやつを自分で探すことになったのだが……どれもピンと来ない。
「すいません。どれもパッとしなくて……」
とても申し訳ないと思う。もう先生に決めてもらうか?
「君は今までに色々な銃を使ってきたとか、軍人として戦ってきたとかいう訳では無いからね。しょうがないよ」
先生はゆっくり決めよう、と苦笑する。
俺もそうします。と返そうとして……俺の口から声を発することは無かった。
先生がタブレットの電源を落とそうとした時、画面の端に映る一丁の銃に俺の目は吸い寄せられていた。
その銃の名前は『FN Five-seveN』
確か、口径から名付けられたその銃の事を俺は知っている。……というより、描かれた映像で見たことがあった。
主人公が使用していて、まるで二本の剣のように扱っていたはずだ。
俺はその作品がとても好きだ。原作も全て買っているし映像も何回も見直した。
「見つけました」
いつの間にか、俺はタブレットの画面をタップしていた。
「ファイブセブン、これにするの?」
先生は予想外、という顔をしている。
その質問に俺は無言で首肯する。何故先程は見つけられなかったのか。……単純に銃の種類が多すぎて見つけられなかったのだろう。
そうして、先生の承諾も得て俺のサブアームが決定した。
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