ナデココディイドゥンディス?
跳ね起きた彼女はやがて額を押さえながら訓練場の床を転げ回った。
本来であれば良くて気絶、最悪の場合死に至るほど危険な技だと思うのだが……なぜこの人は転げ回っているだけで済んでいるのだろうか。
まあ致し方ないことだ俺だって死にそうだったんだし許してくれるだろう。
……と自分の罪を認めたくないがために頭の中で言い訳を考えていると、訓練場の重い扉がバンッと勢い良く開かれた。
そして、その扉を開けた張本人は……
「……何してんのお前」
一瞬俺の事を見てから、目の前で転がっている教師に呆れていた。
◇◇◇
「すみません任務達成出来ませんでした」
それから数分後、転げ回っていた教師はようやく痛みが引いたのかその場に座り込んでいた。彼女の額は赤く腫れあがっているが見なかったことにしよう。
「お前さあ、素人のガキに負けるってどうなのよ」
そしてその近くには先程勢い良く扉を開けて入ってきた男がしゃがんで呆れた視線を送っていた。
「しょうがないじゃないですか。彼意外としぶとかったんですもん」
……まあ確かにしぶとかったのは自覚している。普通のガキならあのレーザーひとつで死んでいただろうし。
「そうそう、聞いてくださいよ。彼能力者だったんですよ。私そんな話聞いてないんですけど」
彼女はどこか不満そうな顔で男に報告する。……上司的な関係なのだろうか?彼女は俺に対して軽い口調だったが、男に対してはとってつけたような敬語だ。
彼女の報告を聞いた男は少し目を見開いたが、やがて納得したように大きく笑った。
「そうかそうか。だから勝てたのかお前」
そしてニヤリと不敵な笑みを浮かべこちらを見た。
「どうだった?風斗」
「……もう味わいたくねえよ。こんなの」
俺は先程の戦闘を思い出して疲労感を感じる。俺の言葉を聞いた男は更に豪快に笑う。
「そりゃよかったな。強かったろ俺の部下」
俺の部下、ということはやはりこの女教師の上司だったのか。……ところで、黙ってぼーっと見てる彼女はなんなのだろうか。
「……知り合いだったんですか!?」
急に彼女の沈黙は突然終わりを告げ、大声を出して驚いた。いや知らなかったのかよ。この男が上司なら知っているもんだと思っていたわ。
ということを男も考えたのか更に呆れた声を漏らす。
「名字見れば簡単に分かることだろうが」
今更だが紹介しよう。この男の名前は
仕事は何してるか知らなかったのだが、まさか軍人だったとは……
ただのミリタリーヲタクだと思ってたぜ。
「わかるわけないじゃないですか!!」
いや結構分かると思うが、霊継とか中々ない名前だろうに……
「ところで風斗、どんな能力なんだ?」
親父は騒ぐ教師を無視して話しかけてくる。どんな能力……と言ってもな。あの時は必死だったからあんまりわからないんだよな。
「うーん、あまり詳しくはわからんよ?」
「ちょっとでも分かることで良いからさ。何が起きた、とか」
少しでも、か。親父の言葉を聞いて、先程の戦いを思い出す。
「うーん、多分だけど」
それから、理解したこと、使ってみた感触などを踏まえて親父に伝えた。
「『加速する能力』……だと思う」
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