謎の正体。それはファンタジー

「君は魔法というものを知ってるかな?」

 ……魔法。ハイファンタジーでは定番の超常的現象、またはそれを作り出す技術だな。

 作品によって名前は違うが大体の場合魔力という特別な力を使って人為的に超常現象を引き起こすものだ。

「君は空想上の物だと思っているのだろうけれど、実はこの世界にも魔法というものは存在するんだよね」

 ……と、彼女が口にした言葉には疑いを向けざるを得なかった。だって魔法というものは科学で解明されることの無い超常現象。そんなものがこの世界にあるわけが無いのだ。

 ……のはずなのだが、目の前の教師はそれを存在すると言っている。

 それに、今目の前で起きたことが魔法の存在の証明になってしまうだろう。なぜなら当たるはずであった銃弾が何も無い空間で弾かれたのだ。魔法という名の超常現象が一番納得がいってしまう。

「魔法……ですか」

 有り得てしまうということは理解出来た。

……が理解出来ただけで納得出来るわけがない。だって突然有り得ないと思っていた空想上の産物が有ると言われたって納得出来るわけが無いだろう。

「ふふ、信じれないって顔だね。でも残念ながらこれは事実。試しにもう一度撃ってみたら?」

 教師は煽るように言ってくる。彼女の確信のある声色から無駄だとは分かっているが俺も信じられないので試しに一発撃ってみる。

……が結果はやはり弾かれて終わった。

「ほらね。君がどれほど撃とうと私には当たらない」

 俺が教師に銃で攻撃を与えられることは無い。それを彼女は分かっていて俺に銃を渡したのか……

 それめちゃくちゃ卑怯じゃないですかね?俺に勝ち目無いじゃねえか。

「それ可哀想だからって銃渡す人のやる事じゃ無いですよ」

少しの抵抗ということで抗議してみる。

「まあこれで勝てるようにしちゃったら私の立場が無くなっちゃうからね。しょーがないしょーがない」

 笑いながら軽く流される。……こんの、どうしろってんだ。

 どうにかして生き残る方法を考えるために脳をフル回転させていると、俺はとある恐ろしいことに気づいてしまい嫌な予感がする。


 ……魔法ってさ。別に防御魔法だけじゃなくね?


 その瞬間俺はハッとなって教師を見る。よく見ると彼女の手元が軽く光っており、俺の嫌な予感は的中していると確信する。

 それを認識した俺は銃を撃ちながら斜め前に走り出し一気に距離を詰める。

「ふふ、気づいちゃったかぁ。でももう遅いよ」

 教師はニヤリと笑って俺に手のひらを向ける。その瞬間彼女の手のひらから円形の光が発生し……

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