第11話

「欲望の鏡ってこんな感じなのね」


 二枚舌の心と二枚舌の言葉、どちらにも金銭と修辞が介入してきて、自分の気持ちを盲目にさせる。例えば___


「ゲームで課金してキャラクターを確率的に手に入れるのと、物語の本を買って、それを題材にして自分の憑代を使って恋愛をさせる場合とか」


 ほら、また死んだ


「自分にとって都合のいい筋書きが出てくると、すぐにそれを利用して自分の解釈を記述の展開に会わせて話してしまうとか」


 ああやって嘘をつけば、自分の気持ちから目を背けることができるとか、あるいはそもそもそのような気持ちは書かれていないから存在しないとか


「裏切りよ、裏切り」


 いつまでも人のせいにするとか、自分のせいにし続けるとか、場を盛り上げるためにそういう演出をして悪者ぶるとか、善人の愚かさを装うとか


「馬鹿みたい。いや馬鹿そのものね」


 陰謀をやってるそぶりを見せながら、自分の利益にしか興味のない振りをしないがら、幼稚な言動を繰り返しながら、それで、それで


「いかれていて、能無しで、臆病で、不潔で、クズ野郎で」



 本気で取る人のことを笑っていて、それで勝手に失望して、心底くだらないと思いながら真面目な振りをし続けて


「何が誠実で、厳正で、真実な言葉なの。全部言い訳じゃない」


『だからなに』その神聖な言葉だけを携えて何がしたいの?


「うるさいうるさいうるさい」


 人類の結婚が永遠に一日しか続きませんようにとか離婚してから結婚しようとか


 それでいて恋愛がだって笑われるのは赦せないの?


「めんどくさいやつめんどくさいやつめんどくさいやつ」




「あ、オリヴィア、僕だよアンドルーだよ。トービーが怪我してて大変なんだ、手伝ってくれない?」

「虫けらは黙って」

「え?」

「帰れ」

「機嫌でも悪いの?僕、今これだけしかお金持ってないけど、これで何か買って元気出してよ」

「死ね」

「ひどい、オリヴィアってそんな人だったんだ。僕もう帰るよ。さよなら」

「ええ、さようなら」




 思い出を作る?くだらない虚栄心だ

 夫になることを恐れる?卑しさの塊だ

 家族になることが墓場になる?己の怠惰の結果だろう

 性生活に自信がない?お前はお山の猿の親友か



 本当の恋愛がくだらないんじゃなくて恋愛そのものがくだらなさでできている。それが耐えられないだけだ。だから自分のくだらなさを恥じるのだ。


「私がもっと本当の心を偽っていれば___」


 そうすれば、きっと、もっと相手をしてくれたかもしれない。でも、それは


「恋愛を個人的な気持ちの中に封じ込めること」


 だから許せないのか。こんなにも。許す気持ちがもてそうにない。どんな正義にだって慈悲を与えることはできない。だってこれは


「呪いだし、祟らないといけないものだから」


 マイナス二乗を掛け算して、プラスを得られないもの。狂気に出会っても夢であっても解くことができないもの。金銭契約の甲斐性が常に頓馬に成り下がるための儀式。



「でもこれ姉妹になって近親相姦しろとか言うのは、さすがに演技よね」

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