第5話

月と星に照らされ、空は明るかった。月に雲がかかって、一本の矢のように山に光がそそがれた。


「きっと山の神さまに声が届いたんだ」ぼくは急いで光のさす場所に向かった。山では大勢の人が妹を探していたが、その光は人を避けるように照らしていた。


「いおり!!!」


妹がいた!ケガもしてなさそうだった。


「おい!起きろ!」叫んでも声は届かないはずなのに、いおりは起きた。

「お兄ちゃん?」


ぼくは涙があふれてきた。


妹の無事と、ぼくをお兄ちゃんと呼んだことに、目から涙が出てきて止まらなかった。


「帰ろう。家に」

「・・・・・・」


妹とぼくは山をおりた。途中、捜索隊の人たちに妹は確保されタオルで巻かれて家に着いた。


 なぜ、あの時、妹はぼくの声がわかったのか?目が覚めたのか?偶然かもしれないけど、とても嬉しかった。そして、普段の日常を取り戻すことができた。ぼくもいつも通りだ。 


この家族のひとりでいれて幸せを感じている。ちょっと騒がしくて、お金持ちとかじゃないけれども、これからもこの大切な家族を見守っていこうと思う。


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ぼくはここに生きる カミトスミ @kkir

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