第2話
次の日「朝から騒がしいな」と、話しながらぼくらの夏休み初日にお父さんが起きてきた。
「夏休みなんだから当たり前じゃん!夏休みだから早く起きたんだよ!遊びたいもん!」
兄と妹は張り切っている。ぼくも一緒になって、お父さんに言った。
「遊びに行こうよ!」
「どこに行くの?予定ある?」
お父さんはまだ眠そうだ。
「なーい。予定はなーい」
妹は無邪気に走り回りながら言った。コロナの時代、なかなか遠出も気が引ける中で、さてどこに出かけようかといつも悩みの種となっていた。
「ぼくはキャンプがいいな」と、兄。
「私は家がいいー」妹は家が大好きだ。
「夏休みなんだから出かけようよ!」とぼくも続いて叫んだ。ぼくは、家族とのお出かけが大好きだ。いつも何をしたかは忘れちゃうけど、楽しい感じは覚えている。家族っていいな、と思える瞬間であると同時に、どこか懐かしくも思える時間でもあったからだ。
「よーし、じゃあ今日はとりあえず、お父さんはまだ仕事で明日から夏休みだから、明日キャンプ、明後日温泉旅館だ」
「やったー。でも温泉旅館予約してあるの?」
「実は予約してるんだよ~~」
ぼくたち三人は勢いよく家じゅうを走り回って喜んだ。
「あー、行く前から疲れた」と兄。
「走り回っているからね」とぼく。
「でも、たまにはお出かけもいいよね」と妹。
いつも家がいいと言っている妹でも嬉しそうだった。明日が楽しみになった。
「これが夏休みだよ」
兄は小学五年生の先輩としてぼくたちに言ってきた。妹は初の小学校の夏休み。わくわくしているに違いない。
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