第1話 はじめてのチュウ(中編)
その後、
「昨日、
というものだった。
放課後、男子バスケットボール部のマネージャーをしている紺屋は、スポーツドリンク用のガロンに水を汲むために水道まで行ったときに、偶然見てしまったのだそうだ。
あまりに驚いて隠れてしまったので、もう一度見た時にはいなくなっていたという。
事実、清水は朝永はつかと付き合ってはいない。
毎朝一緒に登校しているし、朝永からは
清水と朝永が暮らしているのはド田舎の過疎地なので、特段近所でなくても、年が近いと仲良くなるものだ。
また、一時間に来るバスが非常に少ないため、同じ高校に通学するとなると、約束していなくても同じバスで通学することになる。
だが、清水は朝永が好きだった。
いつから好きだったかは覚えていないが、朝永は清水にとっての初恋の人だったのだ。
しかし、付き合っていなくても付き合っていると勘違いされるような間柄なので、清水は告白する必要性を特に感じていなかった。
……それが、高校教師とキスだ?
清水はありえへんありえへんと思いながら、その後何度も隣のクラス___朝永がいるはずの教室を見に行ったが、なぜかタイミングが悪く、一度も会えなかった。
そういえば、今日はいつものバスに朝永は乗ってこんかった。朝練やから早く出たんかと思ってたけど、もしかして自分を避けてるんちゃうか?
そういえば、今日は天沢先生は休みやったな。ホンマに体調不良なんか?ああ、だから紺屋は不審に思ったんかな。
そういえば、天沢先生って朝永の部活の顧問か……。
そういえば、そういえばと考えているうちに、放課後になってしまった。
トボトボと部活に行こうとすると、不意に、聞き馴染みのある声が耳に飛び込んできた。
「清水……。」
振り返ると、そこにいたのは紛れもなく、今日ずっと探していた朝永だった。
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