背表紙のない本
日本の製本の歴史を探って行きましょう。
最初に原料について調べます。紙、もとい製紙技術です。
もともと、紀元前に中国で麻を原料にした紙があったという話を拾いましたが、1000年たった平安時代でもまだまだ高級品だったわけですね。そりゃあ、識字率上がりませんな。
中国の製紙技術がヨーロッパに伝わったのは12世紀。材料は亜麻から15世紀にヨーロッパ全土に広がる頃には木綿の屑に。石版なり木の板なり、はたまた羊皮紙があったとはいえ、300年かけて広まったことに驚きました。絶対的必要性がなかったのか、はたまた他国には広めたくない技術だったのか、裏側を想像するとときめきが隠せません。
17、18世紀になると風車や水車を利用した繊維の叩解機の機械化も進み、19世紀で木のパルプを使うことに落ち着いたようです。
世界のおさらいはそれぐらいにして、日本に移ります。中国の伝来は諸説ありそうですし、今は必要ないのではぶきます。紙漉きが確率したのは平安時代よりちょっと前。木の板を削りながら使っていた時代です、紙は高級品中の高級品です。
『和紙』と言われる製紙技術は
昔の本屋は出版業も行っていましたからね。紙や執筆だけでなく、活版や機械化による印字技術も調べたら楽しいのでしょうけど、今回は割愛です。
さて、製本技術と行きましょう。
開国と共に洋書が入ってきたようですが、1900頃になるまではまだ機械化が進んでいないようです。
日本の本の綴じ方は『和綴じ』。紙の横の余白に縦一列に間隔をあけて穴を開け紐で綴じるというもの。もちろん、手作業です。初版本なんて貴重中の貴重ではないでしょうか。しかし、重版表記がされてないとは思いますが。
背表紙がないのですから、棚に縦に並べて置かないのかなぁと思い、調べてみると今日の雑誌の置き方が一番近いでしょうか。斜めに傾いた板に立て掛けている感じです。従業員が頼まれた本を取る形の店もあった様子。今の古書店とはまた違った店構えになりますね。『座売り』と呼ばれる商法から、『陳列式』に変わった時代です。和菓子屋だと見本が一つ、あれも座売りの名残と言えるかもしれません。高級感、特別感はありますね。
本ひとつを上げても本当に面白い歴史です。
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