第17話アスファルトが気持ちいいぜ
久山「拓矢お前フルコミだしそろそろ売りたいだろ」
拓矢「そりゃ売りたいですよ」
久山「じゃあこれから俺の言う事聞け、素直になれ、じゃなきゃ売れねぇ、お前自力で不動産売ろうとしてんだろ?無理だ頭使え、電車止めるのに身体張って止めようとするようなもんだ、線路に大きい石置いたほうがいいだろ」
それから
1.オフィスに何食わぬ顔で入り連絡票とかを写真に取る。
2.偽電と言いどこの部署にどんな名前の人がいるか聞く電話をかける
3.オートロックのマンションでもドアの隙間にチラシを挟み込み開けて飛び込み営業
4.婚活パーティーに参加し、余った男性に
声をかけて飲みに行く。
久山「手段は選ばねぇ」
拓矢もこれやっていいのか?というのがあったが売らなきゃ生活出来ない。
2は久山が手本を見せてくれたが
日本語が下手な外国人のフリをする
久山「クリスティンボブと申しますがチームリーダーはいらっしゃいますか?」
相手「00の事ですか?」
久山「いや確かー」
相手「名刺とかありますか?」
久山「漢字が読めなくて」
と次々に名簿を作っていく、クズもここまで来ると清々しさを感じる
全てやって2週間後
アポイントが取れた
益田に報告する
拓矢「年収550万、勤続8年00会社の00さんです、新宿スカラ座仕事終わり夜7時にアポ取りました」
益田「独身か?マイホームはガチガチにローン組んでたら無駄アポだぞ、年収高いからハマるかもしんないが」
久山「すまんな益田、まだヒヨッコだからな拓矢、お前アポ取れたの嬉しいけど焦ってすぐ電話切っちゃったんだろ?」
図星だった
拓矢「あ、、、はい」
益田「まぁいい、最初にしては上出来だ」
その後
初訪→再訪→3回目→契約
という流れが不動産業界の鉄板なのだが
2回目で契約書にサインする流れになった。
横に拓矢はついたが益田の交渉は凄かった
無駄がない、例えて言うならキレる刀、一つずつ相手の心配点断るポイントを潰していく、そして即決を相手からするような形にする。
交渉終わり
益田「おめでとう拓矢、久山の下で色々よく耐えたなこの人銀行の審査通るといいな」
拓矢「有難うございます!」
拓矢(この人がお金を持っていて当然だ、、、当たり前だが今の自分では歯がたたない、久山も従う付いていく理由がわかった気がした、思えば俺は2000万する代物を素人が自力で売ろうとするなんてどうかしてた)
そして決済
額面は税金引いて108万だった。
もうすでに貯金が30万以下になってたから
骨身に染みる
益田「やったな拓矢おめでとう!」
恒例行事なのか札束で優しく顔をはたかれる拓矢
益田「さて今日は昔からの友人と飲み行くんだが拓矢も来るか」
拓矢「はい行きます」
本を渡される、不動産営業でトップセールスの人らしい、部下と一緒に来ると
久山「地田さんか、拓矢安心しろその本の表紙通り怖い人じゃないから、ただトップセールスは凄いが大手の会社の看板ってのもあるからな、俺らは0から1を作り出す、俺もお供するぜ」
歌舞伎町焼肉屋
地田「どうも初めまして地田です」
部下「初めまして本日は宜しくお願いします」
丁寧な物腰、部下の人も同じ感じ、久山や益田みたいな狂気の匂いがしない。
益田「久しぶり今日は久山からのやつで拓矢っていうんだけど契約祝いも兼ねてな宜しく」
久山「お久しぶりです地田さん」
酒が入って来る
部下の人は今月5本売り上げてるみたいだ
久山「まぁ拓矢、上には上がいるんだ調子のんなよ」
部下「いえいえ地田部長のおかげです」
久山「いいね、売ってるし謙虚最高だなおい拓矢お前も見習えや」
拓矢(俺はフルコミだよ、、なんでこいつと比較されなきゃいけないんだよ、、、)
地田「いや、益田の所みたいに俺独立したいよ」
益田「まぁ色々自己責任の世界だぜちなみに拓矢はフルコミだ生活はある程度久山が見てる」
久山「お前気がきかないよな拓矢、皿をわけたり肉焼いたりほとんど地田さんの部下の人がやってんじゃねぇか、だから売れねぇんだよ」
酒も進んだ辺りで
拓矢「俺フルコミですし、何本売ってようが固定給で働いてんだろおたく、後久山さん俺あんたの部下じゃないっす」
久山「よし表出るか拓矢、すぐ戻りますすいませんね」
表に出る
地田「相変わらずだな、、益田の周り、、正直怖ぇよ、、」
部下「いや野生の世界ですね」
平気な顔で
益田「まぁ俺も叩き上げだからな、野生と書いてフルコミやフリーランスかもなハハ言う事きかないポケモンだらけだ」
場所は代わり歌舞伎町駐車場
足を踏まれ胸に掌底を軽く受ける拓矢
拓矢「ゴホッゴホッ、、」
アスファルトに倒れる
(息が出来ない、、)
明らかに喧嘩慣れしてる動きだ
久山「言いてぇ事はわからんでも無いがお前自分一人の力で契約勝ち取ったわけじゃないだろ、、恥かかすんじゃねぇ」
拓矢「ゴホッそれでも、、あんな言い方ないじゃないですか、、俺今月頑張ったんすよ、、」
涙が出てきた
久山「男が泣くな、悔しかったら自力で決めろ、酒の席でもそうだが気が利かない、自分の事しか考えれないのが売れるかよ」
益田が来た
益田「おいおい心配して来てみりゃ予想した通りだわ」
久山「すまんなすぐ終わる」
一万円札を渡す
益田「これで帰れ今日は、お前久山に頼りすぎだ」
去る久山と益田
駐車場に残され倒れる拓矢
一万円札を眺めながら
(アスファルトが冷たくて気持ちいいぜ)
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