第3話虚飾の友情



電話を取ると高校の時の同級生の大濠からだった。


大濠「久しぶりー東京に住んでるって聞いたからさ」


拓矢「おー久しぶり!」


大濠「今どこ住んでるん?同じクラスだった高宮もいるから渋谷で飲まない?」



2つ返事で行くと答えた拓矢


拓矢は進学校出身なのだが、今住んでいる家の環境と池袋という街の環境から少し離れたかった。


渋谷


副都心線で降りると地上に出るまでどんだけの距離があるんだ、モグラの気持ちが分かる。

ハチ公前に着く

見あげる地下鉄銀座線、何故に地下鉄なのに2階にあるの?副都心線と真逆


と池袋に比べると華やかな感じな印象若者も多い。


そんな中大濠と高宮がスーツ姿で来た。


大濠「久しぶり、どっか個室居酒屋入ろうぜ」


久しぶりに話すと二人共大手の会社に勤めてるらしい、もうすぐ3年目


いいなと思ったが自分は自分

だが

高宮「今派遣してるん拓矢?大丈夫なん」


大濠「就職活動したほうがいいんじゃないか?紹介予定派遣とかもあるし」


拓矢「いや俺なんかスタートアップしたくてさ起業とかそれに紹介予定って言ってもいつ紹介されんのかわからないし」


眉をしかめる二人


高宮「起業ねぇーほとんど失敗する世界だし拓矢の家親公務員だしせっかくK大学行ったしそんなショボいところでバイトするより就職したほうがいいんじゃね?」


焼酎のボトルが空になりはじめていた。


拓矢「どちらにせよどっかで働くっていう選択肢自体俺等同じ労働者だろう、俺は社長や資本家になりたい」


大濠「うちの会社にも派遣さんいるけどやっぱ正社員と待遇違うぜ」


焼酎のボトルが完璧に空になった。主に拓矢が半分飲んだのだが


拓矢「この不安定な世の中で安定って何だよ正社員だろうが派遣だろうが経営者に命綱握られてんのは変わらねぇ!砂上の楼閣だ、まともに働いて得る小銭じゃ人生買えねぇよ!」


あっ、久山の口癖がつい出てしまった。


高宮「まぁまぁ飲み過ぎだぜ拓矢、色々あったかもしれないけど」


大濠「まぁ拓矢の言うその小銭で生活してるけどな俺等、ただ船に例えるとお前の今乗ってる船は泥舟なんだよ、せっかく鉄で出来た頑丈な船に乗れるのに勿体ないぜ」


両方の世界が好きになれない


今住んでるシェアハウスの住民の顔が浮かんで来た。

住民阿武「暇なら今度荷揚げの仕事紹介するよヘルメット余ってるからさ」

住民いわき「俺の反社の知り合いがこの前さ」



エリートとというのは時に同類か下界の人としか見れない節がある。ただ今の拓矢が1+1=2ですと正論を言っても二人は聞かない、拓矢に力が無いからだ。

自分だけでなく自分のいる環境全てを馬鹿にされた感じだった。


そして居酒屋を出てバーに行った時に事件は起きた。


高宮「まぁまぁ俺等同じ高校の同期だしさ、二人共喧嘩すんなよ」


拓矢「まぁ、、俺も言い過ぎた」


その時

絡まれる大濠


チンピラ「肩がぶつかって痛えんだけどよどうしてくれんのよ」

大濠「すいません」


学や経歴が通用しない世界のお出ましだ。


拓矢「あんたがぶつかってきたんじゃねぇのかよ」

チンピラ「俺にガタくれてんの?このガキ」


寄って来たので胸倉を掴むと

他のチンピラ達「おいお前暴行の現行犯だぜここ防犯カメラあるしどう誠意見せんのよ」


二人ぐらいのチンピラが来る


拓矢は身分証明書等を写真に取られてしまった。


振り向くと


高宮と大濠の姿は無い


それが1番切なかった。





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