第11話 竜騎士の資質
空に浮かぶリングや他の飛竜を最小限の動きで躱し、加速し続ける。
「ガアアア!!」
例の蛇竜がブレスを撃ってきた。空気の
エッグルを旋回させ、ノールックでブレスを躱す。
「フレン君!」
心配そうなミズキの声が聞こえた。
大丈夫だ、心配はいらない。対応できる。
雷撃を浴びた竜とその竜に乗っている受験生が両方とも落下を始める。
受験生は手を出し、なんとか竜を左手に封印した。ファインプレーだ!
受験生の高度は約50m! 間に合うか……!
「きゃあああああああっ!!」
受験生は落下し続ける。
「うおおっ!!!」
オレはマックススピードで飛行し、両手を出して受験生の少女をキャッチした。
「あ、れ……?」
「ふーっ! 間に合った!」
オレは弧を描き、飛び込み台の方へ飛んでいく。
飛び込み台の方へ近づいていくと、なぜか拍手の音が鳴り始めた。
「すげぇ、すげぇなお前!」
「速かったな……どんだけ速度出てたんだ?」
「やるじゃん!」
受験生の歓声と拍手がオレを迎えた。
「ははっ、なんとかうまくいったなぁ……間一髪だ」
オレは手を振って歓声に応えた。
---
フレンの飛行は他の受験生たちの視線を集めた。
シグレは先ほどの事故に遭った少女の落下地点からそれを見上げていた。シグレも少女を助けるため、落ちてくる少女を受け止めるため、動いていたのだ。
「へぇ、嘘じゃ無かったな。すげぇスピードだ」
シグレは次に暴れていた海竜の騎手、緑髪の女子に視線を移した。
(あの海竜……凄まじい馬力だったな。ブレスの威力も並じゃねぇ)
シグレは笑う。
「……アイツらを落とすなよ、〈ミッドガルド〉さんよ。楽しみが減っちまう」
シグレと同様に、フレンの飛行を興味深く見ていた者が2人いる。
1人はミズキ。すでに蛇竜の鎮圧を終えたミズキはフレンを見つめていた。
「成長したわね、フレン君」
そしてもう1人、
それはラメールだ。
(速いな。二つ星クラスの速度はある)
ラメールは舌打ちする。
(それに障害物を
そこでラメールは思い出す。ある白髪の男を。
「――道理でイラつくわけだ。あのアホ眼鏡の飛行に似てやがる」
思わぬ事故があったが、その後も試験は続く。
飛び込み台に戻ったラメールはフレンの方を見る。
「試験を続行する。テメェも支度しろ、201」
「えっ……」
「返事はどうした?」
ラメールの言葉を受け、フレンは意気揚々と「はい!」と返事した。
最後の試験、高速飛行試験に臨むフレン。フレンは他を寄せ付けず、圧倒的な速度で周回する。
(うぜぇうぜぇうぜぇが……良い飛びだな)
ラメールはかつての宿敵を思い出し、小さく笑った。しかし、
「あぁん?」
フレンは試験の途中で切り上げ、勝手に飛び込み台に戻ってきた。
「す、すみません……さっき無茶な飛行したせいで、思ったより早く酔っ……」
ヨロヨロと、フレンはラメールの方へ歩み寄っていく。
「おい、わかったから……俺に近づくんじゃねぇ!!」
ラメールは逃げようと足を動かすが、時すでに遅し。
「おえええっっ!!」
「……俺の、ブランドのコートが……!」
フレンのゲロが、ラメールの胸板に着陸した。
こうして無事(?)試験は進み、終了したのだった。
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