第12話
どこからどう見ても普通の人間の少女にしか見えないが、トラコ本人が自分のことを猫だと言い張っている。
あー、なんか変なのに関わってしまったかなー。
たま子は内心そんなことを思いつつも、トラコに質問を繰り返した。
「あなたは本当に猫なんですね?」
『だからそうにゃ、さっきからそう言ってるにゃ』
「じゃあ。なんでそんな人間の姿に?」
『知らないにゃ、あたしも知りたいにゃ』
「根古田さんはなんで倒れているんですか?」
『あたしの裸見て興奮して倒れたにゃ』
「いつも裸なの?」
『根古田博士にシャツ着せられるけど、鬱陶しいので脱いだにゃ』
「言葉はどこで覚えたのかしら?」
『分からないにゃ。でも猫だって考えたり喋ったりはするにゃ。猫語は人間には分からないかにゃ』
徹底的だ。すっかり自分を、猫だと思い込んでいる可哀想な女の子。もしかしたら親に虐待されてるのかもしれない。現実逃避の為に、自分のことを猫だと言い聞かせているの?
「トラコさん、あなたが猫だという証拠はありますか?」
『証拠?しっぽならあるにゃ』
トラコはそう言って、たま子に背中を向けた。
そのお尻の部分には確かに猫のものと思われるしっぽが生えていた。
「そんな、嘘でしょ?作り物にしてはよく出来てるけど」
『それに肉球もあるにゃ』
トラコはそう言うと、片足を上げて、足の裏をたま子に見せる。足裏には立派な肉球があった。
「と、とりあえず、服を着ませんか?」
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