第9話
「もしもし?私は根古田というものだが……」
「もしもし、本日はどういったご用件でしょうか」
「先日、おたくの媚薬を購入したのだが」
「それはどうも、ありがとうございました」
「媚薬を冷蔵庫に入れていたのだが、いつの間にか蒸発してしまって無くなっていたのだ」
「取り扱い説明書はご覧になられましたか?本品は冷やしてはダメだと注意書きがあると思うのですが」
「そんなこと、何処にも書いてないぞ」
「説明書の最後のページの成分の項目の下の方に書いてあると思うのですが」
「こんな小さな文字で注意喚起とは、注意喚起する気がないのだろう」
「そう言われましても、弊社としては説明責任は果たしているものと考えております」
「ところで、この媚薬には何か特殊な効能とかあるのではないか?例えば……猫を人間の姿に変える……とか」
「そのようなことはございませんが…お客様はいったい何を仰りたいのでしょうか?」
「とにかく、私のトラコ様を猫に戻して欲しいのだが……」
「イタズラ電話でしたらこの辺りで失礼させていただきます」
「イタズラではない、猫が人間の姿になったのだ」
「お客様、しつこいようですと警察の方に通報させていただきますよ?」
「勝手にしろ、とにかくトラコ様を猫に戻してくれ。じゃないと、私の平穏な生活は取り戻せないのだ!」
「……本当にそのような事があったというのですか?」
「さっきから何度も言っている。猫が人間の姿になってしまったのだ」
「これは弊社とは関係なく、私個人の興味にはなりますが、是非一度、詳しくお話を聞かせて欲しいものです」
「とにかく、だ。その媚薬が原因に違いない!至急、人間を猫に戻す薬を開発してくれ」
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