忌引き休暇
その日は、ほぼ徹夜状態だった。というか、夜勤をやっているので、慣れた感じだったが、父親や伯母さんとその娘も徹夜状態だった。
警察官の話しによると、司法解剖の後に、葬儀社に運び入れる為、葬儀社を早めに決めて連絡して欲しいとの事だった。
伯母さんが、葬儀社を選び、連絡。
遺影の無い、小さなお葬式に決めたのだが、すぐに行われないようだ。・・・コロナでの死者が多く、かなり混んでいたようだった。
葬儀は、5日後の日曜日に決定、それまで母親は、葬儀社に安置される事に。
「とにかく、少しだけでも、寝た方がいいわよ!」
伯母さんが、自分と、父親に言ってきた。
とりあえず、言葉に甘えて、少し寝る事に。
しかし、父親は結局寝なかったようだ。
朝7時頃、会社の工場長に電話を入れた。
「もしもし、おはようございます。・・・母親・・・駄目でした」
「あぁ!・・・そうか?・・・亡くなったか?」
工場長は母親の死を・・・実は、あの時にも、工場長に電話を入れていた、母親を救急車で運ばれる時に・・・しかし、また翌朝に連絡してくれと言われ、電話を切ったのだった。
「それは、残念だったな!・・・とりあえず、今日から3日間、忌引き休暇を取ってもらうから。その後は・・・また連絡してくれたらいいから。」
「い・・・いびき休暇???何それ」
自分は初めて聞いた言葉に動揺した。しかし、工場長に聞くわけにも行かず・・・とにかく、水曜日から、会社を休む事に。
3日間忌引き休暇で土曜休日、そして、日曜日に葬儀が行われる。しかし、忌引き休暇という意味がわからないままだった。
休みの期間には、従兄弟に手伝ってもらいながら、母親の遺品整理を、洋服等、いらない物は、粗大ゴミとして引き取って貰う事に。後、母親の預金等も、父親に遺産相続として引き取る事に、その為、区役所にて戸籍謄本等が必要になるようだ。
区役所に行ったり、銀行に行ったりとかなり多忙になった。
夕方には、会社に出向き、工場長に、これまでの経緯を話した。その帰りに、タイムカードを見てみると「忌引き休暇」と書かれていた。
「いびき休暇???」
「えっ!!いや、きびき休暇だよ」
たまたま近くにいた上司が言ってきた。
「きびき休暇って読むのか?」
初めて聞いた言葉だった。
自宅に戻った後、母親に会いに葬儀社へ。
体を洗ってもらい、顔は、綺麗に化粧されていた。そして、柩に入れられるところだった。
葬儀、告別式は、5日後の日曜日に、小さなお葬式として、執り行われる事に・・・。
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