【046】サクラサク
かっぱっぱ、るんぱっぱ♪
とっておきの日本酒を出しながら、鼻うたを歌う。
日本酒を飲む時は、必ず某黄桜の河童のCMソングが頭を回る。
こういう永遠に曲が頭を回ることを何て言うんだっけ。イヤーワームだったかな。
いけるけるけるけるける♪
リズムに合わせて、乾麺のうどんの袋を開けて、沸騰したお湯に放り込む。
今日はお祝いだ。
メインは、お寿司と鍋焼きうどん。
お寿司だけでは足りないから、鍋焼きうどんでボリュームアップ。
さっき、LINEで息子から連絡があった。
連絡といっても、大学の合格通知のスクリーンショットと、黒猫が踊るスタンプだけだったけど、私を熱狂させるには十分だった。
ばんざーいっ!
息子は浪人して、近くのコンビニでアルバイトをしながら、図書館で勉強をしていた。
大学生になった同級生が、ピアスをして、ニンジャとかいうかっこいいバイクに乗って、アルバイト先のコンビニに来たと悔しがっていた。
中学受験だと、合格させるための子供への念力フレーズとして「あなたは本番に強いから、絶対に大丈夫」「いけるいける!」があるらしい。
しかし、既に成長しきった息子に対して、私は祈ることしかできなかった。
神様、仏様、
かっぱっぱ、るんぱっぱ♪
鍋焼きうどんを作り始める。
だし汁に、酒や醤油を入れて煮たたせる。
煮立っただし汁に、鶏肉と人参としめじを入れて、茹でていく。
鶏肉が白くなり、火が通ったら、そこにうどんとネギと茹でておいたほうれん草を入れる。
……が、今回はまだ息子が帰ってこないので、ここはやらずに置いておく。
うどんやネギは食べる時に鍋に入れ、うどんが薄茶色になり味が沁みたところで、熱々のうどんに生卵を落として食べるのが、我が家での食べ方だ。
既に、寿司は届いた。
テーブルは、寿司と鍋焼きうどんの皿、お吸い物、イチゴでいっぱいになっている。
息子にはオレンジジュース、私には日本酒を準備した。
冷蔵庫には、急遽、デパートで買ってきたショートケーキとチョコレートがスタンバイしている。
あとは、主役の息子が帰るのを待つばかり。
LINEで息子に「ご飯ができたよ。お祝いだから、早く帰っておいで」と送ったら、「了解」のモアイ像のスタンプが送られてきた。
変なスタンプだけど、それだけに、息子の嬉しさが伝わってくる。
明日は、合格祝いに万年筆を買いに行こう。
大学合格、おめでとう!
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(本文の文字数:1,001字)
(使用したお題:「永遠」「鍋焼きうどん」「ニンジャ」「河童」「黒猫」「うた」「日本酒」「未確認飛行物体」「モアイ像」《飯テロ要素の使用》「念力」「万年筆」「ピアス」)
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