第10話 天才と平凡

010 天才と凡人

「そう、なんですか。コープスさんも大変だったんですね」

「そう、だな。おかげで最近笑ったりできないんだ。昔はもっと感情が豊かだったらしいんだが表情を帰ることすら難しい。泣いたりもしていない」


 コープスは俺に淡々というがこうなんだろうか、悔しさ的なものを感じているのだろうか?コープスは感情をだしたいがだせない。天才も天才で大変なんだな。俺の弟、戦闘に関してはすごい弟は俺に甘えに甘えまくっていたから天才のそんな悩み感じなかったな。


「わかりました。こんな俺でよければお願いします」

「こちらこそ頼む。では明日からまたよろしく頼む」


 それだけ言うとコープスはどこかへさっていき俺はマリダさんの宿屋で世話になった。マリダさんに冒険者になれたと伝えるとご馳走を作って俺をもてなしてくれた。本当にこの人には頭があがらないな。

 次の日の朝俺は起きると何やら宿屋の下の階が騒がしたかった。


「おいおい。マリダさん。いつになったらこの宿屋潰させてくれるんだい?この宿屋を潰してわしらは新しいビジネスを始めたいんだよ。あんたの宿屋はかなりの借金を滞納している。それを返済しないと文句がいえないのに何でそんなあっしらの言うことを聞いてくれないかねぇ」


 宿屋の前でやたらとこもの感があふれる白い髭を垂らした黒い服を着たおっさんがマリダさんに言う。この宿、借金があったのか。なのに俺に一度タダ飯を


「何度も言わせないでちょうだい!うちの宿屋を勝手に破壊したのは勇者パーティーの馬鹿どもだし勝手にあんたらに修理を頼んだのもあの勇者パーティーのバカども。なのに何であたしが金を払ってやらないといけないんだい!」


 マリダさんは白い髭のおっさんに言うと白い髭のおっさんは軽く笑いながら


「勇者様を馬鹿にするとはやはりこの宿が古いと宿屋を経営しているやつもクソみたいな女じゃ。ま、邪魔しないでくれ。今から取り壊すからの」

「ふざけないで私の店を勝手に」


 マリダさんは抵抗しようとすると白い髭のおっさんの背後にいた黒い服の若い男の子のようなやつがマリダさんの肩に服のポケットからナイフを取り出して突きさす。


「!」

「黙っておらんともっとひどいめにあわせるぞババア。それは勇者様を馬鹿にした落とし前だとでも思っておれ」


 黒服の男がマリダさんの肩を刺したのを見たとこで俺は頭に血が昇って思わずそいつらの前に出てしまう。口論だけで済むなら出ないでおこうと思っていたけど恩人であるマリダさんの肩を刺したとなると話は別だ。

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