3話

 司咲つかさまとめがけて発砲するも、惺夜せいやは一瞬で避けてしまう。

 弾をかわしながら、攻撃をする。青髪の男子は重りをつけているのに軽やかな舞いをしている。敵チームの彼も負けじと戦う。


 司咲つかさも強いほうだが、惺夜せいやにはかなわなかった。撃てども、撃てども当たらない。むしろ、体力が無駄に減っていく。紫髪のほうがピンチに陥る。


「な、いつもどおりあたらないわけですか……」

「ああ、ガンカタのサバゲーで鍛えられたからな」


 ここの世界ではサバゲーに参加できる年齢制限が下げられている。保護者はつかなくてもよく、中学生でも遊べるように安全を確保して楽しめるのだ。


 彼は中学時代にとある人から教わりながら、なんども遊んでいたので、その影響かガンカタも扱えるようになった。


「さて、終わらせますか」


 青髪の彼は相手の的に狙いを定め、弾丸を放つ。

 紫髪の少年は避けようとするも、また一発、弾が撃たれ、避けられない状況。


 彼はそのまま命中してしまう。同時に司咲つかさは倒れてしまう。


「く、撃たれたからもう動けないな……。すみません永瀬ながせ先輩」

「へえー、永瀬ながせ先輩が王役なんだ。いいこと聞いた。それじゃ勝ち取りますか!」


「大丈夫? 惺夜せいやくん。あなたがやられたら私たちの負けよ」

「平気さ、俺がすべて守ってやるよ。つばき」


惺夜せいやくんたち、残念だけど、もう永瀬ながせさんを倒しちゃったよ~」


 キザっぽい声が聞こえる。つばき達と同じチームの味方のようだ。


「ええ?! 永瀬先輩を?! いつのまに!」司咲つかさ大事おおごとのように声を上げる。


「ふふふ、彼女とダンスしていただけなのに、永瀬さんが僕に惚れてやられちゃった」

 キザな男はクスリと笑いながら、話す。


「なわけないだろ!! ぼくがやろうとしたら、こいつに一瞬でやられたんだ!」


 金髪のギャルは怒りながら言う。彼女の名前は『永瀬春花ながせしゅんか』敵チームの王役だった。


 そして、キザの男子は『天羽凪あもうなぎ』。オレンジ色の髪と垂れ目の男性で、惺夜たちの二個先輩だ。


「おやおや? てっきり、僕のためにやられたかと思ったよ」

「ちがうわよ! アンタが強くて手も足も出せなかったんだ!」


「そんなに怒らない。お肌によくないよ~」

「誰のせいだとおもっている?! もういい、後でシンをからかいにいこ」


千木楽ちぎらくんかい? いいと思うよ。僕もちょっかいだそうかな」


 彼の発言にどんどんイライラがつの春花しゅんか


「だー! ぼくの真似をするな!」


 少し暴れる彼女。それをとめるつばきと司咲。


「永瀬先輩、落ち着いてください。もう模擬戦が終わったので帰りましょう」


 紫髪の少年が正気に戻すように、なだめる。


「そうですよ、そろそろお昼なので一緒にご飯でも食べましょう」


 赤髪の少女もご飯を誘って春花の機嫌を直そうとする。


「2人ともありがとうー。だけど朝にコンビニでご飯買っちゃったから一人で食べるね。誘ってくれてありがとう」彼女は司咲たちを抱きしめた。


「ちょ! ここで抱きしめるのはよくないですよ!」

「いいじゃない! つばきっちも抱きしめているし」


「そういうことではなく、異性同士でこういうのはよくないんじゃないなと」少年はどぎまぎしながら、やさしく注意する。


「そ、そうですよ。一旦離しましょう?」赤髪の女の子は苦笑いをした。


「だーめー。ぼくたち仲良しだからー」金髪の彼女はやめない。


 その光景をみる惺夜せいやが微笑む。

永瀬ながせ先輩たち仲いいな。それじゃ、俺らは戻りますか」


「そうだね~。僕達戻らないと怒られちゃう~」

「いや、ダンディ厨二病だけでも怒られておけ」


「なんでさ~。べつにいいだろう?」

「俺はお前みたいな態度をしているのが嫌いなんだ。かわいい後輩のためにも代わりに叱られてくれ」


「いつもどおり、僕にきびしいな~。惺夜せいやくんは」

「というわけで、帰ろうぜ三人とも」


 惺夜せいやが声をかけると、みんな抱きしめるのをやめて、彼の方に向かい、そのまま先生のいるところまで戻った。


なぎに対してこう言ったけど、どっちみち俺ら行動が遅かったから叱られるんだよな)と惺夜は考えていた。


 彼らは戻り、先生に注意されるも想像よりもやさしい言い方だったのでなんとかすんだ。

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