2話
六月の中旬、その日は快晴であった。
風も肌に当たりたくなるぐらい清々しく。
洗濯物を干すにも数分で乾きそうな程の快適な今日。
とある私立に設立された“学園SAT”ではありきたりな日を皆過ごしている。
その生徒達は
この学園では、ただ学問に励んでいる生徒もいれば部活動に青春を謳歌している学生もいる。
しかし、国から認められた特殊部隊の-学園SAT-に所属する学生も存在しているのだ。
学園SATとは、この私立校に設立した特殊部隊であり、日本で唯一の学生兵隊学園でもある。
特殊急襲部隊と通称が似ているが、直接関係ない。偶然の一致だ。
そのことについて、設立した会長は反省していた。
いま学園SATは、体育館に似ている訓練場で
(こ、このタイミングで行ける……? いや行けなさそう)
赤髪でショートヘアの少女は迷っていた。
彼女は攻めるか否かと
もちろん、ほか四人にも的をつけられ、三回塗られたらその人はもう動けない。
王が敵を撃ってもいいし、攻めてもいいがリスクはつく。
男女共同でハンデとして男子側は重りがついている。戦闘もままならない。
長年事件が起きないのか、実技はほとんど遊びに近い感じになっている。
そして迷っている少女の名前は『
彼女のチームは王含めて三人しかいなく、相手はまだ五人全員生きている。赤髪の少女自身の的はもう一発塗られている。あと二発撃たれたらもう活動不可能だ。
「私がやられたらもう勝機はない。ここで仕留めないと」
つばきの状況は物陰に隠れていて、敵は三人いる。しかも気づかれていない。成功すれば一気に逆転できるチャンスだ。
だが彼女自身、近戦闘は苦手で、下手すれば数に押されてしまう。勝てるかわからない。
少女は覚悟を決め、敵の後ろの的に向けて撃つ。命中し拳銃をもちながら、戦闘をおこなう格闘法だ。
この体術は近接戦闘をおこないながら、銃で戦う技法。ショートカットの女の子は学園の兵隊の中で一番弱いと思っているが、銃器は扱えるのだ。近接戦闘も一般人と比べたら充分強い分類になる。
つばきは銃を持ちながら舞う。まだ拙いながらも、彼女らしく成長したての蝶のごとく優雅に動く。敵三人は全部撃たれて行動不可能となった。
「よし!
少女の背後に弾が当たる音と感触がくる。後ろを振り向くと、見た目が女の子みたいにかわいい中性の男子がいる。
彼の名前は
その少年は中性的な顔立ちで、紫色の髪をしており、毛先もサラサラ。筋肉はがっしりついており、どことなく優しそうなオーラが出ている。
「
「ごめんな、つばき。実はお前の様子をみていたんだ。こっそり隠れてさ」
「つまり、私の作戦はバレバレだったってわけね」
「そういうこと。悪いな、友達なのに騙してしまって」
つばきは辺り一面をみる。味方を探すために。数秒見渡すと、味方の男子を見つけた。彼も気づいたのか、危機的状態の彼女の方へ向かう。
少女は安心したが、助けに来てくれたのが王役なのでリスキーだ。しかし、赤髪の女子は勝ちを確信していた。
「いいのよ、
「そうかそれはよかった。んじゃ、つばき。ここで脱落してもらおうか」
「……そうね。ここは私の実力不足だったわね」
「いやそんなことないよ。お前は強い。少なくとも、ここの学園に入学できるだけの実力はあるよ」
「そう? ふふふ、ありがとう
「ああ、だけど、これは勝たせてもらうよ」
彼はペイント弾が入った銃の引き金を引こうとした直前。司咲の後ろから数発撃たれる。
そして、何かの影が動き、不利的状況の女子を助けた。
「?! 撃たれた……、誰に!」
「俺だよ、
中性の男子は前方をみる。別の男子が立っていた。「
彼の容姿は青色の髪でツーブロック。そしてキリッとした目、少し筋肉がついている。少し活発系な男子。
「
「なに、当たらなければいいのさ」
「よくわからないことをいって……。悪いがここで倒して、俺らのチームの勝利だ」
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