4話

 今は昼時、学生達は食堂に二六〇円で食べられるカレーやうどん、そばを頼んでいた。


 SATの制服は藍色のブレザーでズボンはグレーといったシンプルなものだ。


 しかし他の学校と違う点を挙げるとすればそれが防弾チョッキみたいに弾丸を軽く防げることができる。


 戦前から建てられた学園だが、戦後テロリストが多発して制服を強化するも、ここ一五年間テロリストの影は見渡らずただ武術を学ぶ場となり制服も予算削減として、防弾要素はほんの申し訳程度しかない。


「はぁ、学校の実技楽しいけど飽きてきたな……」


柊惺夜ひいらぎせいや』は嘆いていた。

 嘆いていた理由はあまりにも来ないテロリストにむけて、毎日休まず銃舞スイーパー訓練に飽きてしまったからだ。


 訓練といえど大半はレクなので、飽きてしまうのはしょうがない。

 もちろん惺夜せいや銃舞スイーパーの体術は嫌いじゃないし、普段から拳銃をホルスターに装備しているが、どんな好きなものでも続けていたら怠慢期が訪れる。と同級生の親友である『朝霧司咲あさぎりつかさ』と女友達の『西園寺さいおんじつばき』と駄弁っていた。


 ちょうど学園SATの生徒達は、唯一の休み時間であり皆食堂で集まり学食を食べている。

 これを逃してしまうと、休めるのはいつかわからない、と言わんばかりに惺夜せいやは愚痴を人の言葉を覚えた九官鳥みたいに沢山喋っている。


 それでつばきは言い返す言葉も見つからずに黙っているが司咲つかさは共感をしながら、返し言葉に新たな愚痴をこぼし会話する。


「何が言いたいかていうと、勉強が嫌いで、サバゲーに興味があるから入ったのに、こんなに同じことを繰り返す訓練って知るわけねえよな。司咲つかさ

 と惺夜せいやは愚痴を吐く。


「そうだね、ここの実技はほとんどレクとかの遊びが多いよね」

「だろ? 普通だったら飽きちゃうよな。レクもレクで楽しいんだけど、たまには本格的なことをしてほしいなと」


「最初の説明会の時に行ってなかったか? 惺夜せいや。てかこんなものって自衛隊みていなものだからそんぐらい普通じゃない? 今の授業は訓練とは言えないけどね」と司咲つかさは学食のうどんを食べながら言う。


「でもスイーパーを使って遊ぶのって何になるんだよ。演舞か! 俺たち演武者なれって言うのか! 俺の才能なんて小学生の頃お遊戯会で木の方が良く演技しているねと言われたんだぞ!」


「いやいや惺夜せいや、役柄で人を舐めちゃダメだぞ。演武者さんも一生懸命やっているし」


「それもそうだったな。感情的になっていた、すまない」

「あぁ、いいよ親友だろ?」司咲つかさはにっこりと笑う。


 そのとき、「でもスイーパーの他にアーミーナイフとか近接戦闘法とか学べるし、しかも体力がつく一石二鳥じゃない? わたしアーミーナイフの授業好きだよ。平和すぎて、全然出動したことないけど」とさっきまで重い口をしていたつばきが会話に入る。


「そりゃお前アーミーナイフが好きで入ったからだろ? 近接戦闘苦手なのに」と惺夜せいやはツッコんだ。


「……別にいいじゃないの?」

「いや、良いんだけどね。だけどそのやる気はすごいと思っているよ」


「ふふ、ありがとう惺夜せいやくん」

「俺はもちろんお前らと一緒で好きでこのSATに入った。けどな、限度があるだろ同じようなゲームを何回も繰り返しているぞ。もう今日が快晴だからって、今六月中旬だぞ おかしいだろ?」


 彼は司咲たちに対して質問してみる。


「とか言っても惺夜せいや、結構成績良いじゃないか。やっぱり俺はお前に敵わないわ」

 と、紫髪の彼は質問を返した。


「五十歩百歩だろ。俺とお前の成績の差、言わば早撃ちなんてたった〇・二三秒しか変わらないじゃねえか」


「あれれ? そうだっけ? でも惺夜の方が強いのはそうだろ?」


「いやいやいや、司咲つかさの方も強いからな? 流石の俺でも、さっきの試合はきつかったぞ。恐竜とダイナソーが戦っているような感覚だ」


「……惺夜。恐竜もダイナソーも同じ意味だぞ」


 親友同士と気楽な会話をし、それを見つめる少女。


惺夜せいや君の言っていることは、よくわからないけど、なんだか一緒にいてたのしいな。でも前にもあったような……)


 つばきは少し考え込み。

(まぁデジャブかな?)と気にしなくなる。

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