30話
凪とフィアナは、武器相対の戦闘だが、彼の方が善戦している。
途中、永瀬も弾が切れたのでアーミーナイフ参加しているが、彼はそれを華麗に避ける。
でも流石の凪も体力が消耗していた。
(ふぅ〜流石の僕でも美女二人相手はきついね〜。おしゃべりして少し作戦を練ろうかな?)
呑気と真剣を足して2で割ったような作戦を練る凪。
「ねぇねぇ〜、お姉さん。僕の蒼光の仔猫ちゃんはどこに行ったんだ〜? 西園寺つばきさんというレディね〜」
凪は短刀を避けながらテロリストの女に質問する。
「あぁ! つばきちゃんねー。私と戦っていたんだけど、負けて、私にほっぺチューしてくれたのー。私のお腹を犠牲にしたチューは可愛かったわ〜。唇がプルプルで柔らかったー。私のお気に入りなったのが嬉しいなー」
短刀を振りながら、ニコニコと話すフィアナ。
凪はムスッとした。
「へぇ、キスしたんだ……。それは許し難いねぇ〜。僕にはまだなのに……。永瀬さんにまぁ負けてもいいけど、お姉さんだけには負けないよ〜!」
少し腹を立てる凪。だけど作戦はもう立てた。
(うーん。廊下から真っ正面に逃げるフリして足を銃撃する。多分永瀬さんが前線に行くと思うから先に永瀬さんから気絶とかさせようかな〜。まぁマドモワゼルの西園寺さんと僕の家族、惺夜くん達以外なら殺してもいいんだけどね〜)
(それにしても、この人の腹部に血痕があるの気になるな〜。まぁ犠牲にって言っていたから、僕の西園寺さんにやられたんだな〜)
その時、また永瀬がアーミーナイフで攻撃してきた。
二連、三連。アーミーナイフで振り回すもまた避けられる。
「ダメだよ〜。ナイフの使い方は、フルーツを切ることや木の枝を切ることだよ〜。そんな物騒なものは持ってはいけま……」
凪は瞳孔開きながら気づいた。
永瀬のナイフ全体の刃が、欲望より赤い血が塗られていたからだ。
(ん?! 待てよ。なんで永瀬さんのナイフが赤く染められているの?! 僕に切り傷はないし、そういう場合は肉を深く傷つけてじゃないと?!)凪は避けながらフィアナの前を通り、奥の廊下へ逃げ込んだ。
そして振り向き、声を震えさえながらこう言う。
「ねぇもしかしてさ、千木楽くんと戦ってるの西園寺さん……じゃないよね。お姉さん」
「攻撃をやめてケルビムさん。一旦動かないでね」
永瀬は攻撃をやめて、仁王立ちで動かなくなった。
「何言っているの? シンくんと戦っているのは、つばきちゃんよ〜。そして貴方と戦っているのは永瀬さん」
「とぼけるなよ! だったらなんで永瀬さんのナイフの刃全体が血に染まっているんだ?!」
凪はいつもの口調ではなく、激しくキレていた。
「お姉さん確か『腹部を犠牲』に、と言いましたよね。つまり……」
ナギは目を瞑り、一呼吸いれ、目を開ける。
「いま、僕とお姉さんと共闘しているが永瀬さんじゃなくて『西園寺さん』ですよね。だってそうしないとナイフに血が塗られている理由はつかない!」
「永瀬さんは、もしかしたらさっきまで敵の血を浴びていたかもしれないわよ。と言いたいけど、面倒くさくなったからネタバラシ言うわね」
フィアナは凪の目線に合わせる。
「そうよ。この子は永瀬さんじゃなくてつばきちゃんよ〜。戦闘前に『天使の名前と偽名で言ってね。』と言ったんですものー。偽名は適当に永瀬ってつけたわ〜」
「もしかしてわかってケルビムさんと言ったんだな?! そうすれば永瀬さんと偽ることができるから……そして僕が西園寺さんのことが好きだと知ってこうさせた!」
彼女はプッと笑いが込み上げて。
「あれれ? もしかしてつばきちゃんのこと好き? あらいやだー。私としたことが貴方に酷いことさせちゃったわー。でもこっちの方が都合いいわね。ありがとう」と言う。
「こっちは嬉しくないよ……、と言うことは千木楽くんの方は永瀬さんと?!」
「大丈夫よ。そっちは別の誰かが戦っているわ〜。永瀬さんじゃないと思うわね」
「そうか、なら千木楽くんは戦えるね」同時に凪はこう考える。
(……もしもそっちが永瀬さんなら、千木楽くんは辛い状況になるよ……。洗脳装置の外し方を知っているといいが。頼む千木楽くん外し方を知ってくれ! そして違う人であって!)
凪の目が曇り、その後、廊下奥に逃げ続ける。
「さてケルビムちゃん〜。あのキザ男を捕まえにきてね〜。大丈夫! あの男はケルビムちゃんに危害加えないし、貴女の弾をリロード良いわよ〜」
フィアナは言い放つと、洗脳されたつばきは凪を追いかける。
(良かったわ。戦闘前に弾が切れてもリロードしないでアーミーナイフで戦ってと言っといて〜)
彼女は鼻歌混じりに呑気に凪を追いかける。
司咲は千木楽を探していた。
千木楽が戦っている教室以外、一つずつ戸を開けながら身を隠す。
誰もいないことを知るとその場から去り、次の教室へ向かっていた。
「おや? 確か君はSFによってW・Aの一員になったはずではないのか?」
司咲の後ろに殺気も気配すらない存在。振り向くと龍康殿徹平がいる。
(?! 俺も気を張り詰めていたが一切気づかなかった。何奴)
司咲は緊迫していた。
「まぁ私は元W・A一員には攻撃しないので安心してください。処分はしませんよ」
「へぇ……そうか、なら安心したぜ」
共に司咲の銃弾のワルツが発表されるも、龍康殿は一瞬で避け。
「おやおや、君なりの挨拶ですか? いい返事ですね。こんにちは」
初老の彼は再度後ろに周る。
表裏のリバース盤が落ちそうになるぐらい冷や汗を掻く。今までにない感覚だ。
「ところで君に二つ言いたいことがある。私の目標は銭財ではない獲物が欲しいこと、君と踊って欲しい相手がいること、でもその子は恥ずかしがり屋さんなので来るまで前者の方を話しましょう」
司咲の一秒が体感、牛歩並に遅くなる。
まだ動悸が止まらない、攻撃しても死なないけど覇気で肺が圧迫されて息ができなくなるような感覚。
また龍康殿の口が開く。
「私は獲物を探している。学園兵隊とか弱い仔羊……そして素晴らしき殻星殿には言ってないことだが、それに加え覚醒者を探している。その名前は|Not a sheep・Oracle escape《ノットアシープ・オラクルエスケープ》意味は『この世に抗い続けるたった一人の無神論者』だ。覚醒の仕方は相手よりも強いやつと戦って、瀕死状態になるらしい。少なくとも私の元組織ではそう言う人が三人もいた……。この兵隊たちはどうかな?」
司咲の身体が震えていた時に目の前からアーミーナイフを持っている敵が見えた。
「……おや? ようやく来ましたか、それでは可愛い女の子と楽しく踊ってください。それでは私は用がありますので」
龍康殿はこの場から去り二個先の教室を開ける。
司咲の緊迫感が取れて、今すぐ戦闘準備をした。
「お前何者だ。名を名乗れ!」
フードを被ったSFは話す。
「ぼく? ぼくの名前は『――』だよ」彼女の声は聞こえなかった。
「……っ! そうか、立ち話もなんだし教室に行きますか!」
司咲はSFの顔ごと持ち教室の内窓に当ててガラスを割り教室に入る。
その頃惺夜は本部近くまで行き、司咲のところまであと一分になった。
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