29話
(僕のマドモワゼルが洗脳されちゃったのは悲しいけど、千木楽くんや司咲くん、後は惺夜くんが戦ってくれるでしょ〜。僕は西園寺さんと戦えないからな〜。即負けを認めちゃう〜)
凪はセクシーな女性の腹部を見る。
(それにしても、腹部にうっすらと血痕ついていたから蹴ったけど、そこまで効いてないな〜。すぐ回復したみたいに、ピンピンだ。どうしてだ?)
突如、永瀬がアーミーナイフを手に取りオレンジ髪の少年を襲う。しかし彼は華麗に避ける。
その隙にフィアナは短刀を持ち、彼の首を狙うも拳銃で受け止める。
「僕は罪深い男だ。二人の美女が僕のために争っている。ただ西園寺さんと
「ふーん、なかなか痛々しいわね。それじゃ女にモテないわよ」
「アハハ、そうだね。まるで厚化粧しているお姉さんのようにね」
「私は厚化粧なんてしてないわよ。ただ化粧を楽しんでいる。それだけよ」
「化粧を楽しんでいるねぇ~。良いと思うよ。さて、僕もそろそろ本気を出さなくっちゃ」
凪は短刀を弾き、永瀬の足に銃弾の濃厚な口づけをする。
「さぁ厚化粧じゃない美人なお姉さんも本気出してみなよ〜」
「そうね……。私も本気を出しますか……」
フィアナは短刀を前に構える。
凪は
(絶対に許さないわ……この人は)
彼女は少しキレながら思う。ピリピリした空気が流れる。
十三時二十四分。千木楽は西園寺つばきを追いかけていた。
彼女は教室に入り、千木楽が発砲するも巧みに椅子や机で銃弾を防ぐ。
千木楽も教室に入ると椅子が投げられた。乱舞の如く避け、足を狙うも避けられる。
(やっぱり、あの装置で西園寺は強くなっているんだな。戦闘センスが倍になっている)
千木楽は冷や汗をかく。
「ねぇねぇ、今度はぼくが負けそうになったらフード取ってもいいよ。僕なりのサービスだ」
マジックミラー越しで笑う西園寺。
「んなもう、取らなくてもわかるわ。西園寺だろ?」また沈黙した空気が流れる。
「また名前探しを続けているのか、もう勝手にしろ。ぼくは今後名前を言わない……。顔でわかるだろ?」
「まぁ、半分はわかるよ。たぶんなぁ」
千木楽はまた発砲するも西園寺に避けられる。
「まぁわかったとしても、君は取れないだろうね。僕がフードを取らないと顔が見られない仕組みだから」
少年の後ろを通った西園寺に向かって弾を撃つも、また避けられる。
「くっ! まるで射撃のようだな! ぼったくり縁日のよぉー」
「なにそれ? 意味がわからないよ」
彼女は千木楽の顔に近づく。
SATトップである少年はグリップで頭を攻撃するもアーミーナイフで防がれる。
(?! アーミーナイフ! 本当に西園寺だとな)
千木楽は目を丸くして驚く。
(元が近接戦闘弱くても、装置次第で強化できるから難しいな。これが別のやつだったら……)
彼は目を閉じ、また開く。
(いや! これは西園寺で良かった。そう考えるしかないな。こういう場合は)
刹那に意中する。すると千木楽の膝に彼女の横腹が当たり、たまらず「カハッ!」とボイスチェンジャーの声が漏れる。
そのまま横腹を攻撃し続ける千木楽。
同時に肩に銃弾の幕が上がる。彼女の方には弾の観客で大賑わいだ。
そのあと体術と銃の重さで彼は激しく戦う。
連撃なのか、西園寺は攻撃できなかった。
(よし! このまま勝てる! 西園寺には悪いがこの場で死んでもらう……。すまないな本当)
少年が切なくなると、相手は口を開く。
「くっ……これには僕もお手上げだな。サービスだ、お前の首を貰う代わりにぼくの顔を見せてあげるよ。お前が見る最期の顔だ」
千木楽の後ろに行き、アーミーナイフを彼の首に添える。
トップは彼女の方を振り向く。
フードを被った西園寺がそれを取り、天使のイラストのマジックミラーが上がる。
三秒後、千木楽は数十滴も垂れていた。
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