28話
その頃、惺夜はつばきを探している。しかしなかなか見つからない。
テロリスト達をみかけないが気を引き締めていた。しかしあることを予想する。
(もしかして、つばき洗脳されたか? あのチョーカーによって。いや、違うと思いたい……。でもつばきが勝てる確率も低いからな……)と考えてから。
「俺も本部に行こう」と決心する。
三回呼吸を整えてから目を瞑り、本部の方角へ走る。
(つばきが洗脳されているとすれば、テロリストは本部に向かうはずだ。洗脳した奴等を連れて)
惺夜は二丁拳銃を構えながら前を向く。
そして、(守れなくてごめん)と自己反省していた。
SATの制服の内ポケットはどんな爆発類があっても綺麗に収まるタイプとなっており、邪魔にはならない。
見た目はすっきりしているようにも見えるし、特殊加工で銃弾が当たっても爆発はしない。
──突如、一瞬で惺夜はフード姿の六人に囲まれてしまった。
「あのテロリスト共……まだ特殊部隊を用意していたんだな」惺夜は嘆く。
するとフード姿の一人が。
「ああ、そうだよ。俺たちはW・Aの
「SFねぇ……、つまりSATのメンバーは洗脳されたってわけか。ちょうどいい肩慣らしに行きます……か!」
惺夜が先陣を切ると、目の前にいるSFの動きを封じ込め首めがけて弾丸を打つ。
左右にいた二人と、後ろにいた三人は惺夜に襲い掛かる。
青髪少年はどの名画より美しくダイナミックな
惺夜の左肘で相手の鼻にぶつける、ジャンプすると同時に両足を上げて左右のSFの胸部に足が当たった。
そしてその敵の首筋のフードから見えないチョーカーを狩りする狼のように当てる。
さながら、カンフーみたいでもある。
「さあてラスト三人か、まぁ肩慣らしは終わったが、もうちょい頑張りますか!」
惺夜はSFの一人とガンカタのダンスをする。惺夜も相手と同じ動きをしながら隙を待つ。
しかし惺夜はタイミングをずらし、しゃがんだ回し蹴りで足元をすくう。
残った二人を惺夜は背を向け後ろに向かって蹴る。
そして銃弾を喰らわせた。
惺夜自身、
その人とはいつも遊んでおりそのとき、
短い時間だが、その人以上にできていた。惺夜にとって心の師匠だ。
その師匠の名は『カイト』惺夜は今でも覚えている。
どれもこれも首筋に命中し、みんなのSFチョーカーが外れる。気絶したのか一斉にフードのマジックミラー板が外れる。皆、六〜七年生の男女だ。
意識を取り戻し、激痛に耐えきれず声を上げたのは男性。
「いってぇ……あっ! 新人の一年か! 助けてくれてありがとうな! 一番先輩の七年生として不甲斐ないぜ……」
メンバーの豚面の男性は謝罪をする。
「まぁいいですよ、えーとみたことありますね……大澤さんですか?」惺夜の頭にはてなマークがつく。
「河森だよ!」河森は大声を上げる。
「多分、他メンバーも洗脳されているので、とりあえずみなさんはショッピングモールに向かってください」
惺夜は先輩達にそう伝える。
「ああわかったよ、一年! 他にテロリストが来ようとも、このイケメンでめちゃんこ強い俺様に敵うやつなんでいな……」
「おいさっさと行けよ、ブサイク自惚れ野郎。すまんな一年、こいつと一緒の同級生として恥ずかしいぜ」
「ええほんと恥ずかしいわ……先輩として見られないわね」
「あはは、情けなーい! じゃあね一年 ありがとう」
「おいどんは、悪くないと思うけどな」
「オイラ女の子だけど、カッコ悪いでやんす〜」
六〜七年生は、皆、ショッピングモールに向かった。
「感謝されるのは気持ちがいいものだな。だが俺には、つばきを守れなかっ……いや、これから守ればいい!」
惺夜は頬をパンパン叩いて。
「よし! 行こう!」
急いで本部に向かう。
W・A特製フードは前から見ても誰かわからない。それはデフォルメした天使の顔が描かれたマジックミラーだからだ。
逆風が来てもフードが取れない仕組みだ。顔を確認したければ手でフードを取るしかない。
そうするとマジックミラーは、上にしまわれて顔がみられるのだ。それを知っているのはW・AとSFだけである。だが死んだらどんな人でもフードが簡単に取れる。
フードを被った永瀬は司咲と対面する。
銃弾と体術が絡み、お洒落なダンスに見えた。
永瀬は司咲にグリップで攻撃するも避けられ、逆にグリップで殴りにきて、司咲に顔面をお見舞い。
凪はテロリストの女の弾を、彼の銃弾で弾き返し続ける。
千木楽に負けに劣らないガンカタを披露すると、銃弾が切れた。
彼女に体術を喰らわせながら、リロードする。そしてフィアナの肩に凪の足が当たった。
素早い蹴りだ。その蹴りはフィアナの腹部に当たる。
テロリストの女は倒れた。
「なんだ〜、お姉さん。そこまで強くないんだねぇ〜」凪はフィアナの額に銃を向ける。
その後、司咲の方を向き。
「ごめーん! 司咲くん〜。2on2と言ったけど、多分僕一人でもいけそうだから、千木楽くんのところに助太刀してくれないかな〜?」
紫髪の少年は戦いながら。
「えぇー! わ、わかりました。でも永瀬先輩もアーミーナイフを使いますので気をつけてください。では」
と永瀬の攻撃を避けながら、千木楽の方角へ向かう。
フィアナはニヤリと笑った。
(良かったわ、わざと弱く戦って……。おかげでこっちが有利になった……)と。
(この厚化粧の人、わざと弱く戦っていたね〜。多分本気出してもそこまで強くないだろうな〜。なら僕も本気を出さなくっちゃ)
彼は目をキリッとさせた。
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