26話
本部にいるフィアナは心が昂っていた。
千木楽と
「ふふーん。本当はすごく、ものすごぉく舐めていたけど、こんな強い子供なんてね〜。まぁ私にかかればお茶の子さいさいだけど〜。本部に出たらプレゼントしてあげる」
「え?! 本部に用ないの?! 普通は本部の重要書類とか金銭とか色々じゃないのか?!」
千木楽はアホのように驚く。
無理もないテロリストの目標が金銭目当てと言ったのにそれに興味ないと言う矛盾していたからだ。
「うん実は私たちそれには興味ないの あるのはシンくんのメンバー……SATの強さよ。SATメンバーを私たちW・Aのメンバーにしようと思ってね」
「ふーん、そうなんだ。でもさ、洗脳させてだろ? なんか違くないか? まどろっこしいから単刀直入に話そう。お前らの考えは間違っている! それだけは言える。それだけはな」
「私は間違ってないし、龍康殿様も間違ってないわ。かと言ってシンくんも間違ってないわよ」
フィアナは千木楽に投げキッスをすると、千木楽は嫌な顔をする。ドン引きしていた。
「あら私の優しさが伝わらなかったかしら? ところで……、西園寺つばきちゃんって知っているかしら?」
「……あぁ知っているよ。あいつは近接戦闘法が不得意の割には銃の腕前は凄い。命中率九割も超えている。だがどうした? 時間稼ぎか?」
「時間稼ぎかもね。今その子、私のお気に入りになっているわ。それどころか私にほっぺチューしてくれたんですもんー。かっわいい」
千木楽は冷や汗をかいた。
(西園寺は洗脳された……。俺が無能のせいで)とも思っている。
だが少年はこう言う。
「そうか……別にいいけど俺が裏切り者にはどう始末するか覚えさせないとな!」
「そうね覚えさせないとね。それじゃ私はこの辺でじゃあねー」
千木楽は追いかけた。
本部外にはフード姿のSF《スレイヴファイター》が七人集まっていた。
彼はしまったと感じると、トップの少年に向かって一斉に銃弾のダンスがお見舞いされる。
しかし千木楽は本部にもどってリロードする。
そして、その場所から出たと同時にSFに
火花が散り、相手の頭や心臓に光が宿る。
七人相手仕留めたのだ。
千木楽はSFの一人のフードが外れている人を見つけ、顔を見る『
(高橋……すまんな、こんなことして。だけど洗脳装置で裏切った罰だと思ってもいいし、俺が無能だったからこう言う目にあったと俺を責めてもいい。俺は本当に最低なやつだ)
彼が静思すると、セクシーで色っぽい女性はまた拍手をしていた。
「流石、シンくんね。仲間も容赦なく殺すなんてー。だけどこの子は倒せるかな?」と彼女が横に移動すると後ろにはフード姿のSFがいた。
「誰だ? お前? 名前を言え」
「ぼく? ぼくの名前は……お前を倒してから答えるね!」ボイスチェンジャーの声が廊下に響く。
少し低いボイスだ。SFは銃を取り出し、千木楽に発砲する。
千木楽はそれを避けながらSFの方に向かう。
「ちなみにSFの数人の声や一人称は、私が洗脳によって変えたから誰かわからないわよー。誰か分かったら、元気よく『はい!』って答えてねー」
内心、黒髪の少年は「舐めているのか」と思った。
「あっごめん! 声はSFの機能で変えているわ〜。その装置ボイスチェンジャー付きなのー。それじゃ頑張ってねー」
フィアナはニコッと笑った後、下を向く。
とても悲しそうな顔だ。
(千木楽……ね。懐かしいわ、その苗字。私は好きだったのにどうして)
彼女は考え込む。
(最初にその苗字を聞いて、あんまり思わないようにしたのに、どうしよう涙が。これは試練ね。私、あなたのために強くなるわ……)
薄らと涙が出てくるフィアナ。それを見た千木楽はむかついていた。
(なんだこいつ! 下向いてプルプルと笑ってやがる! 俺の評価はダンディ厨二病以下だ! 性格が難すぎる!)
感情を剥き出している割には謎のSFを優勢に戦っている。
(みかんの皮が口の中に残るぐらいムカつくけど、こいつの正体はだれなんだ? 最初にぼくと言っていた。だが僕と言うやつは、厨二野郎含め、男で三割いたからわからねぇな)
千木楽は考え込む。そのとき、千木楽の手はSFの胸に当たる。程よい脂肪のような感触だった。
彼は気づいた。
(?! こいつ女だ! 女で僕と言うやつは確か数名。紗倉、伊藤、鈴村……。そして永瀬。ん?! 待ってもしかして春花か?!)
千木楽は過去一番焦る。
ここから最悪な展開になることを、千木楽はまだ知らない。惺夜すらも――。
今にもパニックになりそうだが、少し冷静になり。
(いやいや、春花が洗脳されているってわけじゃないな! あいつなら絶対逃げているはず! だから俺が戦っている相手はあいつじゃねえ! しかも春花は俺より強くないはずだ。だから違うやつだな。絶対!)
考えこんでいたその刹那、千木楽は劣勢になり、尻餅ついて倒れた。
千木楽の顔に銃口が挨拶をし、謎のSFは口を開ける。
「負けたな……。ぼくに勝てるなんて百年すら遅い方だ……。君負けたからぼくの名前は言わないよ。でも逆に君が答えても良いけどね。多分わからないと考えるけど」
「わかった、少し考えさせてくれ」
千木楽は思考を張り巡らせ。
(SATの僕女でまぁまぁ強かったのは紗倉と鈴村どっちかだ! よし直感で鈴村だな)
「鈴村か? おまえ……」彼は真剣そうにそう答える。
「違う」
「待て、待て、待て、えーと紗倉だ!」
「それも違う。もう終わりか?」
千木楽の身体に緊迫感が宿る。
(と言うことは伊藤か……でも伊藤がこんな強くなったって天地がひっくり返ってもないと思うから……)
千木楽は過去一番焦っていた。しかし、突如閃く。
(いや待てよ。あのおばさんは装置で、ボイスチェンジしたと言っていたな……。つまり弱いやつを強くするってことも可能なのでは?! そして伊藤が強くなるってことも……)
SFはマジックミラー 越しから尻餅をついた少年を見る。
(ただ単純に伊藤と行ってもダメそうな気がして……。春花の可能性はないと感じるが)
彼はまた軽く焦る。
(俺の兄ちゃんならどう考えるだろうか……)と深く考え込んだ。
千木楽の兄とは――。
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