25話

 千木楽が一人になり、本部の引き戸が開けられると人がSFスレイブファイター数人SATトップを囲った。


 彼からしてみれば、フード姿なので誰が誰だかわからなかった。


 洗脳されたSATメンバー数人は一般人と比べたらまぁ強いが、千木楽にとっては朝飯前すらもなかった。


 千木楽がガンカタを使うと、まず数人の太ももに弾丸をプレゼントする。

 その次に敵が千木楽に向けて銃を撃つも、華麗に弾を避けながら、敵らの手の甲を撃って動きを封じ込める。


 千木楽は一人の敵の腹を蹴り、敵は口を開ける。

 その時、千木楽の拳銃は敵の口の中でキスをする。


 敵は焦っていた。「やばい、やばい、やばい」としか考えられなかったが、一瞬痛みが走る。


 それは気持ちよさにもなり快感になる。つまり敵が一人死んだのだ。

 千木楽はSFの外し方を知らないので、殺すことしかないと思っていた。


 それと、裏切り者には死刑を、と言わんばかりに千木楽の冷酷さが滲み出す。

 と相手はそう考えそうだが、実際はそうじゃない。


 悲しみを背負って戦っている。

 千木楽の拳銃が弾切れになった。


 その瞬間を見た敵は激痛を我慢して撃とうとするも、千木楽は拳銃を上に投げ、死んだものから拳銃を奪い、敵2人のフード越しから両目の部分撃つ。


 敵の命中率が下がり、千木楽は一切弾に当たらなかった。

 千木楽は替えの弾を持ってさっき投げた拳銃目掛けて弾を投げる。


 これが千木楽のリロードだ。

 もちろん全部の弾が入って完了した。


 リロード済みの拳銃を使ってまた敵を一掃する。千木楽は全員倒したのだ。

 ……拍手の音を千木楽は気づいた。


「やっぱりすごいわ。えーと貴方がトップなのよね。私は射守矢フィアナ、W・AのNo3よ。No2はとっくに亡くなったけど……。こんな腕前だったら私うれしくなっちゃう〜。どう? 仲間にならない?」


「なんだあんた? いきなり勧誘して。漫画の読みすぎか? おばさん。まぁ良いんだけどね。今から始末するから」


 千木楽は彼女に銃弾をお見舞いすると女は持っていた拳銃で弾を弾き返した。

 フィアナは刀剣使いでもあり、銃舞スイーパー使いだったのだ。


 両者近づくと、お互いの顔を銃口で向け合った。

 撃とうとするも、お互い弾切れだった。


「おや? 弾切れね。久しぶりに使ったからかしら? えーと名前は千木楽真心くん? 私との戦いに勝ったらハグしてあげるわー。もちろん胸を押さえつけるプレゼント付きよー。胸を触るとかでも良いけどー」


「なんだ? からかっているのかおばさん。要らねえよ、そんな脂肪の塊。おばさんに興味はない! 俺にはやるべきことがあるからな」


 本部の空気がまた一変し、時刻は十三時二十二分になる。




 フィアナの腹傷は治っている。

 理由はW・A特製の塗り薬のおかげだ。


 つばきを洗脳させた後、テロリストの女は常時持っていた塗り薬で傷がなくなり完治したのだ。


 なので、今の彼女に弱点はない。




 一方、凪と司咲は本部外の学園の教室にたどり着いて、隠れて様子を見ている。本部まで二メートル先にある教室だ。


「本部外まで着きましたが、どうしますか天羽さん? 今行ってもやられるだけですよ」


 凪はアハハと笑いながら話す。


「そうだね〜。強いて言うなら、千木楽くんとテロリストが本部内に離れたら僕たちが襲うって作戦。にしようと思っていたけど、千木楽くんでもあのひとと戦っても五分五分になりそうだから早めに襲撃しようと考えていたよ〜」


「ならいきましょうよ! 今、千木楽さんのピンチかもしれませんので」


「いきたいのは山々だけど〜、ここに先客がいるんだよね〜。だから司咲くんが先に行っといて〜。僕は後から追いかけるから〜」


「わ、わかりました。ヘマしないように気をつけます」と司咲はそう言い、教室を後にする。

 静風の音が凪の耳に入った。


「ねぇ、そこの君、君だよ。僕たちの後ろにいるんだろ? なんでさっき襲わなかったの? 絶好のチャンスだったのに〜」


 その瞬間、ボイスチェンジャーの声が聞こえる。黒いフードを被ったSFだ。


「ぼくが奇襲しても君は気づくんだろ? 知っているよそのぐらい」とSFは舐め腐った態度で言う。


「まぁ、そうなんだけどね〜。ここに来た瞬間、僕にはバレバレだったし〜。殺気が漏れているからねぇ〜。どうするここで僕とダンスするかい?」


「あぁお問い合せ願おう。僕も君とダンスがしたかったんだよね。但し君の心臓を狙う。一瞬でな!」


 SFは拳銃を取り出し、キザな少年の方に向かう。

 お互い銃で銃を押さえ凪はこういう。


「嬉しいな〜。君の正体はわからないけど〜、一緒にダンスするなんて〜。ただ〜、僕は西園寺さんと踊りたかったけどね!」


 彼はSFの肩に銃弾を撃つ。


 傷ついた相手の方に凪は向かうと、相手は威力の低い小型爆弾を投げる。

 爆発すると同時に凪もろとも教室から飛び出す。


「手荒な真似するね君〜。西園寺さんならそんなことしないんだけどなぁ〜。君、誰かな? わかったら僕の方に答え教えてね〜」と凪は本部の方向へ逃げる。


「ぼくかい? ぼくの名前は『永瀬』だな。又の名を『ケルビム・デュアル』W・Aの天使の名だ」と言い凪の方角へ向かう。


 少しずつ時計の秒針が進み出す。

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