13話
撃ち損ねた一人が人質を無理やり引きずり、女子の上履きのつま先がすり減っていた。
「おいおい! やめろって言っているんだろ!」と女子生徒の声が聞こえる。
つばき達にトリガーを引きながら突進してくるが、銃を持っているのに生後間もない赤ん坊のような撃ち方で正直呆れて物も言えなかった。
惺夜は、多分だがこいつは銃経験ないな、と考える。
惺夜は小声で「なぁこいつは人質連れてつばきの方に向かっている。お前は囮になって俺がその人質を助ける作戦でいいか?」と話した。
つばきは上下に頷く。
相手がつばきの方と分かると彼女は出来るだけ近づいて、つばきは銃のグリップで相手を殴ろうとするも避けられる。
無理もないつばきは近接戦闘が得意ではないのだ。しかし一般人よりかは強い。
ただ相手はつばきより近接戦闘が、やや得意な方だった。
腹に穴が開くぐらいバシバシ蹴りを入れられ返り討ちにあった。
つばきは苦しそうによだれを吐く。
(はぁはぁ、苦しい……けど!)
その隙をつき、惺夜は二丁拳銃の唸る声が二重に聞こえる。
右足に二発、左足に一発、両腕に二発ずつと撃ち、SATメンバーの彼女は、その一瞬、人質の女子生徒に向かい解放する。
つばきは「大丈夫ですか?」と言い。
女子生徒も「あぁ、大丈夫。早く避難場所まで行ってくる」と急いで学校外に出ようとする。
「本当に大丈夫? 他にテロリストいるかもよ」つばきは心配そうに声をかける。
「大丈夫! 大丈夫! 私逃げ足だけは早いから、さっきのは凡ミスだけどね!」と、にこやかに言い、すぐ出ていった。
テロリストの一員は生徒を追いかけるように向かうも惺夜はテロリストのすねに蹴りを入れる。
男はは情けない声を上げながら「ひ、ひぃーお許しを」と言いながら後ろに構えていたナイフを取り出す。
惺夜は呆れながら「命乞いしたと思ったら反撃か? いい歳した大人が情けない」と口をひらく。
惺夜は自身に向かうテロリストの一員の顎めがけて平手を打つ。
敵の脳がゼリーのように揺れた感触。
ナイフが手から取れて、空中へ三回転し床に乾いた音と共に落ちる。
惺夜の足は体重乗せてテロリストの腹を一度蹴り、何度も蹴り続ける。
テロリストは負傷した腕を使い、惺夜の太ももを掴む。
掴んだまま立ち、惺夜の首を狙う。
惺夜はガンカタを使って撃破する。
首を射撃しながらこめかみに銃口を叩きつける。銃を持ちながら顔面を右に左に交互へ殴り、胴体に回し蹴りをお見舞いする。
結構食らってもテロリストは立ち上がる。
惺夜は冗談っぽく「すごいな、あんだけ蹴っても立ち上がるって……強メンタルの擬人化か?」と話す。
「あぁ、元々ブラック企業に働いていたんでなぁ!!」
テロリストは青髪の彼を腕ごと掴み握り潰そうとする。
惺夜も苦しそうだがニヤリとし。
「これならサンドバック同然だろ? つばき!」
と少年はつばきに声を上げる。
後ろから体術を構えたつばきが背中に向かって蹴る。テロリストの身体は赤髪少女の方に向けた。
つばきのまだ身体が硬い
乏しい足蹴りや平手の数々だが惺夜の戦いで負傷した傷がジワジワと兎のように乏しい体術で痛めつけた。
「も、もうやめてくれ……お、俺を殺してくれ」とテロリストは情けない声で言う。
「良いわよ、楽にしてあげる。閻魔様につまらないお菓子渡して懺悔してなさい」
つばきはテロリストの心臓と腹、さらに脳天めがけ引き金を引く。
惺夜もテロリストの脳天めがけて撃つ。
二人の銃口が煙を放ち、二つの銃弾が脳の真ん中で止まる。そして男は横に倒れた。
テロリストをやっつけたのだ。
するとつばきは息を切らせながら倒れる。
惺夜は子供が危ないことしている母親の如く驚いた。
「だ、大丈夫か?! つばき!」
「……ごめんね。惺夜くん、少し張り切りすぎたわ。少し休めば大丈夫……」
つばきの一言で、ホッと胸を撫で下ろす惺夜。
「そうだこの状況だけど言いたいことあるの」
「なんだ、言ってみろ」
「それはね……」とつばきは惺夜にヒソヒソと伝える。時刻は一三時三分になる。
(クッソ、今日は災難だ……)
テロリストW・Aの一員の痩せている方。
『
理由は女子生徒の声が聞こえてそいつを人質にし、味方のメンバーと三人で向かっていった瞬間、俺だけ足を負傷してしまったからだ。
(なんでこんな目に会わなきゃいけねんだよ。だが、3人のうち1人しか怪我してないと考えるならラッキーだな。俺と一緒にいるやつはピンピンしているし、もう一人に限っては隠れて相手の隙をつくったら殺ることが赤子の手をひねるぐらい容易いことだからな)
と心の中で状況整理をしている。
馬鹿だからだ。
数秒思いふけていると、まるでイケすかないキザ野郎がこっちに向かってくるの見逃なかった。
W・Aの一員は足を抑えながら銃を構え撃つがなかなか当たらない。
それはそうだ、俺たちは金で雇われたど素人メンバーで銃の腕前も、てんで駄目。
まるでW・Aが学生兵隊に捧げる仔羊の肉のようだった。
唯一腕があるのは龍康殿様と射守矢さんだけでその二人は以前、別のテロリストをしていたらしい。……と、この人の悪い癖の一つ、危険なとこでも長く考えふけてしまうのだ。
そして右腕に激痛が走る。
六秒ふけていたのか、鉛の弾が当たったからだ。
そして見た目キザ野郎が、彰一の胸ぐら掴み、こう話す。
「ねえ君、名前はなんていうんだい?」
「……
「
と凪って名前のやつが暴言も吐かずに丁寧に名前を質問した。
(ほう、これは良い時間稼ぎになるな)
その頃隠れている。中肉中背の『
だからこそチャンスである。
奴が愚考している時目を瞑る癖がある。
その瞬間北川のほうを向く。
どうやらまだ筒先を合わせているようだ。
間違って俺の方に向けるなよと沈思黙考し、奴の話し相手をする。
すると、凪はまるで大手会社の面接官のような真剣な目で彰一を、今一度みていた。
「君、今から質問するけど、このフロアには君と西園寺さん達が戦っている相手の二人しかいないよね? もしかしてもう一人いるとか」
彰一は仰天する。
バレてしまったかと、しかし無理やりとぼけるようにした。
「いや俺たち二人で来た、そしてお前に足と右腕を怪我させた。だがもう一人をお相手している。あの熱いカップルさんには強い相手だと考えるけどな。残念だったな、キザ野郎。俺だけにしか当てられなくて」と嘘をつく。
「そうか、なら良い。だったらこうする」
凪は銃口を彰一の額にくっつけた。
だが、彰一は心で笑っていた。
凪のとった行動は想定内である。
理由はこの向きなら北川の距離から俺には当たらず、奴の右腕に高確率で弾がめり込むからだ。
俺か、あいつが、下手に動かなかったら、ぜひ3発は当てて欲しいとこ。と考え込んでいた。
そして彰一は最後の一押しで命乞いに時間を稼ぐ。
「おい何やっているんだよ!」
「何って、こうなら嘘か誠でも殺せるからだよ。」
「んな事あるかバカ! 俺はやだ! 死にたくねえよ!」
「だったら本当のこと言え、いくらダンディな僕でも本気で怒るよ?」
「だから真実しか言ってねえよ! だから命だけは……本当お願い!」
「そうか、わかった信じることにするよ」
「よかった……ありがとう、本当にありがとう」
と、彰一は手を背中にやり、北川にW・Aだけがわかるジェスチャーで「撃て」と伝えると、同時に耳が裂けそうな銃音と火薬の匂いが鼻の中に充満していた。
恐る恐る後ろを振り返ると、北川は車に潰されたカエルのように死んでいた。
「知っていたさ、君達三人いたことを。でもまだいるか、どうかわからなかったから試していたんだよ。僕が話している時、目を瞑っていたでしょ? あれは薄目で君が振り向いているのをみてそれで確信したのさ、だから消えて。」
彰一の額に銃弾が当たる。
そして息を途絶えた。
「嘘つきは泥棒どころかテロリストになっちゃうんだね。気をつけなくっちゃ」凪は独り言をしゃべっていた。
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