一章

9話

 W・Aダブルエースは目的地まで後四・八メートルの人影が見えない場所で作戦会議をしていた。


 もちろん、W・Aダブルエースでしかわからない用語と専用トランシーバーを使いながらだ。


 αアルファ班とΣシグマ班、そしてΩオメガ班の3つのグループに分かれ行動することとなり、α班は裏で校舎別館から行き職員室を探す。


 Σ班はグレネード等の武器を構え屋上へ行き目の前にいる人々をある程度殺す。


 Ω班と龍康殿りゅうこんでんは変装し学校へ潜入することになった。


 もしも、この作戦が失敗したらどうすると心配そうに言うメンバーもいたが、射守矢いもりやフィアナは子どもをあやすようにこう言う。


「大丈夫だ、こっちには簡易型洗脳装置がある。短時間しか持たないが、学園内の人間を数人操ることが出来る。もし学生兵隊や教育官がいたとしても。」と。


 その洗脳装置の名は『スレイブファイター【SF】』直訳すると「奴隷の格闘家」

 W・Aダブルエースにとっての意味は『革命者は絶たれる』であった。


 相手の首の装置をはめるだけで洗脳ができ、首筋に切り口があるともっと強く重く洗脳できる。


「それとW・Aダブルエース特製のフードもあるから、それで洗脳されたどうかわからないで仲間を増やせるわ」


 そのフードは被るとマジックミラーが降りて外から見て誰かわからなくなる。身の丈もフードが自動的に合わせてくれる。


 作戦はすぐに決行した。



 数十分が過ぎ、惺夜せいや達は雑談しながら訓練場に行っているとき。

 謎の爆発音がお腹の中まで強く響き渡る。


 どうやら屋上から聞こえたのか、三人は向かおうとしたが校舎別館からも聞こえ、司咲つかさ一人だけそっちに向かった。


「なかなか賢いな。二つの場所から侵入するとは、いや一箇所はおとりか?」

 移動している途中の廊下で司咲つかさは頭に硬いものをぶつけられたような衝撃を受ける。


 それは強烈でつい食べたものを戻してしまった。

 普段ならば銃舞スイーパーや持っている銃で対処出来るのだが、目にも留まらぬスピードでやられてしまう。


 その一瞬のスキを突かれ司咲つかさはそのまま気を失ってしまう。


「ちょうどいいモルモットがいるわね。貴方をおとりとして使わせてもらうわ」


 女性の声が聞こえるも紫髪の少年は何も聞こえなかった。


 千木楽ちぎらはSATメンバーに指令を出す。


 テロリストが学園関係者を殺していたら抹殺。

 無事な人達を保護、そしてSATの生存を重視しろと。


 それを聞いた惺夜せいやは。

(誰かを守れって親父から言われたからな。全力で遂行するよ、みんな守ってやる)

 と拳を握りしめて、強く決意する。


 惺夜せいやは急に居なくなった親友を思いながら、つばきに「そこで隠れていろ」と命令した。


 近くの教室だ。彼女も隠れながら司咲つかさ飛鳥あすかのことを心配していた、大丈夫なのかなと。


 廊下を見渡す。惺夜せいやの目に写っていたのは、あまり見かけないテロリストの名前の刺繍と男女七名が会話している様子。


 そして無惨にも犠牲になった人達の死体が辺り一面に広がって居た。

 彼は少しキレながらテロリストのメンバーの一人を射殺した。


 勿論殺した奴も同時に撃っていたがまだまだ拳銃に慣れておらず、惺夜せいやに擦り傷一つもつかないまま死んでしまったのだ。


「おい! 止まれ!」とテロリストの仲間が言うがそいつを素早く腹部に一発蹴りを入れ、スキを与えず頭に四発銃弾を入れる。


 このテロリスト達は興味本位で入った惺夜せいや達でも倒せるような弱い集団だったのかと、申し訳なさそうな気持ちと、罪の無い人達を殺した怒りが入れ混ざり、複雑そうな顔色になる。


 彼一人でテロリストたちを倒した。


 すると、横に潜伏していたテロリストの一人が現れ、青髪の少年は銃舞を披露ひろうする。腹部に向かって蹴りを上げ、足めがけて銃弾を撃つ。


 その一人は意外と体術が強く、SATの学生兵隊とほぼ互角だったが体格差は惺夜せいやの方が上だ。


 少年はテロリストの右腕を避けながらブローを決める。テロリストは手を組んで上から勢いよく下げる。


 惺夜かれは避けて、拳銃をテロリストの両手を当てる。痛そうに叫んでいる。

 そして顔面に数発殴り、喉に銃弾を当てる。


 そして首筋に蹴りをお見舞いし、身体にさらに回し蹴りを喰らわせる。

 この回し蹴りは、惺夜が中学時代、サバゲーで知り合ったお兄さんから教わった技だ。


 確実に獲物を仕留める年上である彼専用の技だが、青髪の少年に受け継がれた。


 惺夜せいやが脳天めがけて撃とうとするも、弾数が少なくなり惺夜は急いでリロードをする。


 その隙を突かれ、テロリストの一人が惺夜せいやに銃口をゆっくりと合わせる。

 その時、隠れていたつばきが我慢できなかったのか、青髪の短髪と戦っていたテロリストの人を倒していった。


「黙って見てろって言ってただろ、こんな連中、初心者の俺でも行けるぞ」


「いや『黙って見ていろ』とか一言も言ってない」つばきはモジモジと話す。


「あれそうだっけ? それは悪かった」


「まぁ、急なできごとだったからね」


 次々と他のテロリストも現れたが、惺夜せいやとつばきでほぼ仕留めた。

 つばきは近接戦闘が苦手でも、拳銃の腕前はそこそこ出来る方なのだ。


 そしてこの出来事は彼女にとって初めての活躍。それ故か、少女は嬉しそうな顔つきを浮かべていた。


 少し間を置いて惺夜せいやは。

「つばき、たしかに笑うと可愛いけど、人を殺してその笑顔は怖いを通り越してサイコパスだぞ。」と引いていた。


 すこしして、二人は真剣な表情になる。

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