第2話 "配信の邪神"って韻踏んでるね
何処の馬の骨かも分からぬ不思議存在に罵られた。その屈辱に超一流思考が負けそうになる。
だが、負けない。
なぜなら、俺は"純潔の童貞"だから。
純潔も童貞も同じ意味だと言う尻の穴がアリの巣の入口くらい小さい奴は、国語辞典で純潔の本来の意味を調べてから、肛門から口まで新幹線のぞみ号を走らせると良い。少しは穴も大きくなるだろう。
気を取り直して、ダンジョン攻略思考を展開していこう。
死体が所有しているバッテリー切れのスマホに超一流清掃員を罵らせる。そんな効果は今まで聞いたことはない。しかし、ダンジョンに潜る者なら、どれだけ経験豊富な者であっても、常に心得ていなければならない。
自分の知っている事など、ほんの僅かでしかない、ということを。
あー、あっこれ、やばい、濡れる。俺、めっちゃカッコいい事言ってる。
ダンジョンは常に未知に溢れている。潜り慣れた所でも、ある日突然、構造がまったく変わることだってある。
文字通り、何が起こるかわからない。それがダンジョンだ。
それを忘れ、見くびり、準備を怠った者からこうして醜態をさらすことになる。
まあ、そういう馬鹿がいるおかげで我ら清掃員が潤っているわけなので、あまり無下にはできない。サンキュー、
さて、初めて出会うダンジョンの特殊効果。その恩恵とリスクを判定しなければならない。俺のように超一流の清掃員ともなると、それも業務範囲に含まれてしまう。手当は出ないが、仕事はきっちりこなそう。
なぜなら超一流だから。そして、童貞だから!!
どうやら、目の前のビックリドッキリメカは会話を求めているようなので、誘いに乗ってみることにする。
意を決して、スマホの画面を覗き込むとそこには、やたらフリフリした装飾の黒ワンピースを着た、絵に描いたようなツインテール美幼女がいた。
比喩ではない。まさに、立体的な絵が動いているのだ。ちなみに、俺の凝視に対して、若干引いてるように見えるのは、俺が凛々しすぎるせいだろう。
ええと、こういうのなんて言ったか。確か、なんとかバーって最後についたような。
「ガールズバー?」
「ちげーし。システムは似てるかもしれないけど。バーしか合ってない」
美幼女を指差し問い掛けると、間髪入れず否定された。
「一本満○バー?」
「♪まんまんまんぞく、一本満足!……やらせないで。人ですらないし!わざと言ってるでしょ?」
往年の人気男性アイドルが軽快に踊る姿が走馬灯のように浮かび上がる。……走馬灯って何だろ。
「Vが頭に付くやつ。分かるでしょ?」
美幼女が呆れ顔でため息をつく。
「あー、あのヤクザ系か、やらしい系ばっかりのやつだ」
「それはVシネマ。若者知らないよ、そんな歴史的遺物。っていうかバーどこいった!?」
「じゃあ、これだ」
俺は人差し指と中指だけを立てる。
「え!?何。チョキ?じゃんけんなのかな。……急に?」
画面の中の立体駆動系美幼女はしばらくオロオロして、ハッと気づいた表情になり、叫ぶ。
「Vサインだ!」
「正解!!」
「やったぁ!!……って違う違う。不正解だわ。Vに引っ張られすぎ。っていうかこのやり取り何?どこに向かってるの?」
「で、なんで死体が握っているスマホから、2週間以上もVtuberが配信し続けられるんだ?」
「ナチュラルに言ってる!?やっぱ知ってるんじゃん。踊らされたのかな、ボク。調子狂うなぁ。……まあ、いいや。我こそは配信の邪神、
その幼顔には似合わぬ大きく膨らんだ胸を張って、呪とやらは言い放った。ご丁寧によく乳が揺れる。
そこだけ別の生き物なんじゃないか?だとしたら、飼いたい。どこのペットショップに行けばいいだろうか。裏か?裏ペットショップか?普通のマンションの一室で、看板も何も無い、会員の紹介がないと入れないアレか!
閑話休題。名乗られたので俺も名乗らないといけないな。
「俺は超一流ダンジョン清掃員、澄川清、29歳。童貞の中の童貞。"純潔の童貞"とは俺のことだ」
「もぉー!なんかいろいろおかしいぞぉ!!」
大音量でスマホから発せられた舌足らずの叫び声がダンジョンに
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