トゥアース・王都支部落成と弁当



大陸共通歴3512年7月12日/陰曜日


翌朝、宿から出ると新たに建築されたビルがすぐに目に飛び込んできた。

「あれ、クランビルだよね? 結構、高いよね」

「手前のは10階で、角地のヤツは15階でオーダーしておいたよぉ」

敷地には2m程度の高さの薄いハイパーカーボン製防護壁が張り巡らされており、その壁面には『日本』や『東京』、『UNITED・STATES・OF・AMERICA』や『PARIS』など国家名や首都名、都市名が羅列されている。

壁沿いに南へ歩みを進めると壁が途切れ、表向きは飲食店をしているというのアジトの門扉が現れ、次に防護壁の向こう側に千木ちぎ堅魚木かつおぎを持つ本殿の屋根が見えてきた。

「ラーシュ、いい社殿ができていそうだな!」

「きっと社殿も鳥居も気に入ると思うよぉ、後で、くぐり初めと祝詞の奏上しないとだよねぇ」

「アーガスさんが、もう来ているだろうからまずは合流してからだな」

南側大通りにある門扉には『流人ながれびと支援クラン・トゥアース ファイランド王都支部』と大陸共通語、日本語及び英語で書かれた表札がある。

門の奥に見える15階建てビルは、ラーシュが魔の森で急遽造らせ夜中に転移させ上下水道への配管は地中作業用ボットに任せたもので特に上水道は浄化にも拘った。

その外観はスケールダウンした愛知県名古屋市中村区名駅四丁目にあるモード学院スパイラルタワーズそのものだ。

その西隣にはトヨダ自動車の超高層ビル、ミドルランドスクエアビルをスケールダウンした10階建てビルが並び佇んでおり、3階部分の通用口で往来を可能にしている様が確認できる。

「ラーシュ、想像以上.の出来だ! あれは素晴らしいものだ!」

「でしょぉ? まあ、頑張ってくれたのは魔の森にいる二人だけどねぇ」

門扉の前には一夜にしてビルが出現した事で中の様子を伺おうとする者たちで人だかりができており、その中にアーガスの姿もあった。

「皆さん、おはようございます。言われたとおりに参ったのですが…この変わりようはいったい…」

「あ、アーガスさん、おはようございます。それは中でお話しますよ。ここの者なんだ。悪いけどちょっと通してもらえるかい」

ビル好きの雅は、目の前にあるガラス張りのずっと眺めていたいという気持ちを抑え門扉の前に行く。

認証システムの認識により自動ドアの様に開き、全員が門扉から内側に入ると自動で閉まった。

後方で不用意に入ろうとした者が倒れた音がした。

認識外の不審者を排除するよう指示を請けた警備用ドローンがスタンを放ったのである。

ビルの入り口は、20世紀から見慣れたガラスの自動ドアであるが、その強度は21世紀のそれの弱点である内側のポリカーボネートが溶剤に溶けてしまうという欠点もなく強度は遥かに凌駕している。

超高効率小型発電システムにより自家発電により可能にしている。

これは、これからクランメンバーや流人ながれびとが主に出入りすることになるであろう隣のビル、ソエジマビルにも同様のガラスやシステムを用いている。

「魔導門に魔導扉ですか…、王城や高階級の貴族たちしか使えないのに…すごい…。それにガラスの魔導扉は初見ですよ」

アーガスは、電動ということがわからないため、魔導力で稼働していると思ったようでしきりに感心している。

「おはようございます、閣下。中へとお進みください」

中に進むと、受付カウンターにいたエリーゼの同僚リナの面,影を持つAIが出迎えてくれた。

彼女だけではなく、主に護衛担当のクランダッドリーのコピーと主に事務を担当するグランマルニエルのコピーのAIの二体からも流暢な大陸共通語で挨拶があり、中へと促された。

尚、このコピーの二体は魔の森の本体とリンクしている。

1階の受付の奥にはクラン事務所と応接室が備られており、更に奥へと向かうと温水器プールを完備したトレーニングルームがある。

2階に読書や動画鑑賞スペース、3階に食堂とカフェスペース、4階以降にはメンバーの執務室と居室に割り当てられるが、階数が無駄にあるので今後の利用を検討しなければならないが…。

アーガスとともに一回りし経緯を伝えるも、やはりたった一晩でこれだけの物を建てるのは荒唐無稽な話だと得心してもらえずじまいだ。

自身の職場として使うとわかっているのか、エリーゼがこの場に残り作業をすると率先して言い出したのでソフィア達AIも残り作業を手伝うこととなった。

ハルロとローラは2階の使い勝手を調べたいそうで残るとのことだ。

忙しそうに動き回る女性陣たちを一瞥し、雅達は敷地内のソエジマビルに向かった。

トゥアースのビル2棟と同じ敷地内にあると言っても、外壁と同じ防護壁で仕切り執行役など限られた者のみが往来できるようにしている。

「お…おはようございます。朝起きたらこんな事になっていてわけがわからんすわ」

挨拶をしてきた入口の男達に余計な詮索をするなと伝え、5人は中へと入る。

「おはようございます、皆さん! ビルが!」

何が起きたのかわからず、ひどく慌てたように植松が階段を駆け下りてきた。

窓から見える景色が変わり通電していないはずなのに内部照明も機能しトイレも地球のそれと全く変わらず使える状況だ。

「おはよう。なにもそこまで慌てなくてもいいじゃん。便利にもなったしさ」

「そうだよねぇ。トイレの便座も温かいだろうし大事なお尻だって洗えるようにしてあげたんだからさぁ。それでぇ、ソエジマの出迎えはないのぉ?」

ラーシュが問うと、植松が添島は最上階の執務室で待っているとばつが悪そうに答える。

最上階の執務室へ入ると、影狼と土蜘蛛の四人を含めた全員が集まっていてこちらに気づくも、ラーシュが添島に近づき鬼の形相で開口一番に文句を言った。

添島ソエジマぁ、僕たちが出向いてるんだけどさぁ。なんでお前が下に降りてこないのか不思議なんだよねぇ、死にたいのかい?」

朝からこんな事を言われるとは思わなかっただろう。

添島は平身低頭ぶりを発揮した。その姿は小物とさえ思われるほどだ。

「一応、説明しておくぞ。俺たちは角地のビルを使うから今までどおりこのビルを使ってくれ。電源は復旧させているから電化製品も使える。窓ガラスはRPGでもビクともしない防弾仕様だから安心しろ。それから敷地内から俺たちビルに入れる者はここにいる執行役のみとする。それ以外の者が入ろうとした場合はわかるな?」

「中央のビルは保護した流人のための寄宿舎だからね。僕たちは自由に入れるけど、お前たちは入らないように。こっちも許可なく入ろうとしたら死ぬよ?」

二棟の新しいビルとソエジマビル、二つの集団のアジトは中庭のような作りになっている敷地内を防護壁と内門の仕切られてはいるが、ある程度は自由に行き来ができるようになっている。

「俺らや他の流人と信頼関係ができたらそれは解くつもりだ。まあ、試用期間てやつだな。だがよ今は安易に立ち入るなよ? 破れば容赦なく殺すからよ」

反抗的だったサヴァンとオグルも真剣な表情で聞き入り首を縦に何度も振っている。このあと、改めてアーガスを執行役達に紹介しアーガスに協力するように伝えた。

ここで話の腰を折ったのが佐郷だった。

「聖さん、こいつは関係ないんじゃないですかね? 無関係の人間に協力しろと言われてもねぇ」

「このアーガスさんはロノックの恋敵…というかイリス嬢の婚約者だ。何が無関係だ? 散々迷惑をかけておいて! ぶっ飛ばすぞ、この野郎!」

言い終わる前に雅は佐郷さごうを殴りつけていた。

「珍しいな、お前がここまでやるとはよ。ったく…佐郷ヨワシ、てめえ首の骨が折れなくてよかったな。口ん中ぼろぼろだろ? おら、治してやっからじっとしてろよ」

雅に殴られ歯がほとんど折れた佐郷の口内が龍の回復魔術によって全快した。

「すいません…葵さん」

「それで俺の言ったことがわかったか? 佐郷ヨワシ

佐郷は完全に懲りたようで協力を惜しまないと言った。

「そうそう、ここにいる皆にこれを渡しておくよぉ。ま、インカムみたいなもんだと思えばいいよぉ。この石の部分を押せば通話できるからねぇ」

「あ、それ勝手に手首の太さに合うようにできてるから。後で手下の連中にも一つずつ分けるようにね」

ラーシュとリアムが分けるようにと渡した箱には中央に石が嵌め込まれたバングルを、添島はじめ執行役とアクニたちが手首に嵌めてみる。

基本的なレクチャーから始まりオープンチャンネルやプライベートチャンネル切替など教え込んでいった。

その後は今後の動向についての執行役から報告を聞き、それに対する指示出しをしていると時間は昼前になっていた。

「もう昼飯前かよ。ソエジマ、お前らいつもどうしてんだ?」

龍が添島に食事について質問すると、外食することもあるが影狼の食堂からまとめて持ってきてもらうことがほとんどだと言う。

「出前かぁ。弁当なんかも商売になりそうだねぇ」

「聖の旦那、アンタたちはいったい何者なんだ?」

スヴェーズィが一行の強さだけでなく、金儲けに聡いことを疑問に思ったのか雅に問う。

アクニやサヴァン、オダルら現人もとびとだけでなく、副島たちもスヴェーズィと同じことを思ったようで皆が聞きたがった。

「今は冒険者だぞ。直近は軍人で、料理人や農業経験もあったり様々だな」

「見た目ではわからないもんだな…。それで旦那、飯を持ってきてんのはアジトで店やってる俺の妹夫婦なんだ」

珍しくオダルが口を開いたと思ったら昼食の話だった。

「そうなのぉ? 店自体はちゃんと機能するように配置したつもりだけどさぁ。確認してるよねぇ?」

オダルは大丈夫だと肯定したものの、表情は芳しいものではなかった。

何か問題でもあるのかと尋ねると重い口を開いた。

オダルやサヴァンたち影狼のアジトの表向きの顔は、妹夫婦が店の顔となり営んでいる食堂である。

ふとしたことから、弁当の配達で稼ぐのもありだと睦美が提案したことを」きっかけに新規事業として始めたのだが一向に上向かず、妹夫婦に流人ながれびとから見て何かしらのアドバイスがもらえたらと思ったそうだ。

それなら妹夫婦が持ってくる食事を摂ろうということになり執行役とアクニたち三人、それに睦美と竜の姉妹を連れてトゥアース本部の食堂に行くことになった。

オダルは妹夫婦を迎えに行くとビルの裏口で別れた。

ソエジマビル、影狼、土蜘蛛のアジトの間は特に仕切りをしていないため行き来は自由だ。

それに対し、ソエジマビルとクランビルは防護壁で仕切られ、扉も薄くても驚くほど強固であり認証システムによるセキュリティの高さにはアーガス達、現人もとびとだけでなくこの手のシステムに馴染のある添島達も感心している。

「この認証システムはここだけじゃないんだろ? 植松、ウチんとこにも欲しいくらいだな」

添島ソエジマ植松ハエマツに言ったってしょうがないじゃん。ていうかお前んとこの門も同じ仕組みになってるよ」

防護壁と門扉は共通の仕組みとなっているため、影狼のアジトの場合は店舗部分には開店時に門を開放すれば客が自由に入れるになっている。

しかし、通用口や店内の厨房などの従業員のみが入る場所には十全なセキュリティを施した。

クランビル3階の食堂スペースの窓からソエジマビルの裏口を見ると、下っ端の連中が人数分の弁当を受け取り、運んでいる。

暫くするとオダルと妹夫婦が雅達の分を持ってきたのでリリナと名付けたAIが応対し、3人を2階へと連れてきた。

「妹のロアリです。兄がお世話になってます。主人のガランです」

「ガランです。なんとかして成功させたいんです。よろしくお願いします」

客商売をしているせいか、兄のオダルとは違って人当たりの良い印象を持つ夫婦だ。

昼の営業は大丈夫なのかと聞くと臨時休業としたから問題ないと言った。

早速、差し出された弁当の蓋を各々開けてみる。

主食となるのはパスタだ。

燻煙されたナグー肉と赤や黄色のパペマと一緒に炒めたもので、見た感じはペペロンチーノのようだ。

差し色が入っているので彩りは悪くないが、バターで炒めているせいか冷えてきてバターの再凝固が始まっている。

主菜はナグー肉のバターソテーだが、脂身が多めの部位を使っているために脂っこく同じようにバターの再凝固が始まっていた。

副菜には紫オニールのピクルス。ギャレスの千切りが添えられている。

「副菜は合格といった感じかな。ちょっと物足りない感じだけど」

「ロアリさんとガランさんつったな。これの作りたてのやつ、すげえ旨いだろ?」

「ええ、お店で出しているときは皆さんに喜んでもらえる人気の料理なんですけどね…」

「弁当に詰める時はさぁ。冷めても美味しいと思ってもらえるように作らないとねぇ」

店頭では作りたてが提供されるため美味しくとも、冷えてしまうと味そのものが変わるものもある。どうもそのことが頭から外れていたようだ。

「ナグー肉なんだけどよ。熱いうちはこの脂身がすげえ美味いはずだ。でもよ、冷めちまうと肉が硬くなるんだよ。だから脂身の少ないやつを弁当には選んだほうがいいな。それに弁当にするなら味付けを濃くしねえとな」

「それからバターが問題だよね。冷えてしまうとバターそのものが固まっちゃうから不味くなる。いっそ植物油にしたほうが良いと思うよ。それでもバターを使いたいっていうなら澄ましバターを使うのがいいね」

ラーシュがの作り方を教える。

手順は簡単で、片手間でできるくらいのものだ。

ボウル等にバターを入れて湯煎して溶かしたをしばらく置くと、固形成分が沈殿し、澄んだ上澄みを使う。

「教えた僕としても、植物の油を使うほうがいいと思うけどねぇ」

ここで既に食べ終えて空気となっていた添島が呟いた。

「普通に食えれば御の字なんだがな。日本人としては醤油や味噌の味が恋しくなるもんだよ」

舎弟頭の磯田はじめ執行役の面々はこれに同調した。

「そうだよな。塩味とトマトの味はいいっちゃいいんだけどよ。食えねえとなると余計に食いたくなるよなぁ」

「醤油や味噌ならいくらでもあるぞ。赤白だけじゃなくて八丁味噌なんかもな。ところでガランさん、弁当の種類は他にもあるんだろ?」

弁当として用意しているのはテーツソースパスタを始めとしたパスタが数種類とサンドイッチといったところだ。

醤油や味噌があると聞いて歓喜している執行役達を尻目に弁当チェーンで有名どころの【もっとほっと】のメニューを雅は取り出した。

「こんなに種類があるんですか?! でも、なぜパスタやパンがないんです?」

「ここにいる俺みたいな流人ながれびと連中の故郷では主食がご飯なんだよ」

雅がメニューのご飯に指を指すとリアムがサブスペースから弁当のご飯と定番と思われる生姜焼きにとんかつ、鶏の唐揚げを取り出した。

「論より証拠だよ。二人共食べてみて」

こちらには箸文化がないのでスプーンとフォーク、ナイフを用意した。ふたりがおずおずと食べ比べてみようとした瞬間に執行役たちからもっとないのかと聞かれ仕方がないので人数分を追加で出した。数年ぶりに唐揚げやとんかつなどを食べたという添島達は涙を流してさえいる。

「ご飯はそれだけで食べると仄かな甘ささえ感じます。それに…この唐揚げという肉料理は冷めていても外側がカリッとしていますね。経験したことのない味わいですけどリックの風味もあるしとても美味しいですね」

「旦那方、っていうのかこれ? ナグー肉の周りに何か着けて揚げてあるみたいだけど。外側がさくっとしていてなんとも言えないすね。それにこの…はじめ見たときはギョッとしたけど美味いっすわ」

「生姜焼きというのも味わったことのない味ですね。ただ…ニンガの味がするな….それにご飯にとても合いますね。ん? 肉の下にパスタがあるのはなぜなんでしょうか?」

ガランのその問いに生姜焼きや唐揚げなどのおかずを固定するためとソースを絡めて最後まで美味しく食べられるようにするための二つがあると説明した。

「ロアリさん、その生姜焼きのソースにギャレスの千切りがよく合うはずだよ。パスタはそれほどでもないかもしれないけど食べてみてよ」

リアムに勧められるままにロアリがギャレスの千切りを口にする。ガランは唐揚げの下に敷かれてレモン汁がかかったパスタを試した。

「うわぁ、マイナでも美味しいけれどこれはとても美味しいわ! この白いのはサラダなのかしら? こっちはお漬物?」

「パスタのほうは口直しのような印象ですね。なくてもいいのかもしれない…漬物は漬け汁も出ていないしあっさりしていて歯ごたえもいいですね」

白いサラダは家畜芋じゃがいもを潰したサラダだと言ったら現人もとびとたちは皆、顔を顰めた。だが芽に毒があるだけなのでそれを取れば食べられると芽の出た種芋で実演してみせた。

「マイナより味がはっきりしてる! これはなんていう調味料なのかしら?」

原料が鶏の卵黄と植物油、素と塩だと教えたが鶏卵は入手できないためかロアリやガランは暗い顔をした。

近い内に手軽に入手できるようになるから心配しなくていいと伝えると二人はホッとしたのか安堵の吐息を漏らした。

食事の余韻に浸っている執行役らを帰らせると、ロアリとガランの二人からレシピを教えてほしいと頼まれたので食堂で調理実習となった。

二人は真剣に取り組み、夕方には鶏肉系統以外の品が作れるようになり醤油や味噌の使い方、米の炊き方に出汁のとり方まで覚えた。

作り過ぎはしたがアーガスに騎士団の夕食に弁当を試してもらうことになった。

団員からの評価が高かった場合、契約しても良いという好条件だ。アーガスには弁当を入れた魔導袋型サブスペースを渡し持っていってもらう手筈だ。容器やカトラリーも店で用意しているものではなく自然分解するものにすべて変更した。

契約が成立した暁にはこの魔導袋に配達で活躍してもらう予定である。

「皆さん、ありがとうございました。アーガス様、これからも頑張りますのでどうかご検討くださるようよろしくお願いします」

「ハハハ、まだ気が早いのではないかな。だがこれだけ美味しい料理を揃えられるようになったんだ。ウチの連中も気に入ると思うよ。皆さん、ありがとうございました。おかげさまで夕食は食べずに済みそうですよ。これで失礼しますが連絡はこの腕輪で行えばよろしいですよね?」

「ええ、今後はそれでお願いします。お気をつけて」

アーガスを見送りロアリとガランも店へと帰った。

「晩飯いらねえな。呑むだけにしとかねえ?」

ビルに入ろうとすると帰ったはずのロアリとガランが息を切らせ走ってきた。

「雅さん! 店が! 厨房が!」

ラーシュがしたり顔をしている。

「ラーシュ、お前その顔は厨房いじっただろ? ちゃんと説明してこいよ」

「最初からそのつもりだったんだけどさぁ。二人に驚いてほしくてねぇ。じゃあ、お二人さん。使い方を説明するから行きますかぁ」

ラーシュは慌てて戻ってきた二人に厨房機器の使い方を説明するために出かけようとするとアサヒとシラユキもついていくと言って出ていった。

「残った僕たちで先にやってようよ。今夜はビールでいいよね?」

結局、すべて説明し終えてラーシュ達が戻ってきたのは夜中だった。


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