女難



大陸共通歴3512年7月5日/火曜日


ミルデや商人ギルドの職員から冒険者ギルドの朝は効率のいい依頼を取るため冒険者でごった返しになってしまい、余計なトラブルに巻き込まれることが多々あると聞かされていた。

そのため時間をずらしたほうが良いと判断し、遅めの朝食を済ませ食堂でのんびりとしていた。

当然、そこにはイリスたち三人もいるわけだが彼女たちの攻勢が始まってしまった。

まず先陣を切ったのははアンヴァルド辺境伯令嬢のイリスだ。

「リアムさま、今度はドラゴンを描いてくださいまし。はあ、なんて素敵なのでしょうか。何度見てもまるで生きているかのよう!」

「はぁ…イリス様、書くのは大したことないけど僕たちにも予定というものがありまして…」

リアムが困惑した表情でなんとかはぐらかそうとしている横ではハルロが侍女のメラニにあからさまなデートの約束を取ろうとしている。

「ハルロさま、今日のお買い物に行く前にご一緒に昼食などいかがでしょう? 私、この街の評判のいいお店をよく存じておりますので。これって逢引かしら…うふふ」

「メラニ嬢、私めはリアム様達にお仕えしている身ですので付き従わねばなりません。ですので如何とも返答に困るのですが…」

ハルロも苦し紛れに返答をしている。

その様を横目に今後の予定についてあらためて話をしようとしていた雅と龍の二人にも護衛騎士のアイナが迫っていた。

「タダシさん、リュウさん、いつ手合わせ願えるでしょうか? みなさんの登録の時にぜひ訓練場をギルドに借りましょう。いかがです?」

「あん? 手合わせなんぞ俺はやんねえかんな」

これに対し龍は即答で返答した。

「リュウさんなぜです?! まさかタダシさんも?!」

今にも泣きだしそうに目を真っ赤にして雅に問い詰めると雅がなんとか収めようと返答する。

「俺たちはまだ冒険者でもないしこれからやらなきゃいけないことも山ほどあるんだよ。今日明日って話じゃないなら考えておくよ…なあ、龍?」

「嘘じゃないんですよね? 必ず手合わせしてくださいね! ほんっとうに約束ですよ!」

適当に時間をのばしてやり過ごそうと考えて出た言葉にアイナが先ほどの泣き面から一転、満面の笑みでしかもかぶせ気味に約束を取り付けようと必死だ。

「なんか~私たち~蚊帳の外よね~」

4人がそれぞれ迫られている様を見てアサヒがそっと呟いた。

するとシラユキがファフニール改めユキに意地悪っぽく質問した。

「お姉ちゃんも龍ちゃんにあんなふうに迫ってたんでしょ?」

「わ…私はそんなことしてないぞ…もん」

「二人ともあんな感じだったわよ。ユキもシラユキもやっぱり姉妹よね」

そう二人に話しかけたアテナを含むAI達と姉妹は冷めた目でそんな会話を続けていた。

それに対してラーシュは酷く楽しそうにしている。

「あんな押しの強い娘たち僕は勘弁だねぇ。ま、見ている分には面白いけどねぇ」

「彼氏はアタシがいやなの? 散々、アタシを弄んだのにひど〜い! アサヒ、なんか言ってやってよ」

「大…ラーシュってばヒド~い。シラユキも~私も~大切にしてくれないと怒りますよ~?」

「そういうわけじゃないから安心してよぉ。ていうかなんで僕に飛び火してんだよぉ」

「ふ~ん。そういう事にしてあげる。でもさミユキとお姉ちゃんはどう思うの?」

シラユキが二人に問いかけるとユキは即答した。

ミユキは冷ややかな目をしたままじっと視線を龍に向けたままだ。

「あれは手合わせだけぞ…よ。なら龍は問題なかろう…ないわよ。ねえ、ミユキ」

ミユキはユキが問いかけてもしばらく黙っていた。

そして静かに、ただどこか怒気を含んだような声音で口を開いた。

「ユキ、油断は禁物ですよ。大佐…龍ったら鼻の下伸ばしてるし…。ユキは龍とはじめてあって喧嘩したときのこと覚えてますよね?」

「そうだった。わ…私負けて、名前つけてもらって…ソレから…ミユキぃ、どうしたらいいのかえ…かしら!?」

ミユキが冷めた目のままユキに返答するとユキはうろたえ始めたが、いたたまれなくなったソフィアが助け舟を出すかのように口を開いた。

「大丈夫よ。4人とも本当に断りづらいだけのようにしか見えないわ。それにしてもミユキ。あなたちょっと嫉妬深くなってない? 自分の上官をもっと信頼なさい」

それを聞いたユキは安堵の表情をし、ミユキは一瞬ハッとしたような表情をしたのちいつもの優し気な表情に戻った。

「それじゃあミーナ達は?」

「イリスだけど婚約者の方がいらっしゃるんでしょ? それなら、問題ないわよ。そうよねアテナ姉」

「そうねあの調子なら断り切れないだけだから平気よ。そうそう! それよりも魔術を使えるようになるかもしれない事のほうが重要なのよ! ねえ、魔術が使えるようになったら教えてね」

魔術を使うことができるかもしれないと聞いたアテナ以外のAI三人はそれは本当なのかと同時に反応しアテナに詰め寄った。

「なんで使えそうだと思ったの?」

「昨日ね、介抱しているときにあの娘たちにスキャンかけたのよ。それでね、魔力を貯蓄している器官の解析をしたら虫垂だったのよ。それで今、培養中なの」

これを聞いてソフィア、ミユキ、アサヒの三人は俄然やる気を漲らせた。

「これで暫くしたら魔素を取り込めちゃうかもしれないわぁ。すっごく楽しみぃ。はあん、素敵ぃ」

「私も魔術を使って龍の支援をしたいです。4人ともよろしくお願いしますね。そしたらユキ、龍は私達にぞっこんです」

「ミユキには世話になってるからの…ね。よ…いいわよそのくらい。し…それでわ…私達で龍をメロメロにする…の。」

「私は~ラーシュに~手とり足取り~教わりた~い」

「うん、彼氏と一緒に教えてあげる。えっちなことも一緒に教えてもらおうね」

「なんでこうなったのかしら。ラーシュ、アテナ姉はともかくあなた達の副官みんなおかしくなってないかしら」

「人間味があっていいじゃない。エッチな娘はみんな大好きだから大丈夫だよぉ、知らんけど」

そんなやり取りも冒険者ギルドに向かうための支度をするという口実で一度解散しそれぞれの部屋に戻ったのち、ギルドへ向かうため再び1階のロビーに集まった。

「雅、なんで断らねえんだよ。俺まで巻き添え食らわせやがって」

「お前、昨夜一緒になって彼女に頼まれたの忘れたのか? それよりもだ。さっさと登録しに行こうぜ。金もそこでみんなに分けるからさ」

「私めもさすがに参りました。この老いぼれのなにがいいのやら。年端もいかぬ娘に迫られるというのは些か疲れるものですな」

ハルロにいたってはすでに一日やり切って疲れたかのような表情で愚痴を溢している。

「孫、相手にしてると思えばいいじゃん。僕なんか一番関わりたくなかった相手だよ。ドS級じゃなくてなんか僕と同じ感じがするし」

「知りません!さっさと行きましょう!」

冷たくあしらい歩き始めたミユキの後を追うように宿を出ていくメンバー全員をイリスたちは鬼のような形相で追いかけてきた。

リアムが振り返りぎょっとした表情を浮かべ踵を返して走り出した。

「ひっ! 早く行こう! 心躍るドS級の冒険が僕たちを待ってるよ!」

「あ、お待ちなさいウィル!」

「リアム様ー!」

執拗に追いつこうとするイリスたちを無視し不自然に見られないような速度で移動し冒険者ギルドに到着した。

淡々と慣れていますと言わんばかりに窓口へと向かう雅達と初めて見た光景に辺りを見回すAI達、興味なさそうにしているユキやシラユキ、ミーナ達と三者三様に見事に別れた。

「冒険者ギルドゴースティン支部へようこそ。今日はどういった御要件で?」

さすがは冒険者ギルドの受付嬢。均整のとれたスタイルに男を惹きつけやる気を上がらせる美貌の持主だった。

「美人の受付嬢さん、素材の買取と冒険者登録をしたいんだけどいいかな?」

「先に冒険者登録をしていただければ買取査定額もいくらか上乗がございますよ」

「成程ね。それなら今来た全員登録するから手続きを頼むよ。あと、君のような美人をお持ち帰りする手続きもね」

「ええ、雅ずるいよ。ねえ、君かわいいね。どう? 今夜、僕と絶頂っていうお宝を探しにベッドで大冒険しない? あと、君みたいな美人に踏んでもらいたいのさ、いいよね?」

「いや…え? ベッド? え? 大冒険? 踏む? え? えっと…全員とおっしゃいますと13名の方々ですね。私は…」

リアムの下品なナンパにたじろぎながら努めて平静を装おうとする受付嬢が話を続けようとした矢先に龍が声を上げ、そこにラーシュが追い討ちをかけた。

「おい、ハゲの筋肉兄ちゃん。てめえ何ジロジロ見てやがんだ? 殺すぞ?」

「君の連れてるお尻ちゃん、エロい感じじゃーん。なあ、その娘さぁ僕にくれよぉ」

風貌だけ見たらよくあるいかにも悪党顔のいかつい男もひるまずすごんだ。

「おい、あんた誰に口聞いてんだ? 返り討ちにするぞ! そっちの金髪のあんちゃん! そいつは俺の連れだ! 手、出すんじゃねぇぞ、コラ!!」

「ねえ、ゲイル。この人たちちょっとヤバいわよ。とんでもなく強い気配がするわ」

すごんだ相手の気配が自分の連れが叶わない相手だと感じたシャルロッテは冷や汗を流しながらブルブル震えてゲイルを諌めたその時、今度は男の集団に纏わりつかれた女性陣から声が上がった。

「おい、ギブン。ニール見てみろ。この姉ちゃんたち揃いも揃って上玉だな。そんな下品なやつら放っておいてよ。お上品な俺たちと楽しまないか?」

ギブン、ニールと呼ばれた男たちはAI達の身体を舐め回すように見て舌なめずりをしていた。

「獣臭くて鼻が曲がりそうだわ。誰が窓を開けて!」

ミーナがあまりの悪臭に耐えかねて叫ぶとアテナは殺気を込めて男たちに向かって言い放った。

「黙りなさい、クソ雑魚ども。挽肉になりたいのかしら」

「なぜかしら…この人たちを見ているとぶちのめしたくなりました。だから私にやらせてください」

「私もそうだよ~。どうする~こいつら~? 私はどいつを殺せばいい~?」

「お姉ちゃん、なんかこいつら人種のくせに妙に獣臭くない? なんかすっごくムカつくんですけど。やっちゃう?」

「恐ろしく弱い気の輩の割によく吠えるものぞ…よね。なに。外に放って捨てればよかろう」

それを見た受付嬢のエリーゼは雅達に問いかけた。

「あの、よろしいんですか?お連れの女性陣が絡まれてますけど。あの声をかけた男達はタチが悪くてよく罰則を受けているアダムの三人組なんですよ?」

「ああ、そんなに心配しなくても彼女たちなら大丈夫だよ」

「本当に大丈夫なんですか?」

雅はエリーゼに一言、問題ないと言いソフィアのほうを見て注意だけはした。

「ソフィア、そいつらしめるなら外でボコせよ。衛兵が来ると面倒だからやりすぎないようにみんなに言っておけよな」

「はい、あなた」

質が悪いと評判のアダム達三人組を引き連れて女性陣はギルトの外へ出ていった。

女性陣と三人組が出ていくのを確認するとソフィアの返答を聞いてか若干表情を曇らせたエリーゼが雅に問うた。

「え、えっとその、あのご結婚されてらっしゃるんですか?」

「いや、独身だが。それよりも先に男性陣を頼むよ。おい、龍、ラーシュ、彼を離して早く来い」

「おう、今行くわ。ハルロ一応、外の様子を伺っておいてくれや」

龍は右手でギルド発行の冊子をめくりながら左手でゲイルと呼ばれた男の胸ぐらを掴み持ち上げていたがその手を離し窓口へとやってくる。

同時にラーシュも依頼書を眺めるのをやめて向かってきた。

リアムはエリーゼの隣にいた受付嬢のリナにニコニコ顔でエリーゼにかけた下品なナンパのセリフを吐いている。

「ああリアムが気に入るのはわかんな。確かに美人おっぱいちゃんだわ。君、俺はそこのドM野郎よりは遥かにマシなほうだぜ? 今夜、食事でもどうよ?」

エリーゼも血の気が引きそうな勢いだが、リナも真っ白になってドン引きしていた。その間も表では男たちの悲鳴がこれでもかと聞こえてくる。

さらには雅と龍の横でラーシュがリアムに釘を刺している。

「リアム、さっき、この娘のお尻見たけどスーパーヒップちゃんだからさぁ。この娘は僕のだよぉ。ねぇ、お尻娘ちゃん」

「ちょっ! リナぢゃん!」

リナが貧血を起こして倒れそうになってしまった。エリーゼは泣きながらも何とかリナを抱えるのに間に合った。

「俺の連れが済まないね。これ、慰謝料として彼女とわけあってくれ」

リナをなんとか座らせエリーゼが対応を再開したが彼女の前にポンと差し出されたのは買えば数千万はするだろう。キレイに磨かれカットされたダイヤモンドが十粒ほどあった。

「ええ、ごんなのいだだけまぜん! ぐすっ、ど、どうろぐばどゔなざるんでずが?う…うぅ…ぐす…」

黒の身分証4枚と金の身分証1枚がエリーゼの目の前にならんだところで今度はエリーゼが気を失いそうになったがエリーゼはなんとか堪えたが本音が漏れてしまった。

「えええ、流人の方々なんでずが! じがも黒が4枚に金が1枚なんて、あり得ない! こんなの絶対におかしい! あとホントにこの金剛石もらっちゃいますよ?!」

「ああ、構わないよ。綺麗な君たちに迷惑をかけたお詫びだ」

「うふふ、綺麗だなんてそんなぁ。登録はすぐに済みますが説明はご必要ですか」

エリーゼはとても現金な娘だった。

普通なら収入の比較的好い受付嬢でもおいそれと買えないようなダイヤモンドをいくつか貰った挙げ句に自分より美人を連れた男から綺麗だと言われて上機嫌だ。

「ああ、頼むよエリーゼちゃん」

「まず、登録には担保等の類はございません。身分証さえあればどなたでも登録可能です」

エリーゼの等級についての説明は次のとうり。

下から石級・草救出・木級・鉄三級から二級、一級

。その上となる銅三級から二級、一級と上がり、さらにその上は銀三級から始まり二級、一級と上がる。そして金三級、二級、一級、白金三級、二級、一級、と上がる。

そして最高ランクの金剛級は五級から始まり一級になるとのことだ。

「ここまではよろしいでしょうか?」

「ああ。でも随分と細かいものなんだね」

「低級から銅三級までの段階はどなたでもすぐに簡単に上げることができます。石から草は一回の社会奉仕の依頼で終了です。草から木は一週間以内に三回、講習をうけていただく感じですね」

一度に纏めて受けていただいても構わない。

木から鉄三級は講習内容を試験官立会のもと実践すれば問題無く昇級。

鉄三級から二級、一級は三回以上各種の採集、回復薬の製造の依頼を受け、達成すれば昇級します。

二級から一級への昇級は求められる採集と製造の難易度が上がる。

というのが大まかな流れだ。

「この辺りが一般的な冒険者がつまずく期間ですね。皆さん、心が折れるそうですよ。でも大した知識もないのに魔物を狩るなんて喜んで死にに行くようなものです」

「ふうーん、なかなか狩りに出るのは難しいんだね。僕、なんだか面倒になってきたよ。冒険者登録しないで狩ってくればいいんじゃないかな」

「そうはおっしゃっても…続きは必要ですか?」

「ん? ああ、頼むよ」

エリーゼから鉄クラス以上の説明は続いた。

鉄から銅への昇級は最低ランクの体力回復薬、魔力回復薬、体力強化薬をそれぞれ1日で一人各100本ずつ作り品質がすべて既定値を上回っていることと剣技などの技術試験と知識の部である筆記試験に合格すれば銅三級へ昇級。

銅三級から初めて魔物の討伐依頼が解禁されるが狩ることのできる対象に各級制限がある。

各級に対応した制限一覧があるとのことだ。

「道中でワイバーンやグリフォン、マンティコアなんてのを狩って来たんだけどそういう場合はどうなるのかい?」

「いま、何とおっしゃいました?」

「エリーゼちゃんとリナちゃんが可愛いねぇって」

「ちょっとエリーちゃん! この人たち特例基準の人たちじゃない? マスター呼んだほうが良くない?」

「マスター呼ぶのはイヤよ。獲物がいなくなっちゃうじゃない!」

「獲物っていうのはなんのことかしら?」

ふっと現れたソフィアにツッコミを入れられ思わずエリーゼは舌打ちしてしまった。

「あ、いえ何でも」

「ん、エリーちゃん?」

「何でもないのよリナちゃん。特例基準というのはですね、この支部のギルドマスターの裁量で等級が判断されるいわば裏取引みたいなあくどいやり方です。私はあまり好きじゃないんです、そういうの」

「ん、だよねぇ。正直者が馬鹿を見る羽目になるもんねぇ。僕は君達の笑顔を見たいから毎日来ても平気だよぉ」

「ラーシュ~何を言ってんの~? 私とシラユキじゃまだ足りないの~?」

「アサヒいたの? 外の奴らは?」

「ボコして~仲良くなったよ~。今頃~私達の命令…じゃなくて~お願いした魔導車とか~樽酒とか~買ってるはず~」

「さらっとすごいこと言ってないか。普通、魔導車とか買わせないぞ」

「つかいらねぇ、激しくいらねぇ!」

雅と龍は頭を抱えた。

「なあ、あんたらゲイルとシャルロッテって言ったな。わりいことしたな。詫びによ、魔導車っての貰ってくんねぇか?」

「ちょっと待ってくれ! 俺たちゃ謝ってくれたたけで十分だ。なあ、シャル!」

「樽酒とかならちょっと嬉しいけれど魔導車なんてそんな高いものおいそれと受け取れないわよ!」

ゲイルとシャルロッテはまさかここで自分たちに話を振られるとは思っていなかった。しかも魔導車を新品なのにいらないからという理由で受け取ってくれと言われて恐縮していた。

「あ、女性の方々もお集まりですね。皆さん、登録なさるなら一度身分証をこちらにお渡しください。リナちゃん手伝ってくれる?」

「ああ、なんて綺麗なお姉さまたちなの…ため息が出ちゃう…」

「え、また黒級が6枚、金級が2枚どうなってるの?ちょっと!リナちゃん?!」

リナはアサヒやソフィアを見て美人だと思っていたが6人もの美人が勢ぞろいしたのを見ると完全にかたまった。

「あ、ああ…ごめんなさいエリーちゃん。私、受付辞めてこのお姉さまたちの妹になるわ!」

「ちょっと何意味のわからない事を言ってるのリナちゃん、しっかりしなさい。私だって雅さんに求婚されたから受付なんて辞める予定なのよ! リナちゃんまでいなくなるなんて絶対に駄目よ!」

妹になるとかわけのわからないことをうわ言のように言うリナを叱責しているのにエリーゼはつい自分の本音を漏らしてしまい真っ赤になってしまった。

「エリーゼちゃん、俺はプロポーズした覚えはないんだが。それと埒があかないようだからギルドマスターと話をさせてもらえないかい? 勿論、君達の持論や考えを述べてくれて構わないよ」

「え? 私はもう返事をしましたよ? それでリナちゃん、ギルドマスターは今は手が空いているの?」

「今はアンヴァルド伯爵家のイリス様たちと会談しているはずよ。はぁ…お姉さまがた素敵です」

「ああ、イリス嬢も来ていたんだな。撒いたと思ったらギルドマスターと話をしている最中だったのか」

雅たち一行はイリスたち三人がついてきていた事を忘れていた。


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